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エンジニアリングマネージャーは、役割上多岐にわたるプロジェクトやユニットの細部を「凝視」し、同時にチームや組織の大局的な目標を「俯瞰」する必要があります。細部から湧き出るようなイシューを大きな枠組みで見たとき、もしくは大局の中に僅かな歪みを捉えた時、この「凝視」と「俯瞰」の二つの視点をうまく行き来できるか、は的確なマネジメントを進める上で非常に重要な要素となります。

今日の記事は「凝視」と「俯瞰」を相互に行き来することで得られる効果についてまとめます。

「凝視」:細部に注目する

「神は細部に宿る」と言われるのと同じように、プロジェクトの成功はしばしば細部に宿ると言っても良いと思います。より正確に言えば「細かい配慮の積み重ね」がプロダクトを成功に導くのです。エンジニアリングマネージャーが自らの責務としてプロジェクトを成功に導くためには、常に対象となるユニットを「凝視」し続け、技術的な問題点の特定、品質管理、チームメンバーの個々の成長といった具体的な問題・課題を解決し続ける必要があります。自らの技術力を発揮してコードレビュー、1対1の面談、技術的な議論への積極的な参加することで「凝視」し続け、プロジェクトの微調整を通じて大きなトラブルを未然に防ぐことが求められます。

「俯瞰」:全体像を捉える

プロジェクトを「凝視」しつつ、一方で「俯瞰」することで、チームやプロジェクト全体の目標、進行状況、そしてその成果が組織のビジョンや目標とどのように連動しているか、対象としているユニット間の連携の全体像を把握する必要があります。エンジニアリングマネージャーはその役割や権限を元に、リソース管理、チーム構成の最適化、戦略的な意思決定を行います。俯瞰視点からは、個々のタスクや問題よりも、チームのダイナミクスやプロジェクトの方向性に焦点を合わせることになります。

バランスの取り方

エンジニアリングマネージャーはこの二つの視点を常に両方、行き来しながらバランスよく対処する必要があります。しかしそれは容易ではありません。凝視しすぎれば、マイクロマネジメントに陥り、チームの自立性や創造性を損なう恐れがあります。一方で、俯瞰に重きをおきすぎると、細部の問題が見過ごされ、小さな歪みが大きな亀裂となってプロジェクトの推進に問題となる可能性があります。

エンジニアリングマネージャーは、これらの視点を柔軟に行き来することが求められます。そのためには、自己のタスク管理や稼働管理、権限移譲のスキル、そしてチームメンバーとの信頼関係が不可欠となります。また上長やメンバーからのフィードバックを積極的に求め、自身の視点が適切かどうかを常に評価し直す姿勢も重要です。

まとめ

「凝視と俯瞰を行き来する」という考え方は、エンジニアリングマネージャーに限らず、ビジネスマンが高いパフォーマンスを出すためには必須とも言える重要なスキルです。プロジェクトとチームを成功に導くためには、この二つの視点をバランス良く使い分け、いま自分がどちらの立場でプロジェクトを見ているか、「凝視」と「俯瞰」の両方の視点から適切な意思決定が出来ているかを確かめながら進めていくスキルが必要となります。

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