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採用企業が人材会社を使って成し遂げたいジョブとは②
前稿では、社会の大きな変化に伴って人材紹介事業者が価値の再定義を余儀なくされるのではないかと予測しました。
人材紹介に限らず、事業の意義や価値ついて考えるときに私が下敷きに用いるのはP.ドラッカー博士の『経営者に贈る5つの質問』です。
同書に限らずドラッカーの著作はその“厚み”に尻込みしてしまう人もいるかも知れませんが、エッセンシャル版や専門家の方のブログなどでも充分に学びを得ることができます。(5つの質問に関して私のお気に入りは以下のサイトです)
やはり原典をあたりたい、という方はこちらです。(和訳版があります)
さて、本書においてドラッカーのいう「5つの質問」とは以下を指します。
第一の問い われわれの使命は何か
第二の問い われわれの顧客は誰か
第三の問い 顧客の価値は何か
第四の問い われわれの成果は何か
第五の問い われわれの計画は何か
本稿で考えたいことは特に第三の「顧客の価値は何か」です。
これは、先頃亡くなったクリステンセン教授の提唱した「ジョブ理論」に通じるところであり、すなわち「採用企業が人材会社を使って成し遂げたい目的(ジョブ)は何かを考えるということです。
これまで、人材市場の変化に伴い採用企業にとっての「ジョブ」は次のように変化してきました。
🔻2000年以前(低流動時代);数少ない求職者から自社に合いそうな人(辞めた人と同じような人)を探したい
🔻2000年代(景気回復局面 ※リーマンショック以前);速く、多くの候補者を集めたい
🔻2010年代(採用手法の多様化);(速く・多くを継続しながらも)効果的な採用を行ないたい
そして、現在の“不況期”抜けた後に、ひょっとしたら現時点で既に企業が成し遂げたいジョブは次のように変化する(している)と考えられます。
それは『これまでは採用できなかったような人材を採用したい』(人材紹介会社への要求は、『他の方法(チャネル)では絶対に採用することができないような人材を採用させてほしい』)というものです。
昨年末、その象徴ともいうべきニュースが報じられました。
松岡氏がパナソニックに入社した経緯や、そこに誰が介在したのかは一切存じ上げません。(共同プロジェクトを実施している中で相互の想いが一致して入社に至ったという経緯が幾つかの記事に記されています)
またいかに人材会社と言えども松岡氏のようなスーパーな人材の採用に関与することは極めて稀なことです。
しかしここで重要なことは、人材各社が多くの競合や高度なテクノロジーを基盤とする代替品が乱立する中で、いかに『当社ならでは』の人材ラインナップにこだわることができるかです。
並行して他の多くの人材紹介会社にも登録している人材を”スピード勝負”で紹介すること、多くの人材紹介会社が共同利用するスカウトサイトだけを頼りに登録人材獲得を行なうことによってもたらされる未来は、決して明るいものではないでしょう。
また、多くの登録人材(求職者)に求人情報をバラまき、”関心をもってくれる人(応募してくれる人)”を探して推薦する、という前時代的な活動にももはや明日はありません。
『当社ならでは』の登録人材の定義(獲得)と、その属性に見合った組織能力やオペレーションの獲得を行なう上で重要なことは、これまでの歴史や成立ちをもとに「何を変えて、何を変えないか」について議論を尽くすことなのではないでしょうか。
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企業経営にとって「機動的な人材確保」は益々重要性を増します。
人材紹介会社はLogisticsを担う重要な社会基盤として進化を止めてはなりません。
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