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挫折しない音楽の作り方 その1:リズムの「3の法則」

はじめに

この文章は音楽、特にDTMを挫折してしまった人に向けて書いています。DTM以外でも使える要素はあるとは思われます。

こんにちは、kengoshimizです。ずっと服作ってました。「なんでお前が服じゃなくて音楽について書けるんだよ?」と思う方も多いと思います。

実は音楽の方が歴も長く、仕事も多いです。現在Rakuten fashion week内の、渋谷のヒカリエで行われるファッションショーの音楽を担当しています。

私の音楽仕事が気になる方はこちらをみてください。https://kengoshimiz.jp/hatakework.html

ところで、私は服に限らず技術面は95%くらい独学です。わたしは"どんな技術を使ってるか"よりも、"なにを表現するのか"が重要だと考えています。
この記事は「表現したい事を表現する為の技術を記す記事」です。
では早速内容に入りましょう。

なぜリズムからこの記事は書いているのか

大事なことは、『メロディやコードについて考える前に、リズムをどうするかを考える』です。

初心者の方が挫折する部分は、多分コードとかの進行なんだと思うんです。私は実際に5回挫折しました。

ですが、私が思う作曲で重要な部分は、『どうしたら表現したいことを達成できるか』です。別にコードを使ったりしなくても表現したいことが達成できたらまずはいいのです。しかしリズムは必要です。

想像してください。あなたは歩いています。そのときに一定のテンポで、靴のコツコツという音がなりますよね。人間の一歩を60cmだとすると、ある時間『コツ1』から、ある時間『コツ2』までに、60cmずつ進んでいます。一歩の距離は全く一緒だとして、『コツ1』から『コツ2』の時間は人によって違います。歩く限り『時間を区切っている』んです。

音楽においてもそうです。リズムは、例えば一小節の中をどうやって区切っているかということです。その区切ったところでコードなどが鳴っているという仕組みになっています。

お笑いではふざける数字の3を、リズムで利用するといい感じの音楽の土台ができる。

わからなかった方は「世界のナベアツ」を検索してください。

このノートで一番大切な事を書きます。
「音楽で3の法則のリズムを使えばとりあえずいい感じの音楽の土台ができる。」です。3の法則とよんでいるリズムについて説明します。

前提として、4拍子の音楽について考えます。
これから出てくる図は全て、指定されていない限り1小節であり、横軸の1マスは16分音符一個分と考えます。そのため横軸は16マスあります。
わからない人は「4拍子」「1小節」「16分音符」をそれぞれ検索するか、とりあえず最後まで読んでわからなかったら検索してください。

まずはこの図をみてください。これが3の法則のリズムパターンです。

3-rhythm1アートボード 1

1で音が鳴り、2,3はおやすみ。全部で3つのマスを使っています。

4で鳴り、5,6はおやすみ。全部で3つのマスを使っています。

7で鳴り、8はおやすみ。全部で2つのマスを使っています。

これを二回繰り返しています。

この図だけだとわかりにくいので、したのリンクの音を聴いてください。

"3 Rhythm 1 BASSDRUM"は、上記の図と同じリズムでバスドラムだけを使っています。"3 Rhythm 1 Edit" は、上記の図と同じリズムで、クラップとハイハットにタイミングを割り振っています。"3 Rhythm 1 Moreedit"では、さらにベースと和音を同じリズムで足しています。

"3 Rhythm 1 slide"では図と同じリズムをバスドラム、クラップ、ハイハットにコピーし、クラップとハイハットの音のタイミングをずらしています。

3-rhythm1_slideアートボード 1

どうでしょうか?軽快な雰囲気があったり、推進力を感じるリズムだと思います。

とりあえずこのパターンを使えば曲ができます。DTMでドラムをこのリズムでとりあえず打込んでみたりしてみてください。

私は気晴らしで曲を作ると大抵このリズムを使います。楽だからです。

3の法則を使った音楽の実例

では次に3の法則のリズムのパターンを応用した曲を紹介します。実際に使われている曲を聴いて、どんな風に使って、どんな風に工夫しているか、一緒に考えていきましょう。

前提として、ここで選んでいるものは、普段耳にすることの少ないかもしれない音楽を選んでいます。これは、ポップスだとたくさんの手法が混っていてわかりにくい為、あえてこのような曲を選んでいます。

実例1:Rian Treanor/ATAXIA_B2

ATAXIA_B2について、考えていきます。プレビューで聴けるうちの一部範囲にあえて限定していますが、大体このようなリズムになっています。

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この曲の作曲者であるRian Treanorは、ほとんど3の法則を使って曲を作っています。実際に他の曲では、このようなリズムも出てきます。

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これは3の法則の2つ目のリズムです。これは最初に紹介したリズムより様々な楽曲で使われる頻度は低いです。というのも、1〜16を2周以上しないと、4/4として捉えるのが、少し難しく感じられます。

下のATAXIA_D1では2つ目のリズムと最初に紹介したリズムを交互に利用して、非常にわかりやすく4/4として捉えることをしています。

このリズムを使うのであれば、バスドラムにこのリズムを使って、スネアやクラップを5と11、もしくは9の位置に打込んだりすることで、ある程度4/4としてわかりやすくなります。以下の図と音がその例です。

また、3小節目と4小節目では、ATAXIA_D1のように、2つ目のリズムと最初に紹介したリズムを交互に利用しています。

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長谷川白紙 / LOVEずっきゅん、Eprom / Regis Chillbin、Errorsmith / Lightspeed、Rian Treanor / Obstracle4、East Man,Streema / Know Like Datは同じような手法でリズムを作っています。どの点が該当するのか、聴いて確かめてください。


実例2 Seekersinternational / WakeUp!Dub

次はSeekersinternational / WakeUp!Dubについて考えていきます。プレビューで聴けるうちの一部範囲にあえて限定していますが、大体このようなリズムになっています。

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6であり3という表記は、16部音符で数えると6になりますが、8部音符で数えると3になるということです。

つまり3の法則のリズムではあるんですが、この曲は最後の部分が鳴っていません。厳密にいうと、違う音でそこは担保してるんですが、他の曲の説明も同時にしたいのと、上に書いたベースとコードの塊がこの曲では大きな仕事をしているので、このように書いています。

このように抜けていると、後半のリズムに隙間が空きすぎて、聞くときに自分で数えないと成立しない音楽もできてしまうかもしれない、スリリングなリズムになります。しかし、seekersinternationalやEast Man、Oneothtix point neverは、むしろこのスリリングな効果を利用して、曲の推進力を制御しています。

その答えは、seekersinternationalであれば13のマス目から毎回いろいろなサンプルをさして、同じループを一つの長いフレーズにしています。1回目は声だけ、2回目はシンセサイザーのメロディ、3回目は効果音、4回目はストリングスです。

この音が入ることによって、次の小節の1拍目の頭に音楽が戻ろうとする推進力が生まれます。この推進力については次回詳しく説明します。

East Man / Can't Tell Me Bout Nothing(feat.Saint P)も、Oneothtix point never / RayCatsも、ほんの少しだけ音を入れたり、完全に音を抜いてしまったり、むしろガッツリ刻んだりと、様々なやり方を利用して、曲の推進力を自由に操っています。

まとめ

今回は3の法則によるリズムについて記事にしました。最後にポップスでこのリズムを使っている曲を多少まとめましたので、是非聴いてどこが3のリズムに当たるか考えてみてください。

それではまた。今度は音楽を聴き続けてもらえるようになる「推進力」について書いていきたいと思います。どうぞよろしく。



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