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認知症の親を介護する方に朗報!親の預金から引き出しができるようになる

先日行ったケアマネさんの研修会の中で、多くの方が困っていたことは、親が認知症になってしまったので、医療費や介護費用の支払いに親の預金が使えないといったことでした。

そのため、介護をしている子供が自分の預金口座から立て替えて支払っているが、これから何年も続くようだと払いきれなくなる、と悩みは切実のようでした。


😢銀行での引き出しは、原則できません。

銀行では、原則本人の意思表示がなければ、預金の引き出しを認めていません。

そのため、親が認知症となり銀行の預金口座が凍結されてしまえば、たとえ家族だからといっても本人の口座からお金を引き出すことはできません。

これは、窓口での引き出しや口座解約はもちろん、ATMでのキャッシュカードによる引き出しも同様です。


😂これまでは成年後見人制度か、家族信託が選択肢でした。

対応策として従来から使われたきた方法は、①成年後見人制度と②家族信託です。

①成年後見人制度

成年後見人とは、認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、本人の財産保護や身上監護を行う者のことです。

成年後見人に選ばれるのは、もともと被後見人の身の回りのお世話をしていた親族であることが一般的ですが、第三者が選任されることもあります。

成年後見人を選ぶためには、家庭裁判所に「後見開始の審判」の申し立てを行う必要があります。


成年後見人の日常の職務は、本人(被後見人)の身上監護と財産管理です。


本人の財産の流出を防ぐことが出来ることがメリットである反面、事務の負担や、本人の財産の使用に関して厳しい制約がつき、家庭裁判所の監督下に置かれるため、柔軟な財産の利用ができなくなるといったデメリットがあります。

②家族信託

信託とは、委託者(財産の所有者)が、一定の目的(信託目的)に従い、金銭や不動産等の財産を、受託者(信頼できる法人又は個人)に託し、その財産(信託財産)の管理・処分を行ってもらう制度です。


遺言とは異なり信託契約の相手がいるため単独行為ではないため、契約当事者には意思能力が必要です。

認知症になったときに備えて、本人と家族が前もって話し合って信託契約を結ぶのが、家族信託という方法で、信託契約を結んでおけば本人の判断能力が低下して口座が凍結される状態になっても、受託者である家族などが口座から預金を引き出せるしくみです。

ただし、信託契約を作成するのに、弁護士や司法書士報酬が発生することや、認知症を前提とした信託契約に親が抵抗を見せるといったデメリットもあります。


😊家族が預金を引き出しやすくなる仕組みの導入が始まります!

全国銀行協会は、2020年3月に、認知症などの影響で判断能力が低下してしまった高齢者の預金の引き出し方法について、従来のルールを緩和した全国的な統一のルールづくりを始めました。

また、金融庁は7月29日に、金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会を開き、金融機関に対して認知症の高齢者への柔軟な対応などを求めた報告書を大筋でまとめました。


すなわち、

①戸籍抄本などで家族関係を証明すること

②本人が利用する介護施設や医療機関からの請求書を提示すること

を条件に、認知症の親を持つ家族が、親の口座からの支払いができるよう、柔軟な対応が取れるようになるものと思われます。

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