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サンフランシスコから経済再開への道とデジタル格差拡大について考える

こんにちは!Shelter In Placeと呼ばれる外出禁止例から2ヶ月経過し、なんだか曜日感覚も無くなり、代わり映えのしない毎日が続き、あっというまに1日が終わるこの頃に少し危機感を覚えています。研究開発に没頭するのに加えて、できるだけ新しいことを試して毎日何かしらワクワクする発見を見つけようと心がけています。何よりも健康でいられることは幸せなことです。

ベイエリアでの経済再開への道

さて、今週からベイエリアの一部の群ではNon Essential Businessの再開が条件付きで許可されました。

例えば、小売においては
 ・従業員側は1人あたり300 square feet (約 28 平米)を担保し、
 ・顧客との対面に関しては6-feetソーシャルディスタンシングを担保した上でのストリートピックアップのみとし、
 ・そして支払いや受け取りなどでハンズフリーデバイスを導入
すればアパレルなどのnon-essentialビジネスでも営業OKとなりました。

これらはカリフォルニア州が公表した4段回計画のStage 2に当たり、州として次のStageに進むためのクライテリアも合わせて提示されています。
 
Update on California’s Pandemic Roadmap:
https://www.gov.ca.gov/wp-content/uploads/2020/05/5.7.20-Presentation.pdf

州のプレゼン資料も非常にシンプルで明快です。全ての人にとって分かりやすいようにシンプルに伝えるプレゼン術としても勉強になります。

中でも重要なクライテリアとして
・過去14日以内の感染者数が10000人あたり1人未満
・過去14日以内の死者数が0

があり、これをクリアした群は次のステージでさらに広範囲の業種が再開できることになります。

ベイエリアの都市群にとっては道のりは長いようにも思いますが今週からサンフランシスコを含むいくつかの群はStage 2に入り少しづつ状況は改善しつつあります。

何よりも公園でのピクニックが許可されたのは嬉しい限りです。

外出禁止例も近く解かれることを祈りますが、一方でワークスタイルは特にTech業界においては今後もWork From Homeが主流となりそうで、多くの人にとってライフスタイルが以前に戻ることはないと思います。固定の場所で固定の1つ組織のために働くという固定観点はますます薄れ、複数の組織に関与しながら、一人一人が自分らしくいられる新しいワークライフスタイルを作り出す傾向に向かうと考えています。会社や組織に所属するというのはあくまでも自分のbeing(自分が実現したいこと、自分らしい自分のありたい姿)のための手段です。アメリカでは既にフリーランサーが多く存在していますが、今後はよりいっそうマルチなフィールドで活躍する人材が増えてくるでしょう。(僕もそうありたい。)

Work From Homeに関して一つ話題になった事例としてTwitter および Squareは従業員に対して Work From Homeを無期限に許可することを社員に発表しました。

物理的オフィスを持つことは企業にとっては固定費がかかりますし、従業員にとっても通勤による非効率な時間が付き纏います。オープンソースのプロジェクト管理サービスのGitLabは以前から物理的オフィスを持たない企業として有名で、社員全員が世界中からリモートで勤務しています。今後はTech企業を中心に物理的なオフィスを減らすあるいは完全に無くす企業が増えてくるでしょう。

オンラインでコラボレーションするツールの開発も加速していきます。サンフランシスコスタートアップでオンラインコラボホワイトボードサービスを提供するMiroは Series Bで$50 Million調達しました。

個人的にはFace 2 Faceでリアルな空間でコミュニケーションした方がチーム内や顧客との信頼を築きやすく、結果的にプロジェクトが進みやすいとも思うので、オンラインとオフラインのバランス良い組み合わせが理想的なチームとしての働き方だと考えています。一方で固定した場所のオフィスがある必要性は無いとは思います。

デジタル格差の拡大

経済活動は徐々に再開していますが、一方でベイエリア都市部の公共学校は登校再開の目処は立っておらず、今後もオンライン中心の教育が続きます。このオンライン教育において特に問題となっているのが、デジタル格差の拡大です。失業数が激増し、家賃に加えてインターネット料金やノートPC料金を支払うことも難しい家庭は少なくなく、このパンデミックがこれまで以上にデジタル格差を拡げてしまっているとのこと。NPO機関による調査によるとベイエリアの5家庭に1家庭はインターネット環境が不足しており、また多くの貧困地域の約40%の子供たちがオンライン教育に適したデバイスを所有していないとのことです。


裕福な家庭は子供達のスクリーンタイムを制限したがる一方で、スクリーンにすらアクセスできず教育を受けられない学生も多くいるのが現実です。

シリコンバレーを中心に裕福なエリアがある一方で、車で20-30分離れれば日本人として衝撃するくらいの貧困エリアがあるのがベイエリアの特徴でもあります。

サンフランシスコからベイブリッジを渡ったオークランド市では特に顕著であり、50,000人の学生のうち約半数の25,000の学生がインターネット環境が不足しているあるいはオンライン教育に適したデバイスを所有していない状況とのことで、これではますます教育格差が開いてしまいます。

この状況も踏まえて公共教育機関では特にローインカム家庭の学生を対象にインターネットとデバイスの環境の整備に精力的にサポートしています。地域や学校により対応が異なりますが、僕の子供の公立小学校の事例では必要な学生全員にChromebookが無償で配布されました。

経済が再開する一方で全ての学生にとっての教育の再開はまだまだ課題が多く時間がかかりそうです。

現在、僕はベイエリアの公共教育機関と共同で Disconnected Youthという様々な事情により学校に通えなくなり、職にもつけず、社会とのつながりが途切れてしまった16歳から24歳を再び社会につなぐためのサービスを開発していますが、この状況下においてはDisconnected Youthだけでなく、ローインカムを中心とした学生も対象に様々な支援リソースを届けるサービスへとピボットしながら開発しています。まだプロトタイプで技術検証の段階ですが、それでもできるだけ多くの学生やYouthに対して公共教育機関が提供するあらゆる支援が届けられるよう願って、日々開発しています。

それでは、またサンフランシスコからローカルならではの情報を発信していきます。

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