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2022年改正 PCB廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物)の処分期限の留意点

牛島総合法律事務所 Client Alert 2022年8月31日号


環境法:
2022年改正 PCB廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物)の処分期限の留意点

パートナー 猿倉 健司

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特別措置法」という)においては、その事業活動に伴って高濃度PCB廃棄物を保管する事業者(PCB保管事業者)は、高濃度PCB廃棄物の種類や保管場所が所在する区域ごとに、処分期間内に、自らまたは業者に委託して適切に処分することが義務づけられています。

高濃度PCB廃棄物の処分期間は地域ごとに決められていますが、ここで注意すべきは、高濃度PCB廃棄物については、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の処理場で処理をする必要があるということです。
JESCOに処理を委託する場合にはあらかじめ登録を行う必要がありますが、処理施設の数が極めて限定されているため、委託してから実際に処理が行われるまでにかなりの期間を要することが予想されます。

実際にも、処理に入るまでに相当の期間がかかっている例も多いようです。
高濃度PCB廃棄物の処理量が想定よりも増えたことなどから、2022年5月31日に、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」が改定され、処理の完了時期が実質的に延長されることが公表されました。
具体的には、「計画的処理完了期限」の後に設定されていた「事業終了準備期間」(処理事業を終了するための準備期間)の間にも処理を行うことがきることとされています。
これにより、地域によって差はあるものの、2022年3月末~2026年3月末までの間に適切に処理を実施する必要があります(対象地域と期限については注意して確認してください。)。

これに対して、低濃度PCB廃棄物については、処理期限が2027年3月31日までとされています。低濃度PCB廃棄物の処分場については、JESCOの処理場に限られず、民間の処理事業者(無害化処理認定施設、都道府県知事等許可施設)で処理できることになります。

また、その事業活動に伴ってPCB廃棄物を保管する事業者(保管事業者)・PCB廃棄物の処分をする者(処分事業者)等は、毎年度、高濃度PCB廃棄物の保管及び処分の状況に関して保管場所その他の環境省令で定める事項を、都道府県知事に届出をする必要があります。

PCB特別措置法で規定されている処理義務を履行しない事業者に対しては、行政により、指導・助言や改善命令がなされる場合があるほか、行政による代執行等の措置がなされる可能性があります。
命令に違反した者は、3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科されるおそれもあります。

なお、上記とは別に、対象地の所在する地方自治体において、条例により法令とは異なる基準や規制内容等を定めているケースが見受けられます。そのため、法令のみならず条例や指針・ガイドラインについても確認することが必要となります。

(参考資料等)


弁護士  猿倉 健司 

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牛島総合法律事務所  Ushijima & Partners
E-mail: kenji.sarukura@ushijima-law.gr.jp
TEL: 03.5511.3244 (直通)
FAX: 03.5511.3258 (代表)
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