各国自国名の再考考
各国自国名の再考考
G20の時にインド・モディ首相は国名をIndia(英語)ではなく自らの国名、ヒンディー語の「バ―ラト」に変える意向をもっていると言われた。この国名変更について少し考えを巡らせたい。
まず、インドの「バーラト」であるが、ヒンディー語で書くとभारतで他国の人は読めないのでラテン語に転写したBhāratである。これは、以前「インドのトリビアシリーズ」で書いたインドの2大叙事詩の一つにして世界最長の叙事詩、準聖典の「マハバーラタ」から来ている。マハは魔訶(魔訶不識、魔訶般若波羅蜜多心経の魔訶)と書きサンスクリット語で「偉大な」という意味。バラタは王族の名前で「偉大なるバラタ族」を指す。ヒンディー語ではバーラトになるようだ。
さて、国名を自国本来の呼び方にするのは、私は少なくとも日本についてはJapanではなくNipponにすればいいと思っていた。漢字で日本、中国、大韓民国と表示する手もないではないが無理があると思う。
(因みに国連の公用語は中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語+アラビア語。ユネスコでは更にヒンディー語、イタリア語、ポルトガル語が加わる)
やはりアルファベットで表示しないと無理があるだろう。但し、ここでいうアルファベットとは英語の26文字に限定する必要はない(欧州でも国より異なる)
各国の正式名に「共和国」「民主主義」「人民」「連邦」などが入っていることが多いのだが、国名の簡記には不要だろう(例えば、共和国を入れると国名は形容詞に変化したりする為。例外はUSA位か)。以上のよう手前味噌の前提で主要?な国名を考えてみる。
1, G7諸国
(1)英国・米国:元から英語、米語の英国と米国は問題ない。英国は略語ではGBR、UKの両方を使うが、任せればいい。基本はUnited Kingdom。米国はUSAのまま。
(2)フランス:共和国をはずせばFranceのまま(英語も同じ)。
ゲルマン民族のフランク族から来ているが、フランス人自体はガリア人で
ローマ帝国の末裔を主張したりしている。.
(3)イタリア:同じく協和国をはずせばItaliaが妥当.
(英語のItalyなど使う人は少ない)
(4)ドイツ:Deutschland(ドイッチェラント)というしかない。Deutsch
だけだと形容詞になってしまう。英語のGermany・Germanは不適切。
(5)カナダ:フランス語と英語で多少発音は違うが表記はCanadaで一致。
(6)日本:Nipponで決まり。断じてNihonではない。
(7)ユーロ:国名でないので省略、表記はEuroしかない。
2.BRICS諸国
(1)ブラジル:ポルトガル語のBrasilがよい(英語はBrazil)
(2)ロシア:一般的に広まっているRussiaにするか、ロシア語Pоссияするか。
私は前者がいいと思う。発音は似ているので多分ロシアも異論なし?
(3)インド:既に述べたので省略。
ついでにいうと隣国のパキスタンの現地語のラテン文字転写はPākistānで
英語のPakistanと変わらない。
(4)中国:「中国」と漢字にするわけにも多分いかず(とは言え、漢字の元祖
なのでそうする可能性もあるか?)、Chinaもあり得ない?のではないか。
中国のスポーツ選手は日本は日本的漢字の読みをしている一方、英語放送
や選手のユニフォームの背中は中国の発言に近い英語表記を使用(例えば
女子卓球選手の丁寧は日本語読みは「ていねい」。英語はDing Ning)。
中国はZhōngguóである。賢い?中国の人ならは近い英語を考えるか?
(5)南アフリカ:元から英語のSouth Africaでよい。
3.前期1と2に含まれないG20国
(1)アルゼンチン:スペイン語のArgentina(英語はArgentineだが通称は
英語もArgentina)。
(2)オートスラリア:英語のAustraliaのまま。今更アボリジニのことは持出せ
ない。
(3)インドネシア:現地語も英語もIndonesiaで一致。
(4)メキシコ:スペイン語の略称México(メヒコ)が妥当。英語もMexicoで
凡そ同様。
(5)トルコ:トルコは既にTürkiyeにすることを決定済み。英語のTurkeyは
もう使わない。
(6)サウジアラビア:「サウード家のアラビア」という意味はくよく知られて
いる。アラビア語で表現してもアラビア語を理解しないと読めないので
SaudiArabiaの儘がよさそう。要はサウード家が入っていれば異論なし?
(7)韓国:これは難しい。韓国の人にとって本来South Koreaはあり得ない。
ハングルでは大韓民国: 대한민국 韓国: 한국
スポーツの応援で「テーハミングク(大韓民国)」と言っているのは周知
の通り。これをアルファベットで表すとTehamingukuながら違和感あり。
大というのは不遜な気がするし民も不要なので、私ならHanguku(韓国)
にしたい。
因みに英国の Great Britain のGreatはフランスにある小ブリテンに対する
もの。「偉大な」という意味ではない。
4.昔から日本に縁の深い国、植民地支配国
(1)スペイン:España(エスパーニャ)が妥当(Spainは英語)。
(2)ポルトガル:Portugal が妥当(発音は違うが英語もPortugal)。
(3)オランダ:これは今のNederland(ネーデルラント)でいい。これはオラ
ンダ語である。Hollandは俗称で一部州名のこと。日本でオランダという
由来はポルトガル語ホラントが宣教師によってもたらされたことによる。
(4)ベルギー:オランダ語、フランス語、ドイツ語の呼称があるので英語の
Belgiumにしておくしかなさそう。ベルギーはガリア人の内のベルガエ族
に由来。
4.その他の国
英国、ポルトガル、スペイン、オランダ、米国などの植民地だったところは現地語と旧宗主国の呼び名は概ね同じである。①色々な民族が混在し公用語が多数、②移民(奴隷を含む)が多い、③宗主国言語が公用語になっているところが多いなど、オリジナルの現地語を話す人が誰かが特定しにくいからである。宗主国時代の呼称にするか現地語のラテン文字転写をベースにするしかなさそうそうである。
例1) モンゴル:モンゴル語:Монгол ラテン語転写:Mongol。
例2) ベトナム:越南国、越南語のViệtNamなのでVietnamでよい。
例3) ビルマ:嘗てはBurmaともいわれたが、今では英語でも現地語の
Myanmar
例4) モロッコ:言語、民族、地域名が複雑で英語Moroccoのままが良い
だろう。宗主国フランス語はMaroc。モロッコとは、最近地震被害を
受けたマラケシュに由来。
例5) ケニア:幸いにもスワヒリ語でも英語でもKenya。
例6) ウルグアイ;スペイン語のUruguay。
例7) トンガ:現地語も英語もTonga。
多分、例外を上げれば切りがないが、所謂新興国は余り問題がないと思う。独立した際する付けた名前が尊重されているはずなので。
例8) セネガル:Sénégal(フランス語)。
例9) ウズベキスタン:ウズベク語でOʻzbekiston、英語はUzbekistanで
凡そ同様
ところで、韓国の人の名前を嘗ての日本では日本語的漢字読みをしていたが、今では現地に沿った読みをしている(李承晩:イ・スンマン、朴正熙:パク・チョンヒ)。
中国は未だ日本語的漢字読みである。習近平:しゅうきんぺい。英語はXi Jinping。
韓国の李はイと読むのは今や日本の常識だがスポーツ選手のユニフォームの背中の名はLeeである。朴(パク)はPark、釜山(プサン)もBuzanで違和感あり。説は色々ある。韓国の人が認めているようなので問題ないのだろう。
以上、取り止めもなく下らないことを書いてきたが、Nippon/Japan(/Nihon)については如何であろうか。海外のスポーツ応援でNipponはかなり浸透していると思う。変える色々ややこしくなるのは分かっているので、せめてスポーツの日本代表はNipponに統一すべきではないか。過去のオリンピックでもNipponを堂々と使っていたし今でも使っているスポーツもあるので。
会社名の日本〇〇の英語表記名はNippon(日本製鉄、日本生命、日本電気、全日空など)。日本航空JALは例外。
日本国号に関する質問主意書 (shugiin.go.jp)
蛇足:
違和感を感じる人が多い国名がジョージアでないだかろうか。ロシア語由来のグルジアを嫌って変えるのはいいとしても、ジョージアは変である。アメリカの州名と同じだからということでなく、孤立語のカフカース諸語でジョージアという言葉が出てくるはずがないし(聖ゲオルギウスから取ってジョージアにしただけ)、自国でそう呼んでいない。どうして自称のサカルトヴェロ、ラテン語転写のSakartveloにしなかったのか不思議。
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