ボードゲーム『サラウアバク』を“作るまで”
こんばんはボードゲームデザイナーの大塚健吾です。
この度、新作を発表しました。
怪盗と探偵の駆け引きがテーマの2人用ボードゲーム『サラウアバク』
PVこちらです。
めっちゃ見てくださってありがとうございます!!
いや~、『逆転裁判』の岩元さんと山﨑さんですよ!
子供頃から大好きなゲームを手掛けられた方々との打ち合わせ。
正直、毎回興奮しっぱなしでした。
そんな感じに楽しくなってくるまでにはいろいろありました。
ホントいろいろありました。
『サラウアバク』が『サラウアバク』になる前の話。
そして、大塚健吾の
“企画・ゲームデザイン”の前者の方。
“企画”について書きます。
目立つところで言うと、
今回、ゲームに小説が付いてくるわけですが、
それには結構深い事情があるんですよ。
『サラウアバク』は『シノミリア』以来の完全僕主導の作品ですが、
きっかけは、実は、企業の方からいただいた依頼でした。
内容は「あるアニメ作品のボードゲームを作って欲しい」というものでした。
ボードゲームデザイナーの仕事ってあんま知られていませんが、
要するに、
“○○っていう面白さをボードゲーム体験できるようにルールを作ること”
それだけです。
前作『シノミリア』では、
【ギャンブル漫画の主人公のようなボードゲーム体験】
として、様々な設計をしました。
この写真とかもその一つですね。
で、アニメ作品のボードゲーム化。
最初にやることは一つで。
“○○っていう面白さをボードゲームで体験できるようにルールを作ること”
その○○に、アニメ作品のタイトルが入りそうですが、そうではなく。
もっと、より具体的に、言語化できなきゃ始まりません。
という訳で、僕はそのアニメ作品。
全話14周くらい観ました。
まぁ、ただただ、ごろごろしながら、アニメ観てただけなので、
それは全然大したことではないんですけど。
そのアニメ作品の内容は、あんま言うと、ちょっとあれなんで、ざっくり。
その作品に登場するのが主人公の探偵とライバルの怪盗でした。
なんかこう、“みんな大好き!”って感じしますよね。
『アルセーヌ・ルパンVSハーロック・ショームズ』(作者が勝手シャーロック・ホームズ登場させてめっちゃ怒られたらしいです)
『明智小五郎VS怪人二十面相』『名探偵コナンVS怪盗キッド』とか。
そうした作品の“面白さ”のメインはどこなんなんでしょう?
次の2つにまとめました。
①厳重な警備がしかれる中、この一見不可能な状況で、怪盗はどうやって盗みを成功させるのか?というワクワク感
(推理小説用語では、ハウダニットとか言うそうで)
②怪盗は変装によって、登場人物の誰かに成り代わっている。その人物は誰なのか?探偵はそれを当てられるのか?というドキドキ感。
(推理小説用語では、フーダニットとか言うそうで)
怪盗と探偵のボードゲームを作るにあたって絶対に再現しなくてはいけないのはこの面白さだな!と定義付けました。
そこからですよ。
さらには、アニメ作品のターゲットに合わせた、ゲームデザインや、
それ以外にも活躍させたいキャラクターがいて~、
とかいろいろ考えました。
そして、なんとか、ゲームを完成させました!!
で、
感染症の流行の影響により、企画がなくりました。
いや~、めっちゃ落ち込みました。
ホントめっちゃ落ち込みました。
すげぇがんばったし!すげぇいいのが出来たし!!
すげぇ面白いんだってコレ!!
なんだよ、コレ!世の中に知られないまま終わるのかよ!
さぁ、そんな事言って、落ち込んでばかりいられません。
嘘です。落ち込んでばかりいました。
で、動き出しました。
というか、思い切りました。
企画がなくなったら、全部一から自分で企画してやってやるぜ!
と。
うん。
や、メリットもあります!!
アニメ作品のボードゲームがゆえに、
ボードゲーマーとして加えたかった戦略性の濃さをあえて抜いたりしてたか
ら!
そういう制約抜きにして、ただただ、自分の好みに。
ボードゲームとしての面白さを中心に調整できます。
ただ、残念なこともあります。
自分にとって、今回の仕事で一番自信のある部分。
それはやっぱり、そのまんま。
“そのアニメ作品の世界観の面白さをボードゲームで再現したこと”
なんですよ。
その部分が伝わない状態で、作品を世に出しても、
それは不完全な物をお届けすることになり、
意味がないなと。
それで、なかなか動き出せなかったんですけど、
ある時、ひらめきました!
なら、世界観ごと作ってやろう!!
はい。ひらめきって言うか、まぁ、はい。
そして、憧れの方々にお声がけするところから始めました。
や~、ホントね。
岩元辰郎さんデザインのキャラクター見てください!!
もうだって、完全にアニメが始まりそうじゃないですか!!
正直、未だに、この尋常じゃなくすごい方がお力を貸してくださっているのが不思議でしょうがないです。
で、さらに、世界観を作る為に、
物語がなくなったのなら、もっといい物語を作ればいい!
と小説の同梱を思い付きました。
……に、したって、ここまですごいのができるとは!!
こちらは著者の山﨑さんと、あと、本業で普通に本の装丁しているでじさんのお力です。
小説。
以前から考えていたことではあるんですけど、
子供の頃、近所のゲームショップ(無駄に店名書くと『わんぱくこぞう』)
でゲーム買った帰り道。
家帰って起動するの待ちきれず、
箱開けて説明書のストーリー部分熟読して歩きました。
あの時間が僕はめちゃくちゃ好きでした。
『サラウアバク』には説明書のストーリー以上の物が入りました。
当初、僕は“ボードゲームデザイナー”だけでしたが、
依頼いただいた企画がなくなったことで、
今回、企画者になったことで、全部をこだわれるようになりました。
……って言うと、なにやらカッコイイですが、
実際、僕はなんもしてなくて、本当にすごい人達にやったもらっただけです。
すごい人達のすごさを書くのはとても楽しいので、
また、改めて、まとめたいと思います。
『サラウアバク』
もう少しお届けできます。
ご期待ください!!