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なぜ1on1によって「マネージャーが育つ」のか?部下だけではない、マネージャーにとってのメリットとは。

『1on1の最大のメリットは「マネージャーが育つこと」です』

1on1はメンバーのためのものではないのか…?
と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、zens株式会社CEOの町田龍馬さんは、1on1によって「マネージャーが育つ」という観点を強調します。

町田さんが昨年から1on1を取り入れ始め、どのようなプロセスで会社に定着させたのか?そして、なぜ「1on1のメリットはマネージャー育成」だと感じるようになったのか?

ハイマネージャー主催「OKR/1on1/CFR勉強会#4」のレポートをお届けいたします。

町田龍馬さん
zens株式会社 代表取締役

オークランド工科大学を卒業後、2011年トーチライトに入社、同年「株式会社ZenStartup」を設立。コンテンツマーケティング、海外スタートアップ支援、SaaS型のFacebookマーケティングツール開発を行う。しかし、自身のミッション「英語を話す人を増やし、外貨を稼ぐ人を増やし、日本を元気にする」とのつながりを感じれずに苦しむ。
2013年12月、自宅でAirbnbを始めたことをきっかけに、「Airbnbを通じて、多くの訪日外国人にアクセスできる仕組みを作り、最終的には訪日外国人と日本人をつなげる事業をやる」と決意。
2014年からAirbnb運営事業を開始し、現在は、都内の一棟アパート・戸建てを通常賃料の1.1〜1.3倍で借り上げ、または運営代行し、「スマートレジデンシャルホテル」として宿泊者に貸し出す事業に注力している(180施設を管理)。

まずは代表とマネージャーの間で1on1を

もともと私は、個人事業主や自分で起業するという経験が早く、企業に就職していた時期が大学卒業して5か月間ほどしかなかったので、マネジメントされた経験がほとんどありませんでした。それゆえに、自分の会社では様々な問題が起きていました。

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zens株式会社 代表取締役 町田龍馬さん

実はHimanagerを導入する1年前にも、1on1を自分たちでやろうとしたのですが、その時は定着しませんでした。

HiManager導入の際に、森さん(ハイマネージャーCEO)から推奨されたのは、

「最初から全員でやるのではなく、自分とマネージャーでそれを1か月ほど行い、マネージャーの方々に価値を感じてもらう」

ことでした。なので、そこからスタートしました。

エンゲージメントを数値化し「1on1」の価値を理解してもらう

1on1と一緒にスタートさせたのが、エンゲージメントサーベイです。

これもHiManagerの機能なのですが、月に1回の頻度でメンバーに10問ほどの匿名のアンケートに答えてもらいます。この点数によってメンバー1人ひとりのエンゲージメントを数値化します。

エンゲージメントの数値を見ることによって、「1on1は効果がある」ことがよくわかりました。

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1on1を取り入れる前にエンゲージメントサーベイを取った時には、数値が良くありませんでした。しかし1on1を導入してから、エンゲージメントの数値が上がっていくのがわかり、それが私のモチベーションにもつながりました。

エンゲージメントサーベイをやりながら1on1をすることで、メンバーのエンゲージメントが上がっていくことがわかり、マネージャー陣にも1on1に意味があることを感じてもらえたのではないかと思います。

1on1はその人に合ったやり方で

では、実際に私たちがどのような組織で、どのように1on1を取り入れていったのかをお話していきます。

現在、組織のメンバーは業務委託の人を含めて40名ほどで、東京にオフィスで働いているメンバーは20名ほどです。マネージャーが4名いて、私はこの4名と最初に1on1を始め、1年間続けてきました。

1on1の頻度は基本的には週に1回、普段からコミュニケーションが取れている人など人によっては月に1回ということもあります。

1on1のやり方は、基本的にはミーティングルームで30分程度というパターンが多いですが、外に出て散歩しながらやるパターンもあります。

このように1on1は型にはめずにその人に会ったやり方でやることが大切だと思っています。

例えば、もともと前職が1日中立って仕事をしていたメンバーと1on1をする際に「ずっと座って仕事するのがストレス」と言われました。このような人は外に出たほうがクリエイティブにもなるし、ストレス発散にもなるので外に出るほうが向いているということもあります。

1on1が「マネジメント能力不足」に気づくきっかけに

マネージャーに1on1のメリットを聞いたところ、一番多かった声が「マネジメントスキルが無いこと気づけたので、改善をして、マネジメント能力を伸ばせたこと」でした。

なぜ1年前に自分がうまく会社をうまく回せなかったのか…を考えると、自分にマネジメントスキルがなかっただけではなく、各マネージャー陣たちが今ほどマネジメントをできていなかった、という点があると感じています。

昨年取り組んだ1on1では、マネージャーにHiManagerのメモ機能やアジェンダ表示機能を使ってもらうことで、1on1の運営がしやすくなり、結果的にメンバーの話を聞く時間が増えました。これにより、マネージャー自身が「自分はマネジメントスキルがないな」というところに気づいて、努力してくれたため、勝手にマネジメントスキルが向上していました。

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1on1のメモ・アジェンダ機能(デモ画面)

そもそも1on1を取り入れる以前は、マネージャーは、メンバーと時間を取って何かをすることをしていなかったので、マネジメントに関して何が足りていないのかに気づいてもいませんでした。

しかし、今はそれができています。実際に、1on1が浸透してから自分が実務に関わる必要がなくなりました。私がマネージャー陣に権限を委譲し実務には関わらないことで、むしろマネージャー陣のモチベーションが上がったと考えています。

他の人が見ていないところでの会話

他にも、1on1のメリットとしてあるマネージャーが言っていたのは「他の人が見ていないところで話せる」という意見です。

これは、おそらくスタートアップだからという点があるのかもしれないのですが、オフィスの中だと会話がみんなに聞こえるような場所なので、そこで愚痴を言ったりだとか悩みを言いづらいという点がありました。

なので、他に誰もいないところに行くことで、本音を引き出しやすくなります。本音を引き出せると、マネージャーもメンバーのことが理解できるので、そのメンバーに合ったキャリアを一緒に考えることができるようになりました。

メンバーを理解するための「類人猿診断」

もう1つ我々が取り入れているユニークな取り組みとして、類人猿診断というものがあります。

メンバーを4つの類人猿(ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オラウータン)のタイプに分類することで、何に喜びを感じ、何に嫌悪を感じるか…などを、ざっくりと把握することができます。当然人は型に当てはまらないですけど、本質的なところで結構当たることがあります。

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例えば「ゴリラタイプ」の人は、ルールに則って着々と進めたい…だとか、「自分のためにではなく、みんなのために成功したい」「自分の成功よりみんなの成功」という特徴があり、このような人は、バックオフィスに向いていたり、ルールを整えるようなことが得意な傾向があります。

私は「チンパンジータイプ」なのですが、チンパンジータイプは「勝利を目指す」「自分が褒められたい」という、経営者に多い特徴があります。

実は、弊社は以前、このチンパンジータイプが多かったのですが、うまくいきませんでした。

なぜなら、私と合わなかったからですよね。今は意識しているわけではないですが、結果として採用しているメンバーのタイプにチンパンジーはほぼいません。

「ボノボタイプ」は、和気あいあいとした感情を表に出すタイプです。褒められたら喜びますし、感情に寄り添ってあげるといいパフォーマンスを発揮できるタイプでもあります。

「オラウータン」は職人肌の人たちで、褒めるにしても「あなたのこういうところがこういう成果を生み出したからありがとう」と伝えると喜びます。いいねではだめなのです。

これが「ボノボ」や「チンパンジー」タイプにはいいねだけでもいいのですが、このように褒め方1つでもちょっと意識するとうまくいきます。そして、実際に社内でこれをみんなで共有と把握をしているので、1on1をする際もこれを頭の片隅に置いて、コミュニケーションを取っています。

成功するマネージャーの特徴

みなさんご存じかもしれませんが、Googleの調査によると成功するチームは「心理的安全性」が高いと言われています。つまり、各メンバーが自分をさらけ出せる環境であるチームが成功するということです。

そして成功するチームのマネージャーの特徴10個のうちの重要度の高い上位3つが

「いいコーチであること」
「マイクロマネジメントを行わず、権限を与えること」
「チームのメンバーが健康に過ごしプライベートが充実していること、成果を上げることに強い関心を持っていること」

となっています。

このあたりは1on1でメンバーの話を聞くことに徹すれば、自然とできるようになってきます。

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私は、毎回1on1をスタートするときに、「体調は大丈夫?」とメンバーの健康を気にかけたり、「先週末は何をした?」と仕事と関係のないプライベートの話をすることで、先ほどの3つに繋げています。

思っているだけでなく1つの話題にすることで、メンバーは「自分を見てくれているな」と心を開いて話してもらうことができ、悩みを共有してもらえるようになります。

悩みを共有してもらえると、こちらは適切なアドバイスができるようになるのです。それがいいコーチになることに繋がっていると思います。

相手の状況を知らずに、いきなり「あれをやれ」「これをやったほうがいい」と伝えても、絶対に相手に響かないです。

まずは、相手の健康状態だったり、プライベートを含めた精神状態や、他に仕事に対する様々な障害を理解してあげないと、何を言っても聞いてもらえないです。しかし、今ではそれが1on1をしていると勝手にできるようになりました。

これこそが私や各マネージャーが感じている1on1を取り入れて良かった点です。

1on1をやる最大のメリットは「マネージャーの育成」。

ここまで話してきたように、1on1をやる最大のメリットを一言でまとめると、「マネージャーの育成」です。

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マネージャーが育つことで会社が成長します。

なので、私が推奨したいことは、まずは代表とマネージャー陣で週に1回/ 30分の1on1をやる。これを1か月行ってから、マネージャー陣がメンバーとの間で1on1をしてもらう、という形です。

この時に重要になるのが、ちゃんとエンゲージメントサーベイを取って、ビフォーアフターがわかるように実行することです。

これによって、「なんでやるの?」と疑問に感じられたとしても、数字を用いたデータから改善されていることが読み取れるので、やる価値があると納得してもらうことができます。

ですので、エンゲージメントサーベイを取りつつ1on1をすることをおすすめしたいと思います。

最後になりますが、私が1on1を1年間やって感じたことは、1on1は従業員のためとよく言われるのですが、私はマネージャーのためだと思っております。マネージャーがよくなれば、結果的に従業員のためになります。

なので、マネージャーの育成のために1on1をやってほしいなと思ってます。

以上になります。ありがとうございました。

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株式会社リンクトブレイン様のオフィスをお借りしました。
会場提供頂き、ありがとうございました!

1on1の理解を深めたい方はこちら

1on1の「目的」から「具体的な手法」までの理解を深めることができるパーフェクトガイドです。

「メンバーに寄り添ったマネジメントがしたい」
「メンバーのモチベーションが下がっている」
「部下とのコミュニケーションがうまくいかない」

という方の一助になれば幸いです!

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ハイマネージャー
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