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【ドバイで感じた日本の弱さ】アジアNo.1を決める試合を見に行ってみた

「AFCチャンピオンズリーグ決勝第2戦 横浜F・マリノス対アルアイン」
アジアNo.1をかけた戦いを目の当たりにするため、
私はUAE・ドバイに行く飛行機に乗り込みました。

アジア No.1に立ちはだかった高い壁。
試合の結果もそうですが、
僕の心を大きく揺さぶったのは
日本という国が置かれている受け入れ難い現実でした。

横浜F・マリノスのアジア頂点への挑戦

この半年間フィリピンのマニラ、タイバンコク、韓国蔚山と横浜F・マリノスのアジアの挑戦を応援にしに現地まで駆けつけました。

アジアNo.1というクラブ史上初の挑戦。
サポーター歴12年目の僕は、
決勝までの勝ち上がりが
自分のことのように嬉しかったです。

2014年、2020年、2022年と
同じ大会で負けた悔しさを胸に、
アジア制覇する瞬間をこの目で見たい。
その想いが僕を突き動かしました。

異様な熱気に飲み込まれる

試合前から、スタジアムは異様な熱気に包まれていました。
隣の人の声すら聞こえないほどの歓声と拍手。
中東独特の雰囲気に圧倒され、興奮と緊張が入り混じるマリノス側の応援席。

自然発生するウェーブ、ホーム側のブーイング。
その熱気に飲み込まれそうになる中で、
試合開始を待つ時間は長く感じられました。

気温と湿度が高く、まるでサウナのよう。
風はあったものの、サウナでロウリュした風を仰ぐアウフグースのような状態でした。

iPhoneはすぐに熱を持ち、
カメラ起動すると「本体を冷やしてください」と表示されるほど。

スタジアムは風が通らない設計で、無風状態。
何もしなくても汗が噴き出してくる。
まさに過酷な環境でした。

夢が砕けた瞬間

試合開始から、
UAEの選手はガツガツと攻めてくる。
この過酷な気候に慣れている強さを感じました。

独特の雰囲気に飲み込まれたのか、マリノスは早い時間に1失点。
会場は今まで見たことないレベルで盛り上がっていました。
それでも「まだ取り返せる!」と心は奮い立ちます。

しかし、VAR判定によるPKで2失点目。
相手は後半、強度が落ちるはず。
これ以上失点しなければ勝機はある!と信じていました。

その願いが叶ったのか、
横浜F・マリノスが1点を返して
2戦合計で3-3の同点に。
ここから逆転できる!そう信じ、応援のボルテージも上がっていきます。

だが、前半終了間際にゴールキーパーが退場。
1人少ない状況となりました。
ただこれまで何度も逆境を乗り越えてきたじゃないか!
まだまだ諦めんな!そう叫んでいました。
まるで自分に言い聞かせるように。

そして左サイドを崩され、3失点目。
正直、もうダメかもと思いました。
目の前でゴールセレブレーションする相手選手ラヒミの姿。
それでも、1点さえ返せれば…!

しかし、交代で入ったキーパーのミスから4失点目。
こちらの応援席に対して全身で煽ってくる相手選手。
僕はその姿を直視できませんでした。
現実を受け入れたくなかった。
そして決定的な5失点目。

「うそだ。うそだろ。うそと言ってくれ!」
自然と涙が溢れてきました。
長かった道のり。
あと一歩で掴み取れるはずだった夢が、
目の前で崩れ落ちました。

力の差=お金の差

マリノスはホームで同じ相手に先勝していましたが、あと1勝が遠かった。
UAEは、お金で能力の高い素晴らしい選手を獲得しています。

今回対戦したアルアインの合計選手年俸は約32億円。
一方、横浜F・マリノスは12億円。
実に2.5倍以上の開きがあります。

それが試合結果に出たと言われても
否定しきれない状況を目の当たりにしました。

超高層ビルが乱立するドバイという街が
さらにそれを象徴しているようでした。

厳しい現実

アジアNo.1クラブを決める大会ACLには、外国人枠という制度があります。
5人+アジア提携国の1人で最大6人まで。
外国籍選手が15人所属するアルアインは、
10人もの外国籍選手が今大会には出場せず控えています。恐ろしい。

そして次回大会からは、
なんとその外国人枠が撤廃されます。
さらに準々決勝から中東サウジアラビアでの集中開催になるという。
より中東地域のクラブが有利になることは避けられないでしょう。

来年からさらに厳しい戦いが待っています。
だからこそ、今大会でアジアを制覇したかった。
その想いは今も強く残っています。

世界に置いていかれる日本

小学生の頃、
世界の企業時価総額ランキングを見て
日本に生まれて本当に恵まれていると感じました。
ランキング上位がほとんど日本の企業だったのです。

しかし、現在のランキングを見てください。
日本の企業はトヨタしか残っていません。
日本が世界から見て遅れをとっていることは薄々感じていましたが、
今回のUAE遠征でより鮮明に目の当たりにしました。

日本は世界から見たらお金のない国なのです。
特にお金のあるUAEと比較しているからかもれませんが、初めてその現実を肌で感じました。

この現実は、自分の力だけでは変えられない。
敗北感満載の現実を受け入れた上で、何ができるだろうか。
僕らに突きつけられた課題です。

横浜F・マリノスというクラブにとってももちろんそうですが、
今回の経験は僕の人生においても
今後を考えさせられるとても良い機会となりました。
この経験を通じて何を学び、どのように成長するかが大切だと感じます。

このまま日本人を相手に仕事をして
日本で人生を終えていいのか。
世界の広さを知ったからこそ
できることがあるのではないか。

まだその答えは出ていませんが、
今回のこの体験を
大きく飛躍するためのきっかけにしたい。
そう強く思いました。

僕は劣等感を身に纏ったまま、
帰りの飛行機に乗り込み、
じっと外を見つめて羽田に到着するのを待った。

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