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安全か、経済再開か・・・ ?

  Harvard Business Review の最新記事から『オフィス再開に向けて企業が自問すべき8つの問い〜社員を守り、地域コミュニティを守り、会社の評判を守る』
経営学と医学という2つの専門性を備えた2名の識者による投稿です。

(1)いつから社員を再び出社させるべきか

リモート勤務では業務を長期にわたり続けられない職場や、業務に対する社会的ニーズが高い職場、大掛かりな模様替えをしなくても人と人との距離を確保できる職場から先に再開すればよいだろう。

(2)誰を職場に復帰させるべきか

 まず一部の社員だけを出社させて職場の物理的環境や業務フローのストレステストを行なった上で、段階的に少しずつ職場に復帰させること。ができる。また高齢の従業員や慢性疾患のある人はできるだけリモート勤務を続ける。

(3)出社する社員を守るには、どうすればよいか

職場の安全を確保するうえで最も重要なのは、ほかの人にウイルスを感染させるリスクが特に高い人を職場に入れないこと。従業員の状況を把握するために、サーモグラフィーのほか、モバイルアプリやウェブフォームを利用する企業もある。そのほかあらゆる場面、施設で従業員の密な接触を防ぐ。

(4)職場の安全性を高めるために、検査をどのように活用すべきか

職場再開の安全を確保するうえで検査が果たせる役割はきわめて小さいが、それぞれの検査の特性を理解して必要に応じて使う。

(5)職場から感染者が出た場合、どうすればよいのか

感染している疑いのある社員や来訪者がいる場合は、ただちに退出するよう求め、検査や治療を受けるよう促す。感染者が過去1週間の間に長時間滞在した部屋は立入禁止にして消毒を行う。感染者が出た場合は、症状があらわれる2日前までさかのぼって、その人物と1.8メートル以内の距離で10分以上過ごした社員をすべて洗い出し、それらの社員にも自宅待機を命じて最後に感染者と接触してから14日間の自己隔離を行う。

(6)出張はいつ再開できるのか

国外への出張は、感染拡大が収まるまで再開できそうにないが、国内の出張もしばらくは制限し、状況の変化に応じて出張の方針を明確に示して徹底させる。

(7)精神面と感情面の健康に関する社員のニーズに、どう対処すべきか

ほとんどの人はいま孤独を感じており、不安や抑鬱症状に悩まされる人は今後もさらに増える。企業は社員にメンタルヘルス関連のサービスを提供する体制を整えるべきである。バーチャルな交流ネットワークの確立、管理職へのトレーニング、必要に応じてしかるべき専門家を紹介するなど。

(8)職場の再開に関して、どのようにコミュニケーションをすればよいのか

虚偽の情報や根も葉もない噂が広まらないよう、企業は頻繁に正確なコミュニケーションを取ることで社員の信頼を勝ち取らなくてはならない。出社へ不安取り除くため、充分に配慮した伝え方が必要。

これに加え筆者は、感染症の流行に伴う排外主義や差別などを防ぐための充分な配慮、すなわち無意識のバイアスの悪影響を抑えるための対策と差別反対のコミュニケーションや研修を行うことでダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)の重要性を説いています。


  「人命や安全と経済活動再開のどちらを優先するか」という、本来立てるべきではない問いに、多くの経営者が頭を悩ませている昨今、経営と医学の両方の専門家である筆者の主張は、実にバランスのとれた具体的な主張であるように感じました。

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