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「現代キャンプ論」ーあるいは資本主義のたのしみ方

 少し前から、キャンプがブームになっています。
 まちを離れ、自然に出て、焚き火をしたり料理をしたりテントで寝泊まりしたりします。キャンプをする人は、普段日常を過ごしている環境とは異なる環境で生活することを求めてキャンプをしているのだと思います。

 キャンプをする人が目指しているのは、きっと、普段生活している「商品の世界」から隔絶された場所で過ごすことでしょう。つまり、キャンプは市場における価値とは別の価値を求める行動だということです。

 ただし、現代のキャンプは少々入り組んでいます。なぜなら、キャンプ道具、つまり「ギア」の性能や価格の比較競争が、結局のところ起きてしまっているからです。

 むしろ、「ギア」の価格上昇は、留まるところを知りません。そんな中、私たちは、キャンプを楽しめるのでしょうか。この疑問は、私たちは、市場に巻き込まれてしまったキャンプを楽しめるのか、と言い換えることもできます。金持ちの趣味であるから価格がいくら上がろうと関係ないと言ってしまうことも、その分は自作してしまうということも考えられるでしょう。しかし、これらは、お金や技術がないと実現しません。

 そんなお金も技術もない人たちは、どうやってキャンプを楽しめばよいのでしょうか。それはギアに対する「思い入れ」を持つことです。どういうことでしょうか。

 自分の「思い入れ」は、商品の価格とは別に持つことができます。いくらの商品であっても、その商品をどのように思うかは人それぞれの判断に任されています。つまり、商品が市場において有する価値を上書きすることで、商品の市場価値=価格とは別の論理で価値判断できるようになるのです。

 このような観点で「ギア」を見ていくと、信念のあるブランドの「ギア」が人気であることも頷けるでしょう。ブランドの「信念」は、これに想いを重ねることで購買者の「思い入れ」を促してくれるからです。

 市場経済の中に巻き込まれながらも、自分なりの価値判断でキャンプを楽しむ。この近年のキャンプブームは、市場から離れ、自然を求める行動であるようで、言うなれば「資本主義の楽しみ方」というべき資本主義経済が行き着いた先にあるものなのです。


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