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スペースはそこにある

 今回のテーマは「スペースはそこにある」です。サッカーと言うスポーツは、攻守一体型の自由度の高いスポーツです。フィールドの中であれば、どこに移動しても良いし、どこにボールを動かしても良いです。

 フィールドの中で、人が自由に動くということは、人の動きに合わせてスペースができるということです。「スペース」とは「空間」ということです。空いている場所ですよね。ボールの動きに合わせて選手たちは、フィールドの中を移動するので、フィールド内には「狭いスペース」や「広いスペース」ができます。サッカーというのは、11人でボールをつないでゴールまで行くスポーツなのですが、この時に、相手にボールを奪われないようにしないといけないです。フィールド内にあるスペースをうまく使うと、相手にボールを奪われず、ゴールまで行くことができます。
 僕はこのときの、「スペースがある」のか「ない」の下の認知の差が選手としての能力にすごく関わっていると思うんです。
 
 例えば、僕が日本からスペインに行った時に驚いたことの1つに、「狭いスペース」をどんどん攻めていくことがありました。当時の僕は、パスを出す方向を決めるときに、フリーの選手を探して場所を出していたので、できるだけ広いスペースにいる選手にパスを送るようにしていたんですね。すると、監督から「ゴールまでの攻撃の流れを考えながらプレーしろ」と言われたのです。どういうことかと尋ねると、広いスペースにいるフリーな選手にパスを出しても、チャンスは生まれない、ゴールまでの攻撃の流れができていないからだ」と言われました。さらに詳しく聞くと、「相手は必ず11人いるのだから、相手を突破していかなければゴールに辿り着けない。相手がいないところではなくゴールの方向にどこかで向かうそのためにパスをつなぐんだ」ということだったのです。とにかく、狭いスペースでも良い位置にいる選手に、どんどんパスを出すようにしていきました。そこで「速いパス」の必要性や「狭いスペースでもプレーできるテクニック」の重要性を学びました。
 でも、ある時思いました。スペインの選手たちは、狭いスペースでも平気でドリブルをして、平気でパスを通します。どうしてそれができるのかと思って考えると、彼らはそこが「狭い」とは思っていなかったことに気づきました。つまり、そこには「スペースがある」と認識しているんです。
 この認識の違いが、選手の成長に大きく関わってくると思います。当時の僕と、スペインの選手との「当たり前」は違っていて、この差は大きいと痛感しました。
 
 2010年、ワールドカップ優勝したときのスペイン代表の攻撃は本当にすごくて、「そんなところにパスを通すのか」「そんな狭いところをドリブルしていくのか」みたいなことが多々ありました。
 中でも一番驚いたのは、フリーランニングの質です。ペナルティーエリア内の密集した中に、イニエスタ選手がフリーランニングをして、ボールを受けてそのままゴール前にパスをしたことがありました。フリーランニングは、空いているスペースに走ります。その時のイニエスタ選手がフリーランニングしたスペースは、他のスペースよりも狭かったのです。きっと、イニエスタ選手にとっては、ペナルティーエリア内の密集したところでも「スペースがそこにある」と認識していたんだと思います。パスを出したシャビ・アロンソ選手にも驚きました。

 今回、僕が言いたかったのは、今の自分の常識がレベルの低いものになっていないか見直すことが大切だということです。

 自分が狭いと思った時に、そこはほんとに「狭いスペース」と言えるのか、もっとレベルが高い選手も、同じように考えているのか、自分の中の常識をアップデートしていくことで、レベルアップにつながるよという話でした。

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VORAZ FUTBOL CLUB(ボラスフットボールクラブ)は、スペイン産ポゼッションフットボールを体現する、滋賀県大津市のサッカークラブです。現在は、日本サッカー協会にチーム登録し、滋賀県・社会人サッカー連盟に加盟しています。活動の場は、主に日本サッカー協会主催の関西社会人サッカー・滋賀県社会人サッカーリーグ戦です。

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