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コロナウイルスと利下げ政策

皆さん、ニュースで「利下げ」という言葉を聞いたことありますか?最近だと、アメリカのFRB(アメリカの中央銀行制度)の利下げ決定のニュースが話題になったところです。アメリカはなぜそのような政策に出たのでしょう?日本ではなぜ利下げに関するニュースがあまり出てこないのでしょう?今回はこうした問題を解決していこうと思います!!

1 利子(金利)の種類について

一口に「利子」と言っても、実はこれにはいくつかの種類があります。まずはここから確認していきましょう!!

1-1 預金金利

皆さんが1番身近に感じるのは「預金金利」でしょう。これは、預金に対して銀行が「うちの銀行にお金を預けてくれてありがとう!」ということで一定の割合を預金口座に入れるという仕組みです。預金金利が年率10%の場合、100万円預けたら1年後には110万円になるといった具合です。銀行は私たちの預金を資金として利益を出していますから、預金者に多少お金を払ってでも自分の銀行に預けて欲しいという気持ちがあります。銀行の「利益の出し方」について理解を深めたい人は、下のコラムを是非ご覧ください!!

1-2 貸出金利

さて、今度は銀行側の視点に立って考えましょう。銀行の主な活動として「企業への融資」と「日銀とのやりとり」があります。まず、銀行は将来性のある企業にお金を貸し、その事業を支えていきます。当然、企業はある程度儲かったらそのお金を返さないといけません。このとき企業は貸してもらった額に加えて、それに「貸出金利」をかけた額、つまり「貸してくれてありがとう!」という気持ちを添えて返さないといけません。

皆さんが銀行のお偉いさんだったら、預金金利と貸出金利のどちらの利率を高くしますか?同じ金利の仲間ですが、銀行にとって預金金利は「費用」、貸出金利は「収入」となりますよね?よって、貸出金利の利率の方が高く設定されることになります。

1-3 政策金利

さらに、ニュースでよく伝えられるのは「政策金利」というものです。これは、日銀と銀行(市中銀行)間のやりとりで出てくるものです。日銀は、日本経済をいい状態に保つのが役目ですから、状況に応じて銀行に融資をしています。日銀は個人に融資できませんから、こうして間接的に日本経済を支えているのです。銀行はこの融資してもらったお金と預金で運営をしています。当然借りたお金ですから、返す際には利子率がかかってくるわけです。

ここで再び、皆さんには銀行のお偉いさんになって考えてもらいましょう。銀行の資金として預金と日銀からの融資がありますが、どちらを多く使いたいでしょうか?預金金利も政策金利も、銀行にとっては「費用」になりますから利率が低い方を選ぶのが合理的でしょう。つまり、もし政策金利の方が預金金利より低かったら、銀行は私たちに預金してもらうのをやめて、全額日銀に融資してもらった方がお得なのです。しかし、そんなことは現実に考えにくいですよね?ですから、一般的に預金金利は政策金利より低く設定されています。

最後に、ここまで紹介した3つの金利を整理しておきましょう!!

無題

2 利子と政治

ここからは、先ほど紹介した3つの金利の関連性をより深く見ていきましょう!!まずは、政策金利の話から始めて行きます。

今回のコロナウイルスの事態のように、経済全体が大打撃を受けているとしましょう。そうすると、中央銀行は経済回復のために金融政策を行います。当然、利下げ政策についても検討することになるでしょう。すると銀行側は、預金してもらうメリットが少なくなります。しかし、前述した通り預金サービスの中止はできないので、預金金利を下げる決定をすることになります。

貸出金利についてはどうでしょう?景気が低迷している訳ですから、企業は銀行に融資を求めています。しかし、返済能力は低下しています。よって、銀行は貸出金利を低くして企業を支える行動に出ます。よって、不況になると利子率が低下することになります。


3 日本の利下げ政策

さて、日本はコロナウイルスの件を受けて利下げ政策を積極的に行うのでしょうか?結論から言うと、利下げ政策を行う可能性は低いです。というか、できません。それは、「政策金利がすでにマイナス圏にあるから」です。日本経済は、これまでの不況対策として政策金利の利下げを行ってきました。それがすでにマイナスということは、日銀は銀行に融資してさらにお金を貸しているということです。

1章の内容を理解してくださった人は、事の重大さに気付いたでしょう。預金金利は政策金利より低く設定しないといけませんから、理論的には預金金利もマイナスとなります。しかし、私たちが預金をするのに追加料金を払うなんてそんなことはできませんよね?銀行の信用が急落してしまいます。よって、預金金利は限りなく0に近い正の値を推移しています。日銀から借りた方がお得なのに、そうするしかないのです。一方で、アメリカはこうした日本の状況よりまだ少しましだったから利下げ政策に踏み切れた訳です。

いかかでしたでしょうか?利子についての理解が深まったのであれば幸いです。今後も経済支援政策や日銀の動きを注意深く見ていきましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました。よければ、スキやフォローもお待ちしています!!





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