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多様な同級生たち

ゲッティンゲン大学森林学部では英語で開講されている修士コースが2つある。ゲッティンゲン大学が単独で開講しているのがTIF(Tropical International Forestry)でヨーロッパの他の4つの大学と共同で開講しているのがSUFONAMA(Sustainable forest and Nature Management)。

同級生がどこから来たか

上記の表が、彼らの出身国を地図で表したもの。北米を除くすべてのエリアから広く人材が集まっている。2つのコース合計で約30名。多少国による片寄りがあって、ネパールとコロンビアからは複数の学生が参加している。これは今回だけに限ったことではないようで、毎年複数人が参加し、それが受け継がれている形。他の国からは基本的に一人。米ロ中英仏の五ヶ国からの学生がいない、というのがまた面白い。

僕は日本にいたとき、森林について英語で学ぶことのできる海外の大学院をネットで一生懸命探していたのだが、ドイツはまったく盲点で選択肢から外してしまっていた。しかしながら、それは大きな間違いで、ドイツでは英語で学べる大学院が結構たくさんある。日本ではほとんどないのと対照的なのだが、この差がそのまま大学の国際競争力に反映されているといわれてもしかたがない。要求される英語レベルは米英の大学院に比べたら低いので、社会人で仕事で英語を使った経験はあるんだけども、時間の都合でなかなかスコアをそろえられないという人には結構穴場だと思う。もちろん、実際に授業についていけるだけの英語能力があることは大前提。特にスピーキングとライティングは実力をきちんとつけてからこないと大変なストレスになるだろう。あたりまえだが。

学費生活費はとても安く済むし、一番大事な研究レベルももちろん専攻によって差はあるだろうけれども、おしなべてまずまずといって間違いないと思う。森林学部については世界的にもかなりいい線いっている。もともと森林について研究する専攻はどこの大学にもあるわけではないし、やはりドイツ林学は世界の林学の先達だった時代が長かったから、そういう歴史的な積み重ねが今もいい伝統として生きているようだ。しかも研究のニーズは21世紀になって格段に増えているから、ここの大学で森林について学ぶということを、日本の林業を学ぶ学部生諸君は選択肢に入れて間違いはないし、20代のうちに留学するのであれば仕事に困ることはないだろう。日本に戻ることにこだわるんじゃなければ。

実際、2週間に一回ぐらいの頻度で就職先についてのメールが送られてくるのだが、アフリカ・中東が多いけれども10件ぐらいのポストの公募が常に出回っている感じ。博士号取得者とか、具体的な専攻内容の指定など細かい指定があるので、全部が全部応募できるというわけではもちろんないけど。

たまにはみんなで持ち寄りで夕食

僕自身、これまで旅行したこともまともに議論したこともない国の学生たちと話をするようになった。過去接触があったのはインドネシア・タンザニア・イタリアぐらいで、ミャンマー・バングラデシュ・パキスタン・イラン・タジキスタン・ラトビア・ギニア・ジンバブエ・コロンビア・コスタリカ・ブラジル・ガイアナまで友人の輪が広がるなんて思ってもいなかった。

どこの国も森林の維持管理が大きな問題となっていて、タンザニアの学生からは「スワヒリ語、勉強しといてよ?」「なんで?」「なんでって、この課程が終わったら仕事しにくるんだろ。マイフレンド(とよく言われる)」と言われたりしてなんだかとても面白い。冗談ではあるけど、こういうことを言われるとその国に興味を持つようになる。去年の夏、妻がウガンダへ行ったときには同行しようと思わなかったけど、今は機会があればアフリカ行ってみようか、という気にすっかりなっている。

また一週間がはじまる。博士課程進学へ向けて頑張らねば、と夕暮れの空を見ながら思う日曜日。


オリジナル記事公開日:2011年12月4日

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