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技術職の成長につながる人事評価とは?基本と注意点をわかりやすく解説

人事評価は正しく運用できれば組織としての力を何倍にもできます。
一方、従業員が不満を感じる運用になると、退職者の増加や生産性が低下するなど、非常に怖さもあります。

そんな人事評価ですが、当然企業や業種・職種により適切な人事評価は異なります。

そこで、今回の記事は職種の中でも「技術職」にフォーカスした上で、人事評価を行う際の基本や注意点を記載します!

自社に技術職の従業員を抱える企業の方や、人事担当者の方は是非参考にしてみてください!

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人事評価や人事考課の目的は?何に使えるの?

はじめに人事評価とは、その名のとおり、従業員を評価することです。
人事考課とは、その評価をもとに昇進・昇給、人員配置などを決めることを指します。

そのため、厳密にいえば人事評価が上位にあります。
ただ、実際のところは同じ意味のように扱われることが多いです。

さて、技術職に限らず、その目的は大きく3つです。

・全社員を公正公平に評価し、適切な給与や賞与を与えること
・人事異動をはじめとした適切な人員配置をすること
・会社からの期待や役割を伝え、社員の成長を支援すること

細かく見るともっとありますが、多岐にわたった複数の目的・効果があることが分かります。

一方で、部下側から見ると「昇進や昇給に繋がった評価が得られたか」という視点だけになりがちです。

前提として、上司側と部下側で意味合いにズレがあることが多いので、部下側の視点に立つことが大切です。
そのため、部下側に不公平感が出る評価やフィードバックをしてしまうと、組織崩壊にもなりかねません。

仮に、個人チャットや喫煙所でメンバー同士が評価シートを見せ合ったとしても、納得するような評価をする必要があります。
大事なのは、部下に納得感がある人事評価をすること、それを適切にフィードバックすることです。

技術職・エンジニア職の人事評価の特徴①|プロセスが見えづらい

技術職の人事評価はハッキリと数字が出る営業と比較すると難しいです。

プロセスが見えづらいため、成果が結果だけで判断されてしまいがちです。
特に、基礎研究など結果が出るまでに数年かかる業務の場合、どうしても成果だけで評価はできません。

方針転換や外部環境の変化があった場合も、評価できるようにしなければなりません。

技術職・エンジニア職の人事評価の特徴②|技術者側が専門スキルだけを見ている

技術発展が起き、ソフトウェア開発の企業が自動車を開発するようになった今、より一層高いコミュニケーション能力が求められています。

技術力に自信があるだけに、他の従業員の提案にひたすら意見して自身の考えを押しつけてしまうこともあります。
そのコミュニケーション力が不十分なために低評価になったことに非常に強い不満を持たれてしまうこともあります。

また、卓越した技術力を持っていてもコミュニケーションが苦手な方もいます。
そもそもコミュニケーションが苦手だから技術者になった方もいますから、フォローが必要です。

どちらのケースにしても、プロジェクトも進み、良い人間関係も作れるチーム作りの必要性を伝えることが大切です。

技術職・エンジニア職の人事評価の特徴③|技術者側が仕事の範囲を限定する

物事を深く追求できる技術者は非常に優秀です。
しかしその範囲が限定的で、会社からの期待に関心が持てないケースもあります。

例えば、機械系の技術職だったとしても、Pythonというプログラミング言語で分析をすることは今は当然のように求められます。

自身が興味のある業務だけを追求したり、周囲からのヘルプを積極的に助けようとしなかったりなど、自分の枠に収まってしまうことがあります。

人事評価を上手に回す3大要素

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技術職の人事評価でベースになるのは、やはり技術力です。
日本は諸外国に比べて技術力への評価が低いとも言われています。

言い換えれば、たとえ専門知識がなかったとしても、上司側は技術力を理解しようとしなければなりません。

ここからは、人事評価における3大要素である「評価基準」「目標設定」「フィードバック」に沿って、技術職の人事評価の注意点を解説していきます!

人事評価の3大要素①評価基準|評価基準の目的を理解する・させる

前提として、人事評価には上司側と部下側で意味合いにズレがあることが多いと前述しました。
まずはそのズレた認識を合わせることから始めます。

評価基準になるのは人事制度ですので、伝えるべきは、管理職個人の考えではなく会社としての考え(期待・役割)です。
当然、管理職によって判断基準が異なるようでは、上司の顔色を伺う従業員になってしまいます。

その上で、明確な評価基準を部下に持ってもらうために必ず伝えなければならないのは次の3点です。

・グレードの期待役割を基準に目標設定すること
・任せている業務が、企業(あるいは部署)からみてどの立ち位置にあるか説明すること
・企業からの期待と、個人の成長目標の方向性に一貫性を持たせること

1つ目に、グレードの期待役割を基準に考えさせます。
当たり前のことにはなりますが、日々忙しい業務のなかで自身のグレードを気にしながら勤務している技術職は多くありません。
この説明をしないと、「成果は出てませんが頑張ったので評価してください。」となってしまう可能性もあるので必ず押さえます。

2つ目に、任せている業務の立ち位置を説明します。
例えばテスターのような業務ですと、人によっては単純作業をひたすら行なっているように感じてしまい、成長実感を感じづらいかも知れません。
その業務でどんな成果を出して欲しいのか、どうキャリアアップに繋がるのかを伝えて、客観的な視点を持つように促します。

3点目に、個人で成長したいことを記載するように指示します。
一部の従業員は会社から評価されることだけを記載してしまうときがあります。誤りではありませんが、自ら課題を設定して成長していく従業員に成長させるには、個人成長を促す必要があります。

人事評価の3大要素②|目標は部下に決めさせる

会社としての期待役割を伝えたら、次は部下が目標設定をします。

よくあるケースは、部下が提出した目標設定シートを上司が書き換えてしまうケースです。
それでは、部下の納得感が薄れてしまいますし、目標達成できなかったときに「そもそも自分で決めた目標じゃない」という逃げ道を与えてしまうことになります。

基本は、数字で記載して定量評価ができるようにします。
技術職であれば、工数を10%削減や改善提案を10回以上行うなどが言えます。

一方で、コミュニケーションなど、定性評価も重要です。
特に技術職は、自身の業務範囲や専門スキルにしか関心がない方もいます。

例えば、目標設定の中に後輩指導があれば、直属の部下がいない技術者がチーム外の新人に仕事を教えることもあるかも知れません。
極端な表現をすれば、目標設定に記載されていることだけが評価対象になります。
つまり、目標に記載されていない業務でどれだけ成果を出しても、高評価はつけられません。

同時に、記載されていない業務を部下がどれだけ断ったとしても、それを理由に低評価をつけてはいけません。
1回で決める必要は当然ありませんから、何度も話し合って決めると良いです。

オススメなのは、SMARTの法則というフレームに沿って作成することです。
目標設定でよく用いられるフレームですので、是非参考にしてみてください!

SMARTの法則
 L Specific(具体的で)
 L Measurable(測定可能で)
 L Achievable(達成可能で)
 L Related(経営目標に関連していて)
 L Time-bound(時間的な制約がある)

人事評価の3大要素③|フィードバック

フィードバックには、コメントと面談の2種類があります。
共通して重要なのはエビデンスを持つことです。

業務プロセスが見えづらい技術職は、日々の業務から意図的に見える化をする必要があります。
例えば、WBS(Work Breakdown Structure)やガントチャートを使ってプロジェクトの進捗や貢献度合を見ても良いです。
この時に必ず担当を表記することでお互いに見える化ができます。

そしてやはり難しいのは、コミュニケーションをはじめとした定性評価です。
特に現在は在宅ワークが普通になっていますので、これまで以上に見えづらくなりました。

部下に、なるべくCCに上司を入れるように指示することもできますが、それでは本当に一部だけしか見えません。

面談時の注意点としては、フィードバックは評価を正しく伝える場であり、決して指導の場ではないことです。
特に面談の場で、「あのとき、〇〇をやらなかったのは何故なんだ」「納期が遅れた真因はなんなんだ」などと問い詰めてしまっては、部下側から正直な意見が出て来なくなってしまいます。

上司側のスタンスとして、会社としての評価を正しく伝えることに努め、その後は傾聴に努めると良いでしょう。

評価コメントという明確な表現があるので、普段の会話や1on1ではできない正直な会話ができるのがフィードバック面談です。

技術職・エンジニア職だからこそ人事評価で注意すべきこと

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技術職の人事評価ではいくつか注意すべきことがあります。

1つ目に、技術職の中には細かく言葉の定義を求める方がいます。

それは設計書や要件定義書をもとにプロジェクトを回す技術者にとって、ドキュメントは最上位の資料になるからです。

現実的には、部下の全ての単語に同じ定義を持つことは年単位の時間がかかります。できることなら、明文化をするのが望ましいです。

2つ目に、業務の種類が多岐に渡っているため、他業種と比較して評価基準がブレやすいです。

ITエンジニアでも設計フェーズなのか回収フェーズなのかでも違います。
電気系エンジニアでも開発なのか品質保証なのかでも違います。

ブレてはいけないのは、他者評価と自己評価の二側面と、結果とプロセスの二側面の4つの領域から評価することです。
複数の視点を持つことで偏りを減らします。

3つ目に、専門的な技術の評価の難しさです。

上司が技術職出身だったとしても、現場にいたのが20〜30年前であれば難しいかも知れません。
技術職出身でなかったとしたら、極めて難しいです。

1つの方法として、同じチームメンバー同士でしたら技術力の凄さが分かります。
そのためには360度評価もありますし、素直に話しを聞きにいくのも良いです。

難しさはありますが、理解しようとしてくれる上司は多くないのが実情です。
とにかく理解しようと努めることが部下の納得感に繋がります。

人事評価が技術職の部下の成長に繋がらない時のチェック項目

最後に、きちんと話をしているはずなのに、なぜか部下が不満を持っていそうな際などの、対象法やチェック項目を記載いたします!

技術職の部下の育成で迷ったら下記を確認してみてください!

項目①|評価基準の話を100%の基準だけで伝えていないか

例えば、保守・運用のように問題を発生させないことが達成度100%の目標になる職種があります。
そうすると、110%の評価はもらえず、評価基準からして不公平感を感じてしまうかも知れません。

どこまでが最低目標なのか、どこからが努力目標なのか、それを明確にしましょう。

また、上司側は努力目標だと認識していても、部下側が最低目標だと認識してしまい、挑戦する前からやる気を失ってしまうこともあります。

部下側の発言や様子を見るのではなく、上司側からも伝えるようにすることが重要です。

項目②|上司側の都合を部下に押し付けていないか

大企業になればなるほど、人事評価の調整があります。
この調整では、正規分布になるように調整が入ります。

しかし、それを部下に押し付けてしまうと非常に強い不満が残ります。
「次もどうせ評価してもらえない」と退職の原因になってしまうかも知れません。

評価制度なので非常に難しいことではありますが、そうならないためにはステップを追って成長していける成長目標を見せることが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

基本的な内容を軸にしながら、技術職の人事評価で陥ってしまいやすいケースを想定して記載しました。

ハイマネージャーでは、従業員を評価するだけではない人事制度の支援を行なっています。

気になった方は、是非お問合せいただければと思います!

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