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成長するスタートアップで働くとなぜ自分も成長するのか

投資先の採用候補の方とお話することがよくあるのですが、その中で、「A社はプロダクトもしっかりしているように見えるしもう出来上がっている。やはりまだ発展途上な企業のほうが学びも多いし面白いのではないか」と、成長著しいA社に入ることを悩む方によくお会いします。せっかくなので考えを簡単にまとめてみます。

個人的には成長著しいスタートアップでの経験をお勧めしています。成長企業の経験の方が自身の成長に向いており、新たな学びで溢れています。そして何より成長する企業は、完成する事がありません。

自分=自分の周り5人の平均

僕が好きなキャリアの考えの一つは「人間はよく時間を過ごす周り5人の平均になる。」というものです。最も正しく"楽な"キャリアの考えの一つだと思います。

成長するスタートアップは、ずっと人材を吸収し続け、どんどん優秀な人が入ってきます。そのような環境では、自分の周りが常に優秀な5人で、かつどんどんその5人が新たに入ってきた人でアップデートされ、5人の平均が上がっていき、自身が自然と成長していくケースが多いです。

1人で努力をし続けその中で傑出した存在になるというのは、実はとても精神的にも大変でかなりストイックである必要があります。一方で、5人の平均が上がりそれによって自分のマインドセットも実力も自然と上がっていくという成長は、実はとっても簡単で効果があると思います。

この"周囲の5人"の力によって、それぞれがスーパースターになっていった集団の代表がPaypalマフィアです。ピーターティール、イーロンマスク、リードホフマン(LinkedIn創業者)、David Sacks (Yammer創業者)、Max Levchin(Slide, Affirm創業者)等々。Paypal Mafiaが作った企業は Youtube, LinkedIn, Yelp, Tesla, Palantir, SpaceX, Squareなどなど。これこそいい影響の与えられ方なのかなと思います。

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成長企業の経験の多さ

成長企業こそ新たな課題がどんどん出てきて、新しい経験がどんどん積めます

新機能開発、インフラ強化、獲得したユーザーベースのマネタイズやアップセル施策、海外展開、競合との差別化。
うまくいっていない企業だと、マネタイズするユーザーベースもないし、海外に展開することもないし、インフラも何も起きないし、競合も入ってきません。

Facebookもローンチ後、ただ爆発的に伸びたわけではありません。ユーザー数は何度も頭打ちになり、そこから多言語化、モバイル化、インターネットユーザーそのものの増加、などを経て頭打ちの課題をクリアしてきました。(Facebookが5000万ユーザーで頭打ちになったとき、ソーシャルネットワークは1億ユーザーを超えられない。不可能かもしれない、と内部の人も思っていたそうです。)
ユーザーだけではありません。それと並行してマネタイズ、インフラ、ビジネスアライアンス、ニュース、写真などなど無数の"課題"に直面してはそれを乗り越えてきたのです。

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新たな課題=新たな学び。課題が変わりつづけると、学びの幅も広がりつづけます。

"失敗や停滞からの学び"の罠

失敗やうまく行っていないことから学ぶことも多いです。

ただし、うまくいっていない期間は実はやること、解くべき課題がそんなに変わりません(おそらくニーズがないという課題か組織の課題、そのどちらかかどちらも。)。
うまくいっていない期間は半年間の学びはすごくても、それが3-5年と続くと学びは収束しはじめます。一方で、成長企業は毎年学びが変わります。

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元Square COOでPaypal, LinkedInの経営を支えたFounders FundのVCであるKeith Raboisの言葉(Paypal Mafiaの一人)です。

失敗と成功、どちらから多く学べるか。失敗から学べることはとても多いが、そこから学べることはその"失敗"を避ける方法。
成功するための方法、勝つための方法、は成功からしか学べない。

さらに「失敗」からは簡単に抜けられないのです。特に責任感が強い方は、「ここでやめたら情けない」「この苦労もいい経験になる」と、何年も何年もそこに留まります。そして気づくと、転職がしづらくなるどころか、数年の苦労の経験から性格すら変わってしまいます。

周囲の評価

成長企業にいると、周りの評価がついてきます。
いま業界内にこういうCXO, PM, エンジニアになりたいと思えるロールモデルを持っている人も多くいると思います。そのロールモデルとなる方々はおそらくみんな成長した企業の人たちではないでしょうか?
そのロールモデルのリストは必ずしも"能力の高い順"ではないと思います。成功企業にいないがために目立たないが能力が極めて高い人たちを何人も知っています。

人間の能力はそんなに変わりません。環境に伴って経験と周囲の評価も変わるだけ。そして周囲の評価が新たな機会や新たなつながりをを生み、またそれが実力につながっていくのだと思います。

大家さんから30兆円企業の社長へ

成長企業に入った方の例。Googleの16番目の社員は、MBA出たての30歳。当時のGoogle創業期オフィスの「大家さん」でした。
彼女はその後自宅のガレージを貸していたGoogleに入社することになり、初のマーケティングマネージャーとなり、Google Imageの開発に関わり、AdSenseをPMとして率い、AdWords, DoubleClick, Google Analytics等の担当VPとなり、Youtubeの買収を担当し、今はYoutubeのCEOです。Youtubeの現在の価値は30兆円以上と言われています。これはどの日本企業の時価総額よりも大きな規模です。
ガレージを$1700で貸していた頃の彼女のキャリアは主にマーケティング。PMとして開発に携わることも、買収を担当することも、ましてや30兆円企業の社長になることなど想像もしていなかったはず。

永遠に未完成で発展途上

成長企業は変わり続けます。NetflixはDVDからストリーミング、アルゴリズムの会社になり、Googleは複数ビジネスの中の1つになり、Amazonは本屋からカテゴリを広げ今はクラウドの会社に。マイクロソフトの進化はとまりません。
成長企業は永遠に完成しません。「出来上がる」ことはないのです。

YoutubeのSusan Wojcickiのように成長する企業にいると思いもしない経験が次から次へとやってきます。もしかしたら20番目の社員、100番目の社員、と聞くと「完成しているかも」と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。

成長企業は常に発展途上。将来の巨大企業にとっては100番目だろうが500番目だろうが振り返れば"初期社員"です

株価と同じで、そのときもう高いと思っていたとしても、その後もどんどん伸びていくものです。「遅すぎること」はありません。
成長著しい企業に挑戦する際に、「出来上がっている」「大きすぎる」と感じたときは、その企業はどのくらい大きな挑戦をしているのか、経営者はどのくらいの人物に成長しそうなのか、その企業は将来的にどのくらい大きな企業になりそうか、何より自分がその挑戦の一部になってみたいのか。考えてみるといいかもしれません。
日本からGoogle, Facebookのように、人材の宝庫となるテック企業がもっと出てくると個人的に信じていまし、日本からPaypalマフィアのような集団を生み出す一助になりたいと思っています。

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DCMベンチャーズというシリコンバレーのベンチャーキャピタルで投資をしています。 https://twitter.com/kenichiro_hara

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