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国道8号

2024年のGWは関西から友人家族が我が家に訪れた。
行きも帰りも高速を使わず下道というタフな旅。車中泊も可能なふうに改造したハイエースは昔我が家で使っていた車の1.5倍はある巨体で、改造費をきいてみたらとんでもない値段であったが、それもこれも子どもたちの時間を過ごすため、3人の子供に色んな経験をさせたいという気持ちからであった。子供を持つと人は強くなるなとつくづく思う。

一家は8号線をつかって、関西へと向かった。国道8号は長岡市民、新潟県民には一番馴染みがあのではないかと思う国道だと思っている。新潟の古町から遥か京都へと続く。一気に静かになった家にいいるのはなんだかさみしいもので、後を追うように車を走らせて、彼らが走った8号線を上越方面に向けて走った。


上越市有間川の海の見える丘から直江津方面を望む。向こうに米山が見える

新潟県はとても大きく、北から南まで海岸線は約330km あり、佐渡の海岸線を合わせると634kmもあるそうだ。それゆえに上中下越それぞれに雰囲気が違う。
これは何なんだろうといつも車で走るたびに思う。長岡から北に向かえば平野が広がる開放的な雰囲気。南に下れば山に挟まれた少し心細くなる雰囲気。そして上越方面の雰囲気は海と山に挟まれた道を進んでいく、北陸的な雰囲気。新潟県はどの地方に含まれるのかという問題が常に議論に上がるが、上越地方は北陸地方と呼んでいいのではないかと思う。海を挟んで北は能登半島もあるのだから。

長岡から柏崎に抜けると目の前には米山が鎮座する。高校の授業でも登った、柏崎市民には馴染の山だ。長岡から柏崎へは曽地峠という峠を超えるのだが、峠を超えると米山に至るまでは広い平野が広がり、道路も走りやすい。米山に差し掛かると海沿いの道になってくる。春を迎えると日本海は穏やかだ。見ているだけで体の悪いものが出ていくような、心が整うようなそんな気持ちになってくる。


火打山

柿崎のあたりからはしばらくまた平野を走る。今度は眼の前に高い山々が出てくる。その大きさに思わずぎょっとするほどだ。妙高山、黒姫山、火打山。まだ雪を被り堂々と鎮座する。山を神様として崇める気持ちは少しわかる気がする。

名立区にある海の見える丘に向かった。火野正平が去年だったから自転車旅で訪れた場所で、芝生の広場になっている。もちろん海が見えるのだが、後ろを振り向くと火打山がきれいに見えた。手前の広葉樹の新緑も美しかった。
東屋で山を見ながら考え事をしながら過ごした。GWの贅沢な過ごし方だったと思う。午後6時、帰路につく。


高速道路に至る道

北陸自動車道の名立谷浜SAはたまに寄る場所で上りのSAは海方面へと道路が続き、美しい。このSAは丘の上にあり、8号線はその麓、海沿いを走る。入口は道の駅「うみてらす名立」がの直ぐ側で、急な坂道を登っていく。丘を登りきるとそこは田んぼが広がる。長岡もそうだったが、田んぼに水がひかれ始めている。高速道路に至る道であるため、高速を利用する人、農業を営む人以外に通り過ぎる車もなくとても静かな空間だった。さらにそこに夕日が差し込む。自分にとってのゴールデンタイム。

田んぼに水が引かれ始めている

この連休は連日晴天続きだった。4月からの黄砂も5月に入ってからは量が減ってきたようにおもう。夕日に照らされた景色、雲、心地よい風そしてGWがまだ終わっていないという贅沢な贅沢な時間を噛みしめる。

 農道


なんという花だろう


誰かが植えたのでもないだろう樹木。孤高な感じがする


静かで穏やかな日本海。この向こうに能登半島がある

車を停めて丘の上を歩いた。このさみしい感じがこの上なく好きだ。何があるわけでもないんだけれど、360度どこをみても自分にとって心が穏やかになる風景だった。最近上越地方の風景がなんでか気になる。中越とは違うこの雰囲気は何だろう。頸城平野をもっと深堀りしてみたい。

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