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私的詩手帳

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_人人人人_ > 突然の詩 <  ̄Y^Y^Y^Y^ ̄
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2022年3月の記事一覧

(詩)春と半魚人

二月はにげて
三月さらさら
ぼくはからから
からまわり

春はぼくをおいていき
時はすべてを押し流し
ぽくはぽつねん四季の底
ひとりおぼれた半魚人

背びれ胸びれ萎えはてて
穴あき水かき水かけず
ぶざまなクロールくりかえし
見えない鍋底なでまわす

からから からから
からまわり
からから からから
からまわり

春の陽気はどこはやら
脳裏をしばる寒流よ
花ぐもりの空およぐ鳥
見上げた桜はマリンス

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(詩)歌

転ばぬ先の歌より
歌いたいのは
転んでしまった
見知らぬきみを支え
少しだけ立つのを助ける歌

そんなことをいいながら
いまだ立つことすら
ままならないぼくは
転ぶことも
支えるものをつかむのも
知らないままでいて

自分のための歌より
歌いたいのは
立って歩いて
はるか先にいる
見知らぬ先のきみの歌

立ち上がることが
できなくても歌は歌える
だれかのための空回りも
ぼくの忸怩を過去にする
そん

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