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5年越しのシスティーナ礼拝堂

もうかれこれ5年前の話になるのですが、初めてローマを訪れました。イタリア自体はすでに2度行ったことがあったので、3度目のイタリア訪問でした。

アパートを借りてクリスマス時期に1週間くらい滞在したのですが、クリスマスの日は文化施設が軒並み閉まっていたので、その分、別の日のスケジュールがタイトに。ローマは見るところが多いので、時間に追われつつ、ひたすら歩いたのを覚えています。

見たかったものは全部見れたかというと、残念ながら見られなかったものは結構あります。その中の一つが、ミケランジェロの「最後の審判」などで知られるシスティーナ礼拝堂。サン・ピエトロ聖堂を見た後、やはり見ておきたいなと思って行ってみると、見たことがないほどの長蛇の列ができていました。

ちょうどその当時はパリで同時多発テロがあった後ということもあったのかもしれません。サン・ピエトロ聖堂周辺は特に警備も厳重で、近づくためには荷物検査をパスしないといけない状態だったことが、混雑ぶりに拍車をかけたのかもしれません。

「短い滞在だし、ここで数時間並ぶよりは、別の場所に行った方が・・・」と悩んだ末、後ろ髪を引かれながらヴァチカンを後にしました。

それから、5年が経ちました。またイタリアに行きたいなと思っていたところでコロナ禍。この記事を書いている時点ではヨーロッパは第2波の真っ只中あり、フランスはロックダウン中で、旅行はおろか、不要不急な外出を除けば自宅から1km圏内から出ることもできない状態です。

そんな中、美術関連の本を読んでいて、システィーナ礼拝堂の写真が出てきました。今年はコロナの影響で、世界中の美術館や文化施設などをヴァーチャルツアーで訪れることができるようになっているので、もしかして・・・と思いシスティーナ礼拝堂(ヴァチカン美術館)のホームページに行ってみました。

すると、画面の向こうに誰もいないシスティーナ礼拝堂が広がっていました。ちょとした感動でした。

もちろん、現地で感じる体験はできません。ただ、首が痛くなるくらい天井を見なくても、天井画や壁画の詳細まで見ることができます(余談ですが、ガイドをする人にとってこれほどありがたいページはないのではないでしょうか)。

一昔前までは、外国にある美術館が所蔵する名画と触れる機会は本やテレビなどに限られていたと思います。それが、今ではスマホで検索すればすぐに見たい絵を探すことができるばかりか、建物の内部まで再現される時代に来ています。技術の進歩にただ感嘆するばかりです。おそらく、自宅でこのリアルな空間に入り込むことができる時代も遠くないのではないでしょうか。

そうは言っても、やはり実物が見たい。

現実空間と仮想空間の間が狭まっている今でもそう感じる理由は、いくら最新の技術を持ってしてもまだ時を超えることはできないからかもしれません。実物にはその時代を生きてきた証があります。それを感じることができるのは、実物と対面した時だけだからという気がするからなのかもしれません。

▼以前の記事ですが、フランスの文化施設でヴァーチャルツアーを提供しているところをまとめた記事です。よかったら「おうち旅行」にこちらもどうぞ。


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