見出し画像

アフターコロナの人材紹介

  人材紹介ビジネスにおいて付加価値の高いサービスを志向するならば、資金力豊かで強い投資意欲をもった企業が成長分野へと進出するための即戦力要員を紹介することから逃げてはなりません。

   今日においてその代表格はデジタル分野と言えるでしょう。旧来のIT分野にとどまらず車、家電、サービスやモノ作りなどまさに“あらゆるモノがネットに繋がる”世界は、既成の業界枠を破壊して急速に進んでいます。

  そして、コロナウイルス感染拡大に伴い一気に普及したテレワークは、ビジネスの世界から「物理的距離による制約」を軽減することに加え、仕事や職場、仲間といったことに対する私たちの価値観をも変えつつあります。

  一方コロナショックは、その脅威とともに、改めて医療・衛生・安全といった分野がいまだ大きな成長可能性を秘めていることを私たちに示しました。現に、実に様々な業界からこの分野への参入が進んでいます。
  また、国内GDPの1割を占める我が国の主要産業である自動車業界においても、サプライヤー企業が敢えてその市場への依存度を低め、新たな成長分野へと次々に進出していることが4月23日の日経産業新聞で大きく報じられています。(※「車部品、異分野開拓にギア」)

  さて、これまで日本企業の成長を支えてきた海外展開はどのようになるのでしょうか。それを考える上で、私たちは2つの事実に目を向ける必要があります。

  まず一つ目の事実は、不況になると人や企業は内向きになる、ということです。
直近では、2008年のリーマン・ショックを契機に日本企業による海外直接投資は大幅に縮小し、海外渡航者の数も減少しました。

  そしてもう一つの事実は、日本国内の消費市場が再び拡大へと向かうことはない、ということです。(かたや、新興国を中心とする国外市場の成長はまだまだ止まりません)

  フィリピンやイタリア、アメリカなどで工場やラインが休止し、国内工場でも感染者が確認された荏原製作所が、その状況の中で同社として初となる長期経営計画を策定し、2030年に向けて海外10拠点の新設や海外市場でのシェア3倍などの意欲的なプランを示したことは非常に象徴的です。

  そしてその資料には、「事業成長に必要な 6 つの資本(人・製造・財務・知財・社会関係・自然/環境)を事業環境の変化やグローバルでの事業拡大に資するものに進化・強化する」と明記されてます。(※「長期ビジョン E-Vision2020」P.32)

  また政府も更なるグローバル化を後押しするべく、中国での生産から、比較的付加価値の高い製品や工程の国内回帰とともに、ASEANなどへの移転・分散に対して補助金を出すという緊急経済対策を協議中です。これは3月の未来投資会議(議長:安倍首相)で起案されたもので、リスクを乗り越えてなお海外を成長エンジンにしようという政府の強い意志の現れです。

  これに加え、オンラインコミュニケーションの急速な普及によって、オンラインによる国際コミュニケーションの進行と巧拙が“チーム”としてのアウトプットを左右するようになる点を改めて強調しておきます。
  物理的距離による障壁、すなわち「そのオフィスに通うことができるかどうか」に囚われずにチーム編成を行なう場合、極論すれば世界中から最適メンバーを選ぶことができます。一方、あいも変わらず「そのオフィスに通うことができる人」だけでチームを編成せざるを得ない組織が、前者より高いアウトプットを産み出すことなどあろうはずがありません。
  したがって、部署や役割によっては、これまで以上に高い国際コミュニケーション能力を持つ人材によって、“海外出張/赴任を伴わないグローバルビジネス”が進められていくのです。

  テクノロジーの進化が私たちのビジネスを脅かすような新たな代替品を産み出すことは間違いありません。
  そんな中でも、私たちは、経営者との対話によって取引先企業の向かう先を正確に理解し、「事業環境の変化やグローバルでの事業拡大に資する」人材を遅れなく確保するためのお手伝いを続けなけらばなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?