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世界最先端の大学がOKRを使う理由とは。

この記事は、以下の記事の翻訳となります。

「既存の大学のあり方を刷新」し、21世紀型のグローバルリーダーを育成することを目的として2012年に設立されたのが、ミネルバ大学です。

そのミネルバ大学がなぜOKRを使用しているのか?
ビジネスの世界にも応用できる知見が詰まっています。

OKRで将来を方向付ける

ミネルバスクールは、OKRを使用して高等教育の将来を描き、大学の在り方を再考している。

自身の学生時代を覚えているだろうか。人生の中で草が生い茂るキャンパス周辺に固定された4年間。他の何百人もの学生がいるホールでの1時間の講義や、図書館で行った一夜漬けの勉強。今日の伝統的な大学を訪れても、当時とさほど変化していない。そしてそこが問題なのだ。

現代の大学モデルは、50年前の学生が労働力として就労するための準備としては十分だっただろう。しかし、これまでの間に多くの変化が起きている。今日の学生は、複雑な問題解決能力を基本とした、非常に競争の激しいグローバルな雇用市場に参入しようとしている。

ほとんどの大卒者は就労に際して十分な準備を経ていると感じていない。2018年のマグロウヒル・エデュケーションの調査によると、大学卒業生のわずか10人に4人が、将来のキャリアに向けてしっかりと準備が整っていると感じていた。

それが、ミネルバスクールのKGIプログラムが21世紀の大学のあり方を再定義している理由である。

創立者のベン・ネルソンとディーン・スティーブン・M・コスリン博士は、クリティカルでクリエイティブに思考する能力や、効果的にコミュニケーションを図り、他の人とうまく働く能力を養うためのカリキュラムを作り上げたのだ。目標は学生たちをあらゆるキャリアに対応できるよう導くことであり、これは既存のキャリアにとらわれない。

学業面以外ではマイク・ワンとスチューデント・イクスペリエンス・チーム(学生体験チーム)が、学業での学びと就労準備の橋渡しをしている。
「理由」は単純だ。「世界で最も複雑な問題を解決しようと思った場合、その問題に没頭しながらも生活していく必要があるからです。」とワン氏は言う。

そのため学生は門のあるキャンパス内で4年間を過ごす代わりに、世界で最も活気のある7つの大都市の中心に住み、見て回れるのだ。ミネルバの教室にはどこでもしっかりとしたWi-Fi通信が整備されている。学生はサンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドンと台北に住み、講義は「フォーラム」と呼ばれるオンラインのビデオ会議プラットフォームを通じて行われる。これは能動的な学習に向けての教育法の一つであり、学生の進捗や成長を確認し、効率的に個人に向けてのフィードバックが行える。

一方、ワン氏と彼のチームは、様々な体験やコミュニティプロジェクト、インターンシップを通して、学生たちが渡航先の都市に馴染めるようにしている。

ミネルバは2014年に開校された。学問的・体験型問わず、すべてのプログラムは「世界に役立つ重要な知恵」という学校のミッションを念頭に置いて設計されている。これは複雑な問題に取り組む能力を習得した、順応性のある地球市民を養成したいという願いにつながるものだ。

「現在していることがこの目標に対して意味がない場合には、中止するようにしています」とワン氏は話す。

しかし、教育は煩雑なものだ。予測できない事態も起こる。しっかり練られた計画でさえ、学生のキャリアの軌跡においては「うねるような迷路」にさえ見える「ボウリングのレーン」を誤って作り上げかねない。

「学生は入学当初は医者を目指して医学部に入学しながらも、最終的には国際開発の分野に就職先を見つけて卒業することもあります。」とワン氏は続ける。

教育成果は、収益目標ほど明白なものではないのだ。一部の結果はこれから20年、30年先まで明らかにならないだろう。幸いにもワン氏と彼のチームは結果を見出すのにそれほどの長期間を待つ必要はない。今年の初めに、彼らはOKR(目的と主要な結果)を使用して、彼らの戦略が教育成果に与える影響の測定を始めた。

「成功とされる結果」の再定義

今年の初めに学生体験チームは、ミネルバスクールのKGIプログラムで初めてOKRを使用した。すでに組織づくりにおいて研究と科学領域の情報は網羅していたため、ワン氏は正確な測定を目標に明確に結びつけるOKRに更なる活路を見出した。

更に広い視点では、OKRはミネルバが7つの都市にまたがる文化的に多様なチーム間のコミュニケーションを円滑に進めるうえでも役立った。この新しい共通言語によりフィードバックの授受が容易になり、最終的に彼らの最上位目標に理解を得やすくなった。最上位目標とは、連携がとれ、基礎がしっかりとした4年間の体験を通した共同カリキュラムを指す。ここには様々なアクティビティ、プログラム、学習体験による構造的な学習カリキュラムが含まれている。

測定値を学生の目標に合わせるために、チームは現在ストラダギャラップ同窓会調査として知られているギャラップパデューインデックスレポートなどのリソースと研究を参照している。報告書では、卒業生の幸福感と職場での高い関与に最も影響を与える大学での経験カテゴリを2つ定めている。これは学びを刺激するメンターを持つこと、そして次に、講義で得た知識を実生活に生かせるような仕事、インターンシップ、そして学期を通してのプロジェクトに就くことだ。

各都市の専門職と学生の興味やニーズを仲介することは、既に学生体験チームのプログラムの一部としてあった。しかしOKRを書き留めて共有することで、より正確で長期的な影響を追求することができたのだ。特定の分野から寄せ集めたパートナーの数を管理するだけでは、十分な把握とは言えなかったのだ。実際どれほど多くの学生が、このようなパートナーの経験を通して推薦状やインターンシップの機会を得たのだろうか。OKRの中で学生への調査を行ったことは、どのような特定の体験を提供すべきかの理解に役立った。

現在チームはミネルバでの学生の4年間のそれぞれを独立したものだと考えている。学生は彼らの人生における特定の瞬間を反映できるような、明確な目標と結果が各年次に設定されている。4年次と1年次では学生が必要とするものは大きく異なる。OKRの構造によって、様々な結果は単独で設計されているのではなく、連携を取り透明性を担保したものとなったのだ。

秘訣は目標の共有

適切に使用すれば、OKRは組織が目標を追い、進捗を測定するのに役立つだけに収まらない。異なるパズルのピースをしっかりと把握し、はめていく上でも大きな手掛かりとなるのだ。OKRの活用が2年目に入るにあたり、ワン氏はこの実践により完全に連携の取れた4年制教育の成果を大学全体で認識できると信じている。

「学生はそれぞれの学部を異なる大学として評価するわけではありません。彼らの学習と発展の可能性を最大限に引き出すためには、チーム間の統合と成果の調整が必要です。」

とワン氏は言う。

ミネルバの学者、学生経験チーム、コーチングチーム、学生課、およびメンタルヘルスチームは、重複した課題に取り組んでおり、重複していることにすら気づいていないケースが多いのだ。

一例として、ミネルバのコーチングチームが挙げられる。このチームはインターンシップと就職活動のプロセスについて学生に助言する上で大きな役割を果たすが、成功への唯一の貢献者ではない。主に学生の健康維持に焦点を当てているカウンセリングと心理学の部門は、就職の面接や準備段階における学生のメンタルヘルスのニーズに対応することで、学生が内定をとる上での主要な役割を果たしている。

「すべての部門が学生の成長方法について話すための共通言語を持たない限り、誰もが真夜中に航海する船のようなものなのです。」

ワン氏は共有目標の必要性について語る。

高等教育の再定義は容易なミッションではない。ミネルバが学界の新しいリーダーとしての地位を確立することで、他者も彼らのモデルに追随し、更に発展させていくことを期待している。彼らが革新を続け、更なる高みへ進み、世界が必要とする次世代のリーダーを育成するためには、OKRによる集中と連携が必要なのだ。

(Publisher:Bruce Gil)

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