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カバーリングできる範囲を広げろ!

 今回は「カバーリングできる範囲を広げろ」というテーマでお話させていただきます。
 ここ数年は、技術の発展やSNSの多様化が進んだことで、どこでもたくさんのサッカー情報が手に入れられるようになりました。動画で少し探せば、様々な選手のスーパープレーや、テクニックを教える動画がたくさん出てきます。これによって「ボールを扱うテクニックに特化した選手が増える」ということが起こってます。これはyoutubeが流行った10年前くらいからです。同時に、グアルディオラのバルセロナが躍進した時代がありました。ボールポゼッションを高め、徹底的に支配するサッカーでは、ボールを回すテクニックが必要不可欠です。ポゼッションフットボールは、ゴールキーパーやディフェンダーもパス回しに参加します。相手の攻撃を防ぐときに、クラスることも禁止されるくらい、徹底的にパスを回すサッカーが流行しました。これによって、育成年代のトレーニングは一新され、トップチームも、「テクニック重視」の傾向が強くなりました。センターバックの選手でも、トップ下並みにボールをさばけてドリブルが上手かったり、サイドバックの選手でもウインガーレベルのテクニックを持っていたりします。ゴールキーパーとは思えないキックの正確性や、テクニックを持っている選手もいますよね。これはもちろん、プロの世界だけではありません。最近の子供たちは、本当にレベルの高いプレーを見せます。日本でも、小学生とは思えないテクニックを持っていることがあり、大人より上手いなんてことも少なくありません。

 ですが、多くの選手たちが「切り抜き動画やテクニックを教える系の動画配信を見るようになったこと」「トレーニングの時に費やす時間がテクニック系のトレーニングになったこと」この2つが原因で、テクニックに偏った選手が増えました。
 「守備力」「フリーランニング」「ポジショニング」といった能力が低い選手が増えました。そして、サッカーをする上で失ってはいけない能力である「カバーリング能力」が低い選手が増えました。「カバーリング能力」というのは、守備のチャレンジ&カバーのカバーだけではありません。「自分が担当できる範囲」のことです。多くの選手は、ボールが自分の足元に来ないとプレーできない状態になっているのです。パスが少しズレると「ボールに反応できない」「足元に来ないと扱えない」、そんなことが多々あります。守備範囲も同じです。自分の近くでないと「守備をしない」「守備できない選手」は多くなったのです。幅広く動いて、どんなボールでも拾ってくれる選手は希少価値が高いといいます。これは、スペインの育成年代のクラブからアマチュアクラブのデータで出ています。プロになると一気にすべての能力レベルが高くなりますが、下のカテゴリーのレベルはテクニック面以外下がっているということです。あのスペインでもですから、おそらく日本はもっと顕著に結果が出ているでしょう。

 この原因は、やっぱり多くの選手が足元にボールを送ってもらうトレーニングを行っているからだと思います。「ボールを持ってからどうするのか?」ばかり考えてしまっていると、足元にボールが送られてくることが大前提になってしまいます。パスがズレると、ボールを受け取ることができない選手(修正力の低い選手)が多いです。
 僕もアルゼンチンとスペインで見てきたのでわかりますが、プロになっている選手というのは、カバーリングできる範囲が凄く広いです。多少パスがズレたとしてもすぐに反応します。修正して、自分のプレーに持ち込めます。むしろ、取れないだろうと思っていたパスやルーズボールであっても、カバーリングできる範囲が広いのでマイボールにしてしまいます。これは、とても大切な能力です。なぜなら、カバーリングの範囲が広い選手が1人いいるだけで、他の選手がカバーしなければならない範囲が狭くなります。相手が自由に使えるスペースが狭くなります。
 もう少し詳しく解説します。例えば、4-3-3のアンカーの選手が「カバーリングの範囲が広い選手」であったとします。横幅68mを1人でカバーできるのであれば、他の選手の配置をもっと違うところで使うことができ、攻撃に人数をかけることもできます。こうなるとチームとしてかなり強いですよね。攻撃的なチームが出来上がります。逆に言うと、カバーリングできる範囲が狭い選手ばかりいるチームでは、狭いスペースに何人も選手を配置しないといけなくなります。これでは、必ずどこかに大きなスペースが生まれます。物理的に守り切れない状況になるのです。結果、守備的なチームになってしまうか、あるいは、攻撃か守備どちらかに振り切ったチームになります。
 やはり、強いチームで試合に出場している選手は、カバーリングできる範囲が広い選手ばかりです。どれだけボールを持った時に上手くても、足元にボールが来ないと何もできないのでは、プロのレベルには行けません。難しいボールが来ても対応できる準備をしたり、アジリティを高めたりすることが大切です。
 
 今回の話をまとめます。トレーニングや試合で、「自分がカバーできている範囲がどのくらいなのか」「この範囲をもっと広げることはできないのか」を常に考えましょう。動ける準備をしたり、ズレたボールをしっかりコントロールするトレーニングをしたりすることはとても大切です。意識を変えるだけで、サッカーは一気に上手くなるので、是非自分の頭の中をアップグレードしてみてください。今回は「カバーリングできる範囲を広げろ」というテーマでお話させていただきました。

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※「いつでも」「どこでも」聞ける『音声配信』を始めました。
「サッカーが上手くなりたい人」におすすめの情報を発信しています。スペインバルセロナにあるアカデミーやアルゼンチンのクラブでプレーして学んだことを、海外サッカー経験者から直接お届け致します。
音声配信:『VORAZ FUTBOL CLUB』 Anchor/Spotify
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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。
※ボラスフットボールクラブは、共に戦いたいという情熱をもった選手を募集しています。サッカーが下手でも構いません。謙虚で礼儀正しく、コミュニケーションを積極的に取れる選手を募集しています。チームへの加入を希望される方は、「LaBOLAサイトのメッセージ」もしくは「Instagram」から参加申請を記入の上、ご連絡ください。
 

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