[詩] ミー
鉄棒に足を掛けてぶら下がり
逆さの街をみている
少し遠くの公園の外を人が歩いている
少し高めのお団子ヘアー
わたしは、Meー(ミー)!と叫んだつもりで
小声でつぶやく
me(ミー)ー
なんか変な生き物に見(み)える
などという感想が浮かぶ前
もう、人は視界から消えている
頭に血が上りきったところで鉄棒から降りて
公園の外に目をやると
高めのお団子ヘアーの人が左から右に
横ベルトコンベアー
頭の高さ変わらず
また、「みー」とつぶやいたつもりが叫んでいた
びっくりして、私は逃げようとすると
ミーヘアーの人が親指をグイッと勃てて
ウィンクまでして視界から消えていく
どこかから流れてくるハノンだかなんだかの
練習曲
誰もいない砂場
二人くらいの子どもがジャングルジムで遊んでいる
遠くから怪我しないでねーと聞こえる
風が強いようで木の葉が揺れている
耳鳴りがしているので、音は聞こえない
同じリズムで続けます
日差しが明るいが弱く、まだ寒い
気分は高揚からすぐ落胆へ転調する
右から左に右から左にしきりに
右から左に右から左にまるで
画面をスワイプしたい
どうしようもなく
ブランコに移動して、3つある中から真ん中に座ることを勧められる
まだ温かい
なんとか、できるだけ高くブランコを漕ぐんだ
前方の最高点に到達し、後ろに振らる寸前
また、ミーの髪型の通行人を見(ミ)て
今度はミーというつもりに
まったくなりませんから!
ジャングルジムに登っている子供達が
五人に増えていて
確かではないが全員でミー!!と叫んでいたっけ
勢い良くブランコを漕いでいたので
通行人の姿は斜線になってしまっている
ことが確実なので
周りを見回すことをいいかげんに辞めろ!
前方最高点に到達した時、わたしは、と
ブランコから飛び降りる
只今から、お贈りいたしますのは
「ミーとオペラ風ベルカント唱法で歌いながら
空中で」で
「ス・ロー・モー・ショ・ン」]
風に乗って、「みーーーーーー!」
「ミー」あなたは
少なくとも公園の
外のピアノ
とは不協和音で
ぶつかりながら転げ回っている
想定不可能な、突風が吹き
風はあなたを木の葉のように、空中で弄び
三回、四回と回転させる
ひときわ強い風が吹いてきて
あなたを公園の外へ 吹き飛ばす
ユーが小さくなり見えなくなる
つむじ風が公園の真ん中で木の葉をまきあげるジャングルジムから飛び降りた元気のいい子ども6人奇声を上げながら突っ込んできて
旋風
を消してしまう
舞っていた木の葉は、ゆっくりと着地し
じっとしている
ピアノの練習曲のある音符と子供の奇声が
偶然三度でハモっていたけれど
気づいたものはいない、耳鳴りだけが記憶の中でなって
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