見出し画像

何度だって立ち直って生きるしかないから。また格闘技に生きる力を貰いました。

減量は練習ができない。減量はもう一つの勝負であり、試合を迎える「儀式」でもある。


さて、無事計量を終えました。アマチュア時代は58kgだったのですが、プロでは56kgでやらせてもらっているので、3回目の試合・3回目の減量になりますが、毎回もっと良い減量法がないか試行錯誤です。減量ももう一つ別の競技のようと言われますが、減量の練習はできないので、毎回の減量が初めての気分で、ベターな手段を求めて新しい方法を試すので、今回は大丈夫かと不安が付き纏います。

減量は食べれない・飲めないみたいなことによる自分への肉体への不安、減量がクリアできる計算だったとしても実際に体重測定の瞬間まで計量クリアできるかといった不安、その中でも新しいベターな方法を実験する綱渡りのような状況への不安、たくさんの不安や苦しみとの戦いでもあります。

今までは、1週間前から食べる量をグンと減らし、その分練習も減らしていたやり方だったのですが、今回は比較的最後まで練習もする代わりに普段の70%くらいは食べていて、最終日(24時間以内)に水抜きで体重を一気に落としたやり方をやってみました。こればかりは、当日やってみないと答え合わせができないですが、今のところフィジカルは今までで一番良い状態を持っていけてる気がします。

今回は、真昼に計量が終わって、液体・ゼリー系から栄養補給して、その後に徐々に固形物を食べ始め、夕方にはタイ料理を食べてきました。毎回新しい事をやるから、気合いでクリアできないことは無い事を知っているのですが、それでも常に不安とストレスはつきものです。おかげさまで、タイ料理を食べて帰宅したら、いつぶりか忘れたくらい久しぶりの満腹感と、そういった不安からの解放で、知らぬ間に寝落ちしておりました。

水抜きが実質禁止されている団体などもあり、これから先パフォーマンスの観点で水抜きを含んだ減量は無くなっていくと思います。食べないは我慢できますが、飲まないはやはり危険だと毎回肌で感じます。しかし、「減量」をすることで、より野生的な感覚になるし、よりシャープな感覚に研ぎ澄まされていきます。だから、一見非効率な「減量」と言う「儀式」も、試合に向かうスイッチを入れるための一定の意味はあるのではないだろうか。

敗戦からの再起戦。毎回が未来へと繋がる一戦。

今週末は格闘技weekでした。格闘技界における日本人メジャーリーガー堀口恭司選手の米国メジャーリーグでのタイトル戦。元々持っていたタイトルを怪我による長期離脱のため返上し、その期間にタイトルを奪取した現チャンピオンのアメリカ人選手に、日本人の元チャンピオンがチャレンジャーとしてアメリカのメインイベントでタイトルと再起を掛けて戦う。日本格闘技界にとって、日本人の希望を託した一戦でした。


元々は世界一のメジャーリーグであるUFCでタイトルマッチを経験したりしていた日本史上最高の格闘家で、最強の格闘家であるのですが、日本の格闘技を盛り上げるためにRIZINに主戦場を移し、短いスパンで連戦連勝を重ねて日本格闘技を再生してきました。しかし、その影響で腰や膝に限界が来ていた中で、まさかの地方大会で朝倉未来の弟である朝倉海選手にKO負け。

まさかのアップセットで、長期離脱を余儀されるだけでなく、そこまでは第一級のスポットライトを浴びていなかった朝倉海選手が一気に主役に躍り出ます。元メジャーリーガーからすれば、数年前まで地下格闘技で戦っていた選手に、負けるのはもちろん、存在を持っていかれのはこれ以上ない悔しさだったはずです。

そして、長いリハビリを終えてからの初めての試合に、朝倉海とのリベンジマッチを選びます。もしここで負けたら、怪我の言い訳も通じず、格を下につけられてしまい、日本史上最高の格闘家である堀口恭司が「堀口恭司」でなくなってしまうかもしれない。まさに、存在をかけた勝負。そんなリスクのある試合を、復帰戦に選ぶ力に、まず元・現メジャーリーガーとしての彼のプライドと、それを裏付ける日々の圧倒的な取り組みを感じ取りました。結果は、1Rで圧勝。関係者やファンの杞憂を吹き飛ばす爆発的な試合でした。これまた格闘技がスポーツ・競技以上の意味を持つ、心に残る試合・物語でした。

そこから、RIZINを離れ、再びアメリカのメジャー団体に移籍し、怪我で返上していたベルトに挑戦をしたのが今日でした。結果は3Rまで終始圧倒し実力差を見せつけていたものの、乱戦で貰った1発で大の字に。また、下馬評を覆されるアップセット負け。元々ほぼ無敗でしたから、ここ数戦で2敗、しかも担架でリングを降りたのは初めてのはずです。多くの日本人ファンは驚嘆と落胆に包まれていたのですが、僕は少し違います。

僕は、負けたことによって、これから堀口選手の生き様をより一層見届けていきたいと思わされました。より最強へと進化した堀口恭司になって、戻ってくることを信じているからです。そして、この敗戦から立ち直って、更に強くなった姿でリング上で爆発するはずです。今までほとんど負けを見せてこなかった堀口選手は圧倒的で鮮やかなパフォーマンスで観客を魅了してきましたが、朝倉戦での一戦から僕はより最強のアスリートとしてよりも格闘家として一気に好きになったのです。なぜなら、立ち直る姿やいつでも強く明るく有ろうとする姿やその生き様に、生きる勇気を貰ってきたから。

なにかと戦って生きる限り、直面する敗戦や絶望からどう立ち直るか。それこそが、生き様なのかもしれない。


負けない人や成功しかした事ない人の輝かしい話も素晴らしいけれど、負けない人や成功しかした事のない人の話に共感はできません。ほとんどの人は生きている限り、いや何かと戦ったり、もがいたり、勝負をする限り、負けたり、絶望したりすることはあるはずです。絶望することはあれど、絶望を結論にしてしまった瞬間に、それ以上の先を切り開くことも描くこともできません。

むしろ、そこから立ち直ったり、その中でも希望を見つけようと足掻いたり、運命に楯をついて抗うことでしか、未来を掴むことはできない。だからこそ、そういう敗戦・絶望を味わっても立ち直り、自分の運命を覆そうとする姿を、闘いを通じて、生きる力や生きていく勇気をくれる格闘技に僕は強烈に惹かれ、形作られ、生かされているのです。

画像2

明日の試合も自分にとっては、一年前の敗戦ぶりの試合、「再起戦」です。
前回の試合で徹底的にやられたからこそ、絶望し、何をすればいいのか、どう立ち直ればいいのか彷徨った時期も正直ありました。少し格闘技との距離を離れた、離してしまった部分もありました。裸一貫で相手とぶつかっているからこそ、負けた時にこれ以上恥ずかしくて打ちのめされて自分を嫌いになるものはないです。生物単位で、存在や自分を否定された気持ちになります。でも、だからこそ、このまま逃げたら格闘技ではないと思ったし、運命の前に自分の未来を捨てることなんてできませんでした。こっからなんです。まだまだなんです。

まだプロ3戦目です。競技を初めて約4年です。僕は30歳までとタイムリミットを決めています。だから、生き急いでいます。まだまだ名の無い地方馬なんです、こんなところで野垂れ死ぬなんてできない。これからも負けることはあるでしょう。それでも、負けてもすぐに立ち直って、失ったものを取り戻し、より大きく強くなって戻ってこなければ先には進んではいきません。

今回は、前回よりも強い状態を、リングに持っていけると思います。苦しいことや、自分が嫌いなこと、効率的じゃないけど意味のある理不尽を、今まで以上にやってきました。自分の弱さを炙り出してやっつけることで、自分を信じられるようになりました。根性焼きが大事です。もちろん、リングに上がる瞬間が怖いし、緊張するけど、自分が苦手としてた根性比べでも相手よりやってきたという自信があります。その意味では、今までで一番自信がある状態でリングに上がれます。

「立ち直る力」こそ、生きていく上で大事な強さ。
それを、試合前日に、格闘技からまた教えてもらいました。

自分の未来を、自分の手で掴みに行く。怖いけど、そのためにファイトしなきゃいけない。

今回も、きちんと相手を潰したいと思います。18歳の向こうにも広がる未来があるのかもしれないけれど、俺だって自分の未来・自分の可能性を広げたい。この一戦で人生は大きく動かないだろうが、これは未来を少し変えることはできる。その意味で、未来の奪い合いなのだ。あと、8年なんて、あっという間だろう。でも、8年後なんて予測できない。8年後なら、自分が辿り着けない所まで登り詰めるには十分な時間でもある。

俺はもっともっと上の景色を見たい。今の自分が思い描きもしなかったような場所に辿り着きたい。だから、こんな所では負けていられない。俺は俺の手で、自分の未来を掴みにいきたい。負けたくないよりも、勝ちたい。

「勝ちを掴みに行く」 この意味が初めて分かった。

画像1



明日は、勝ちを掴みに行く。










大好きなクリエイターさん達の記事を読みます! ありがとうございます!