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ひと区切り 2022J1㉓セレッソ大阪vsアビスパ福岡

正直、塩試合になるかもしれないと思っていた。


昔、大事な試合だったのに、勝つことができなかった相手だったし。かつて桜の将来を夢見た選手が相手の守護神として立ちふさがったのもあるし。リーグ最少失点でありながらリーグ最少得点でもある相手を打ち破るのは簡単ではないだろうと思っていた。


この試合はなんとしても勝ちたい試合だった。ここで勝つことで福岡との相性に区切りをつけたかった。



セレサポとしては、アビスパに対してはどうしても少し意識せざるを得ない。


2015年の福岡は中村航輔とウェリントンがいて、井原正巳監督が落とし込んだ堅守をリーグ戦では打ち破れず。昇格プレーオフでようやく玉田&関口のコンビネーションで崩したと思いきや、その1点を守り切れず。あの割り切って守ってくる感じはとても憎たらしかった。ただその堅守を武器に戦ってシーズンの大半を3位でシーズンを過ごしたアビスパと、ギリギリで大熊清に昇格を託して一縷の望みにかけようとしたセレッソ。あの時昇格できなかったのは妥当だといえる。



カテゴリーが入れ替わりになったこともあり再戦はかなり間が空いて2021年に。ここでも福岡の堅守が立ちふさがった。もっとも、セレッソが苦しくなってしまった原因は自分たちにあった。10人になって割り切って守ってくる相手のブロックの外でどれだけボールを持ってもチャンスは生まれないし、勝つためにやるべきことがチーム全体で統一されていないとどれだけ走り回っても無駄走りに終始してしまう。元彦のスーパーゴールは素晴らしかったけどああいうシュートを何度も決めるのは難しい。


福岡に勝ちたい理由はもうひとつ。ついにJ1のレギュラーGKの座をつかみつつある永石拓海がいたから。

福岡大学から2017年にセレッソで2種登録、2018年にセレッソに正式入団。しかしU23暮らしが続き、2019年はレノファ山口にレンタル修行するも開幕前に左膝後十字靭帯損傷で離脱してしまい全く試合に絡めず。2020年ロティーナ体制ではジンヒョンの控えGKでチームをサポートするもJ1デビューはならず。
セレッソでのキャリアは苦労も多かったはず。昨季からアビスパに活躍の場を移し、カップ戦でようやく出番を得てプレーしている様子や大学時代に縁のある福岡の地でアビスパにも馴染んでいる様子を見ていると、セレッソとしては惜しいがこのままアビスパにいた方が良さそう…と個人的には感じた。移籍コメントにはセレッソへの感謝とセレッソ相手に無失点を誓う文言が。

「セレッソ大阪に関わる全ての方々、期限付き移籍期間を含め4年間、大変お世話になりました。素晴らしい選手、スタッフの方々とプレーすることができたことは、自分にとって大きな財産となりました。最初にセレッソ大阪を選び、プロキャリアをスタートさせた事は間違ってなかったと心から思います。試合に勝つ喜び、出られない悔しさ、多くの怪我、この4年間で沢山、経験することができました。これからは別のチームになりますが、まだまだ成長し、セレッソ大阪戦で無失点に抑えられるように頑張ります」



6月に複数失点試合が続いたことで長谷部茂利監督が村上昌謙から永石へのGK交代を決断したとのこと。
J1デビュー戦こそ2失点するもそこから磐田・京都・湘南相手に3試合連続無失点。これはセレッソ戦でも出てくるに違いない!と思った。永石と真剣勝負するときがこんなに早く来るとは。



ここまで福岡への苦手意識と勝たないといけない理由を書き並べたが、終わってみれば過度に心配する必要はなかった。



今季リーグ最少失点、かつリーグ最少得点の福岡との試合は、2-0でセレッソの完勝。
内容としては早い時間帯にヨニッチの個の力で殴って先制点をもぎ取ったことがデカかった。そこから攻守において強度が落ちなかった。久々に上門にゴールが生まれ、「どこからでも点が取れる」セレッソの強みが出た。


実際、アビスパは相変わらずフィジカルコンタクトも激しくて、簡単な相手ではなかったんだけど。
それでもこの試合でセレッソが見せてくれたのは、チームの勝利のために愚直に戦う、今まで積み上げてきたサッカーを徹底して遂行する、つまりいつも通りのセレッソ。

個人的には、今回の勝利でアビスパ戦の黒歴史にようやくひと区切りがついた思いがした。


全員がチームの勝利のために自分の力を出し切っていたし、集中力が切れることもなかった。カウンターを受けても守備陣の戻りとカバーリングは速かったし、プレスバックも十分に効いていた。球際で負けない!なんてのは当たり前にできていた。

不甲斐ないままやられてしまったかつての弱いチームの姿はもうなかった。福岡相手に対して万全の体勢で戦ってくれた。



永石との真剣勝負にも勝つことができた。2得点ともヨニッチと上門のシュート精度が素晴らしかったので永石に非はない。セレッソがシュート14本(枠内5本)を放って2得点。正直まだ取れた(陸次樹、寛人は次こそアベックゴールを)と思うが、永石含め福岡守備陣のリーグ最少失点の実力は本物だった。

永石のコーチングの声がよく響いていた。後半開始前にセレッソゴール裏に向かう姿、試合後のコメント、すべてにおいてセレッソへの感謝が表れていた。そして次は必ず勝って挨拶に行くとの決意表明。こうやって言葉でセレッソへの思いを示してくれるのはとても嬉しい。


このままもっと成長してもらいたい。セレッソにまた帰ってきてとは、今は容易く言えないけど、またチャンスがあれば。
村上に簡単にレギュラー返さないよう頑張って。
次は必ず勝つとリベンジを誓っていたけど、福岡は次節吹田と戦うみたいだからそこで思う存分晴らしてきてほしい(笑)


ダービーや代表戦を見ていると、「絶対に負けられない試合」だと周りは盛り上げるけど、戦う姿勢というのは一長一短で身につくものではないし、普段の積み重ねが大事。
ダービーだけじゃなく、普段の試合も勝つために団結して戦っていけばもっと強いチームになれるのでは?と素人目には感じるが。
そういう意味でもこの試合はなんとしても勝たないといけない試合だった。しっかりとモノにしてくれていい形で7月を締め括ってくれた。


あとは小菊さんの月間優秀監督賞か、パトリッキの月間MVPか、またまたパトリッキがダービーで決めたゴールが月間ベストゴール賞になるか。どれかひとつでも当たればもう7月は文句なし。果たして予想当たるかどうか?




P.S. CAPCOM様がトップパートナーで帰ってきて、U18革命軍がクラブユース決勝進出を決めて。8月も桜満開の予感が…!!

↑白濵君の決勝ゴールは1:06:10あたり

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