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自分を商品にすることにした

新型コロナウイルスが猛威をふるっている。
東京はもちろんのこと感染者数がまだ少ない広島もその影響は出ている。
僕の営むレストランもその煽りをもろに受けていて4月の予約は開店してから経験したことのない少なさだ。

飲食店は対策としてテイクアウトをしたりお弁当を作ったりとにかく今できることを賢明にやっている。

そして僕のお店もアクションを起こさなければいけない状態になった。

どうしていくべきなのかを考えて「変わらなきゃいけない」「受け入れなきゃいけない」「前に進まないといけない」と言い聞かせるもなかなか受け入れることのできない自分との葛藤だ。

そりゃそうだよ、オープンしてまだ1年も経ってないけどここまでいろんなことがあって微々たるものだけど積み上げてきたものがある。

オープンして今までのあれこれ

昨年の5月にお店をオープンして今までキツいことの連続だった。
お店をやると9割はきついことしかない。

開業3ヶ月は1週間の合計睡眠時間が10時間ぐらいで狂ったように働いて眠い目を擦りながら運転する車では気付いたら反対車線にいたことが2回もあったしガードレールに擦って目が覚めたこともある。

やっと落ち着いてさあもっと良くして行こうと思った矢先スタッフが1人辞めてまた振り出し。

スタッフと2人体制になり今まで3人でやっていたことを2人でやるようになった10月はオープン時の話題性に陰りが見えて売上が一番落ち込んでいて一体どこまで落ちるんだろ。。。と不安にかられる日々だった。

そうこうしてたら11月に入り急に忙しくなり2人でやる厳しさを突き付けられる。
頑張ってくれるスタッフは疲弊して「こんなに一生懸命やってくれて料理を楽しんでくれる子に何で俺はこんな疲れた表情させちゃってんだよ。。。」と自分の作っている環境そのものに嫌気すらさしてきていた。

そんな怒濤の日々の中でも毎日毎日「少しでも良くしよう」と日々改善を繰り返し、スタッフの支えであったり、毎日掃除やセッティング、洗い物をしてくれる洗い場さんであったり、家のことを働きながらやってくれる妻であったり、いろんな人の支えのお陰で徐々に手応えを掴めている実感があった。

明らかに変わったお客さんの反応、リピートの率も来店間隔の短さも、自分たちの作り上げる料理もリンクしてきていた。
県外のグルメな方からも反応が良くなってきていた。

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そんないろんなことがやっとうまく行き始めていた頃にこのコロナである。

積み上げてきたジェンガが一瞬で崩されたそんな感じ。

だから受け入れ難かったし、今も悔しいし、まだ全然終わってないんだけど未練みたいな感情が渦巻いている。

できることから全部やる

でもやっぱり受け入れないといけない現実は目の前にあって。指を加えて見ていても予約は入る気配すらないし増えることはなくても減ることはある。

きっとこの波は4月では終わらなくて5月も6月も続いていくし終息を迎えたかのように思えたときが来ても元あった風景には戻らないだろうなと感じている。

だから求められているのは変化であってそれを受け入れなければいけないときなんだと思う。

昨日は一日お店を閉めてどうするべきかを考えていた。
みんなが始めているテイクアウトをやろうか、単価の低い営業をしようか考えれば考えるほど今の営業でお客さんに料理したいと思う自分が顔を出す。

そして立ち返ったのは「そもそも自分は何で今の場所で今使ってる食材を使わせてもらってお店してんだっけ?」てとこ。

自分の根本にあるのは「食や料理を通して人の時間や人生を豊かにする」である。
自分の生まれ育った広島で自分の大好きな生産者さんの食材を自分の好きな作家さんの作ってくれた器に盛って最高の椅子に腰掛けて僕たちが仕上げていくのが丸見えなカウンターでそこでしか食べれない食体験をしてもらいたいと思っている。

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今はそれがなかなか難しい状況だけどこのフィールドでたくさんの人に料理を通して豊かな時間を届けたい。

その日が来るまで生き残るための方法として現在予約の入っていない日を限定に僕たちはまずは「出張料理」をスタートします。

自粛ムードで外に出れないなら僕らが出て行く。

食材下げて単価も下げてとかも頭をよぎったけど僕はやっぱり自分の好きな人たちが作る食材を使いたい。
そりゃスーパーの食材で美味しくしようと思えば簡単だしできるけどそれより「この人のこれ食べて!」を届けるのが僕の役目でその食材を使ってこそ自分ならではの料理が届けられると思うからだ。

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人の心を動かすにはやっぱり自分の心が踊ってなくてはダメってとこ。

全人類が直面しているコロナ時代。
その影響をもろに受けている飲食業。
種の変更、形態変化が必要で、乗り遅れたら呑み込まれるので
もちろん出張料理だけにはとどまらず今できることを全てやる。

クオリティが均一化された今商品にすべきは自分自身かなと。

赤い本の星取り合戦の終焉であり無力化の始まり。
料理人の皆さん、その他職種の皆さんももちろん、行動を共有して共に戦いたいです!

#レストラン #コロナ #生きること

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