21ジャンプストリート スケートシューズ
死地に向かうタキシードとその下に忍ばせた銃、
そんな状況すら楽しむ幼稚な足下。
21ジャンプストリート
高校時代に学園の人気者だったスポーツマンのジェンコ(チャニング・テイタム)と、同じ高校で冴えない学園生活を送ったオタク青年シュミット(ジョナ・ヒル)。
偶然にも新人警官としてコンビを組むことになった2人は、青年犯罪を撲滅するために高校で潜入捜査を開始するが。。。
スケートシューズ
本作は1987年から1990年に放映されたジョニー・デップ主演のテレビドラマシリーズの映画版として2012年に公開され、世界中で大ヒットしたのにも関わらず日本では2013年まで公開されずそのままDVDスルーとなってしまった不遇の大ヒットアクションコメディ映画です。
シュミットが通っている高校へ行き週末のプロムに同級生を誘おうとしたところ、ジェンコにからかわれてプロムに行くことを諦め、そのジェンコも成績不良によりプロムに出れなくなってしまったことがわかるシーンから始まる本作は、高校時代に知り合った二人が警官になり、潜入捜査で再び高校に戻る数ヶ月の物語です。
物語は初逮捕が逮捕後の権利読み上げを怠ったことにより不起訴になったことで、21ジャンプストリートに転任になり、そこで麻薬潜入捜査として麻薬による死亡事件が起こった高校に送り込まれるところから動き始めます。
演劇や科学の授業を経てディーラーと繋がり、ホームパーティーを通じてディーラーの信頼を勝ち取り、最終的にプロム会場で行われるサプライヤーとの取引の現場に出向くことになります。
注目のシーンはプロムに向かうにあたり、タキシードの下に装備を整えていく際に一瞬映った以下のカットです。
彼らは下着の上から防弾チョッキを着込み、その上からシャツを着てホルスターを吊り銃を身につけていきます。
そして足首にも隠し銃を仕込みます。
その一瞬に見えるのが彼らの履く靴たちです。
彼らが白いタキシードに合わせているのはVANS のAUTHENTICという靴です。
1966年のVANS創立時に生まれたスケートボードシューズの名作であり、定番として認識されている靴です。
SOLEにテープを巻いて加硫と呼ばれる熱と圧力で硫黄の化学反応を起こしてUPPERと接着させる製法でつくられており、$50ほどで買えることによりスケーターのみならず中高生を中心に幅広く履かれている名作シリーズです。
この靴が表すことは即ち彼らがこの潜入捜査に選ばれるべき幼稚性の内包の表現でもあり、彼らが学生時代についに参加することの出来なかったプロムに行くことに浮き足立っているようにも見えると同時に、上着はタキシードなのにその下は完全武装という本当は死地に向かうべき格好のはずなのに足下では外しているという、作品の成り立ちをも説明しているのだと考えられます。
いずれにしてもこの作品はとことんコメディです。
足下の意味など深く考えず、目の前で起こっていることをそのままお楽しみください。
そして必ず観返してみてください。
実は色々な伏線が貼ってあって、最後に向かって一気に回収されていく見事な作りになっています。
いずれにしてもそれすらコメディです。
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