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インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(4-2)-アンハッピーポンコツ

「キュウソネコカミ」というバンドが、『ハッピーポンコツ』なる歌を歌っている。

とても明るい歌で、「ポンコツでも楽しく生きていける」という示唆に富んでいる。ちょっと引用してみよう。

完璧な人間なんて一握り
ハッピーでポンコツで最高なこの感じ 全人類に広まれば
ハッピーポンコツ・イン・ザ・ワールド

(「ハッピーポンコツ」より引用)


この歌は普通に受け止めれば、ポンコツでも楽しく生きられるという「希望の歌」に他ならない。

だけど、僕はどうしても職業柄(職業柄?)、ポンコツと聞くと今までに紹介してきた「ほんとうの地獄」に当てはめて考えてしまう。

そして、彼らのことを考えると、どうも希望の歌ではないような気がする。というかむしろ逆で、これは「絶望の歌」なんじゃないか。


インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(1)

インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(2)

インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(3)

インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(4)-ネット芸人は牧畜業


彼らはハッピーポンコツになりうるのだろうか?ポンコツなのはとりあえず間違いないのだけれど、ハッピーにはなれるのだろうか。彼らはハッピーポンコツの要件を満たしているのだろうか。

その答えを探るべく、もう3つほど『ハッピーポンコツ』の歌詞を引用してみよう。

8割ぐらい仕事こなしていれば大丈夫 社会でやっていけるよ
ありえないヤバい誤字脱字 何回やれば学ぶんだ?
でも不思議とイラつかない なんなら愛してる
失敗しても大丈夫 愛嬌と礼儀があれば


以上、「ハッピーポンコツ」になるためには

・要求量の8割ぐらいは仕事をこなせる
・ミスをしても不思議とイラつかれない(何なら愛される)
・愛嬌と礼儀がある

というような要件があるらしい。「ちょっと仕事ができなくても愛されるキャラクターならばOK」ということなのだろう。とても分かりやすい「ハッピーポンコツ」像だ。あなたの周りにもこういう人が1人や2人いるはずだ。IQが低くても愛嬌があれば、ポンコツは幸せになれるのだ。

しかし、逆に言うならば、仕事ができない上に、愛されることもできない人は、ハッピーポンコツにはなりえない。アンハッピーポンコツとして生きていくしかないのだ。

IQも愛嬌もないアンハッピーポンコツ……それは悲劇を約束された存在だ。社会に居場所を見つけるのは相当に難しいだろう。


「愛嬌」という圧倒的な万能スキル

「とにかく食いっぱぐれないスキルを身に着けたい!!」みたいなことを言う人が世の中にはたくさんいる。

それでプログラミングだの英語だのをやるのは勝手なのだけれど、多分「食いっぱぐれない」という目的を考えるとあまり正しくない。

食いっぱぐれないため大事なのは一にも二にも「愛嬌」である。かわいげのあるヤツは食いっぱぐれない

僕はフリーランス1年目、「マイナス72万」という奇跡の年収を叩き出したことがあるが、それなりに愛嬌を振りまいていたので、特に生活に困ることはなかった。

知り合いの経営者に部屋(物置ともいう)をタダで借りながら、生活費をクラウドファンディングしたり人にご飯を奢ってもらったりしながらテキトウに楽しく生活できていた。


愛嬌がある人間は周囲にいると愉快なので「まあお前は近くにいてくれてもいいよ」という気持ちになり、「まあ飯くらい奢ってやるよ」とか「まあウチにしばらく泊まっていてもいいよ」とかいうことになる。愛嬌によるセーフティネットの完成である。(そんな面倒なことをするよりも公共によるセーフティネットの方が快適だという説もあるが、今はその議論には踏み込まない)

「愛嬌」というスキルの力はその程度に留まらない。もっと高いレベルの愛嬌を身につければ十分な売上を立てることも可能だ。極端な話、謎の金持ち3人に気に入られて全員から月10万ずつもらうことができれば月30万の売上を立てたことになる。(実際、それに近い生活をしていた友人もいた)


ところが、愛嬌がない人間はこれら一切のメリットが期待できない。「こいつはかわいくない」という人間は近くにいると不愉快なので、みんな食事も奢りたくないし家に泊めたくもない。だから、生活の全てをお金で手に入れるしかない

それどころか、なるべくコミュニケーションも取りたくないので、情報も仕事も回ってこない。ちょっとした手助けを人から受けることさえ難しい。

愛嬌がないことは、人生をやる上で一番のハンデになる。逆に言えば、食っていくために身につけておくべきスキル1位は「愛嬌」である。


ということで、「食いっぱぐれないスキルを身に着けます!」とか言ってしょうもないプログラミングスクールにうっかり40万払ってしまう知も才もない大学生諸君にはプログラミングよりもまず「愛嬌」をしっかり身につけておくことをオススメしたい。そっちの方がよっぽど将来に生きてくる。

笑顔で挨拶をする・元気よく返事をする・ハキハキ喋る・礼儀をわきまえる……できれば、TPOに応じてちょうどいい冗談や褒め言葉を言えるようにする。それだけで一生困らなくなる。「プログラミングスクールに通いました!」と豪語しながら自作した計算機アプリを見せびらかすのはやめて、愛嬌を振りまけるようにしよう。


「ほんとうの地獄」の中にも、愛嬌格差がある

今までに紹介してきた「ほんとうの地獄」を頭に浮かべたとき、この”愛嬌”に関してはかなりの格差があることに気づいた。

例えば、「インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(1)」で紹介した人は、結構な愛嬌がある。僕は彼に「ご飯奢ってください!」と頼まれたら快諾する。実際何度か奢ったことがあるし、家に泊めたこともある。彼はかなり愛嬌がある方だと言えるだろう。


そして、前回「インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(4)-ネット芸人は牧畜業」で紹介した男は、全く愛嬌がない

僕は彼に「ご飯奢ってください!」と頼まれたら既読スルーするし、何なら「ご飯奢りますよ!」と言われても既読スルーする。そのくらい愛嬌がない。


だから、考えてみれば「ほんとうの地獄」の中にもランクがあるのだ。愛嬌がある「ほんとうの地獄(1)」はハッピーポンコツと言える。地獄の中でかなりマシな部類だろう。(まあ、要求の8割の仕事がこなせるかどうかには議論の余地があるけれど)

そして、愛嬌がない「ほんとうの地獄(4)」はアンハッピーポンコツで、社会に居場所が全くない。言うなれば、彼こそが「ほんとうの「ほんとうの地獄」」である。枕詞に「超一流」がつく地獄。圧倒的な差で顧客を唸らせる地獄。リッツ・カールトン的な地獄



そんな「超一流」のリッツ・カールトン地獄である「ほんとうの地獄(4)」は、前回の記事で1万文字も使って悪口を書いたのに、まだまだ書き足りないという衝撃の状態である。さすがリッツ・カールトン地獄。エピソードの量も超一流だ。

そういうワケで、今回は「ほんとうの地獄(4)」記事の続きである「ほんとうの地獄(4-2)」を書こうと思う。いよいよマリオみたいなナンバリングになってきた


以下、バリバリ実名を出していくので有料になる。気になる方は課金して読んで欲しい。単品購入(300円)もできるが、定期購読(500円/月)がオススメだ。いつ入っても今月書かれた記事は全部読めるよ。

ちなみに、前回分を読んでないと話についてこられないので、まだ読んでない方は「インターネットにいる「ほんとうの地獄」を紹介していく(4)-ネット芸人は牧畜業」をまず読んで欲しい。こちらも3月の記事なので、定期購読すれば読める。2本買うより購読した方がお得なので、合わせて読みたい方はぜひご購読ください。


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