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青少年と数ヶ月ともに働いて感じたこと

青少年と数ヶ月働いてみて


8月に青少年育成センターミアキスのスタッフとして稼働を始めてから、青少年教育の育成についてひたすら勉強を行なってきました。しかし、それ以上に "大人"として青少年 (12歳~18歳) の彼らと初めて深い関わりを持った数ヶ月でした。今回のノートでは、この数ヶ月の交流を通して起こった私の心の変化を綴りたいと思います。

こちらはの変化は "◯→△" のような完全変態ではなく、"◯→◎"のような不完全変態のような変化でした。「青少年の心は固く閉ざされている」から「青少年の心は場合によっては開かれている」のような急な変化ではなく、「青少年の心は聴くことで開かれる」から「青少年の心は聴かれることを待っている」と言ったような微妙な変化でした。

今までの仕事外でも人の話を聴くことは多々行なってきました。私の祖母が数年前に亡くなる前に、留学中のオーストラリアから毎月1回、15分の電話をかけていました。彼女は団地でひとり暮らしをしていましたので、特に話をする機会の多々あるわけではなく、私が質問を彼女に投げかけるたびに嬉そうに質問に答えていたのを覚えています。15分の会話の中で私が話すのは合計3分にも満たなかったと思います。しかしながら、この電話は私と彼女にとってはとても意味深い事柄だったことのように感じます。「思いやりを表現することは直接顔を合わさなくてもできる」「意味深い人との関係性とは対面でなくても構築できる」こうした考え方とカール・ロジャーズやジョーダン・ピーターソンなどの心理学者の学問に触れることで、私の傾聴に対する強い思いは強まっていきました。

しかしながら、仕事の一部として人の話を聴くことは初めてでした。8月から12月までの合計で青少年の話を聴くのが7割で、アドバイスや指示が3割程度だったと思いますが、この数ヶ月は感動の連続でした。夢、希望、生きがい、葛藤などここには書き切れないほどのことを彼らは教えてくれました。もし仮に青少年等が大人の私に彼らの思っていることや感じていることを共有しないのは、彼らのせいではなくて"聞き手"の私が、彼らの話を聴こうとしない姿勢そのものに原因があると思った次第です。聴く姿勢を持って接すれば心の扉を開いてくれて、聴く姿勢を持たず接すれば扉は閉まったままであると強く感じました。

「おめでとう」「素晴らしいね」「よく頑張ったよ」「もっと頑張れるよ」
彼らが私に信頼を置かず、理解をされていないと感じている状態でこのようなことを伝えても意味がありませんでした。彼らからすれば「お前は俺の/私の何を知っているんだ。」という感じでしょうか。私自身、彼らが何を頑張っているのか、何に苦労をしているのかといったことを理解せずにアドバイスや褒めても違和感が拭えませんでした。彼らの人生を理解して初めて「おめでとう、今までこんなことがあって、とても努力をしていたのを知っていたから、私も嬉しいよ。」などといったことが言えるのだと感じました。言葉では説明がつきませんが、彼らは「聴かれる」ことを待っていると強く思った数ヶ月でした。

スタッフ研修

さて、来年はスタッフの研修が始まります。その一部には「意図的に構築する青少年との関係性」についてのワークショップがあります。こちらは青少年発達に関する研究を進めるアメリカの非営利団体 "Search Institute" が提供してる無料の教材等を使用して行います。「なぜ、聴くことが大事なのか」「彼らの発達に適している関係性とはどのようなものなのか」など、私が上手に言葉で説明ができない事柄を学術的に補ってくれるので、研修を実施する者としても安心です。

Search Institute: Developmental Relationship
https://www.search-institute.org/developmental-relationships/developmental-relationships-framework/

研修ではSearch Instituteがレビューをした数々の人の発達を促す関係性の学術文献をまとめた5つの関係性の要素についてのセミナーを行います。こちらはユースワーカーに限らず、子を持つ親や先生にも推奨させられていて、11月に私が参加したSearch Instituteのセミナーには高校教師、ユースワーカー、子を持つ親などの教育に関わる数々の人々が参加をしていました。

このように無料で貴重な情報を全世界に提供をしているSearch Instituteには感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうSearch Institute。


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