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高度人材確保と人事管理システム

    Diamond Online の最新記事から『日本が「第4次産業革命」で欧米や中国に大幅な遅れをとっている理由』。

     グローバル化と並んで国家間の経済格差、競争力格差を生み出す要因はデジタル化。それを進める高度IT人材をどう養成するかが、鍵になるが、日本は人材投資で米欧や中国に圧倒的に差をつけられている、という記事です。

 AI、ビッグデータなどの活用で産業やビジネスが根本的に変わる「第4次産業革命」をにらんで、各国では90年代後半から、IT高度人材を養成する人材投資を行なってきました。

  各国で積極的な人材育成投資が行われてきた一方、日本は欧州各国に比べても著しく少なく、人材の育成を怠ってきたと言わざるを得ません。バブル崩壊や金融危機などで企業収益が悪化したため人材投資の余力がなかったことや、IT投資はしても省力化・コスト削減投資など「守りの投資」と呼ばれる後ろ向きのものが多かったからだといいます。

  最近ではデータ上は人材育成投資が増加傾向ですが、中身を見れば職場や生産現場での業務を通して上司らが部下を指導するOJTが中心です。

  人的資本への投資が重要なのは労働生産性が上がることで企業の生産性、いわば競争力が高まることが期待されるからですが、OJTの割合が高い日本企業の場合、生産性は上がっても「第4次産業革命」に対応できているとは言えません。

 というのも、OJTでは個人が仕事を通じて経験した「企業内経験値」しか伝授されず、将来が不確実な時代にあって、新しいアイデアを出す、新しい商品を開発する、企業を牽引する、といった「幅広い情報、幅広い世界、幅広い人脈」を必要とする仕事ができないからです。

 そして、その企業内だけで通用するノウハウであるということは別の企業に転職しようとした時にはそれほど役に立たない場合もあります。

 また日本が大学での高度IT人材養成にも遅れていることは、データ・サイエンティストの大学での養成課程を日米独で比較すると明らかだといいます。

 カナダのAI分野の調査会社であるElement AI社によると、世界のAI人材は、その46%が米国の企業や研究機関に在籍し、2位が中国の11%で、日本は3.6%しかおらず6位にとどまっているといいます。また

  NRIセキュアテクノロジーズが行った調査では、日本でセキュリティ人材が不足していると回答した日本企業は87.8%にのぼります。

 こうした状況から、一部の大手日系企業では、新卒採用で年俸1,000万円、CTO級で年俸3,000万円クラスという給与の提示を始めました。

  しかしデータ・サイエンティストに代表される高度IT人材は、国境は関係なく、給与が高く、かつ面白い仕事、また自分の専門知識を生かすことができて常に最新の技術に触れられる職場を求めています。

 たとえ高い給与を提示したとしても、この点で日本型雇用慣行が残る日本企業は圧倒的に不利になります。

  これが昨今"JOB"型(職務型)の人事管理システム導入を検討する企業が増えている一つの理由です。

 デジタル経済とグローバル競争のもとでは、日本型雇用慣行は早晩欧米式へと変わっていくのではないでしょうか。



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