睡眠

睡眠

睡眠の重要性

深く眠る、睡眠の質を上げることは大切で、誰しもそう思っていると思います。
ですがどの程度のレベルで意識し、睡眠の質を上げるよう心掛けているでしょうか?
よく眠りたい、夜なかなか眠れなくて次の日が辛いと言いながら真剣に眠る為の努力をしていない人もいるのではないかと思います。
身体は悲鳴を上げているのに、しっかり睡眠を取る為の行動や習慣を疎かにしていませんでしょうか。
睡眠は栄養摂取よりも重要と言われます。
睡眠をとらないとマウスは1~2週間で死んでしまい、これは栄養を摂取しなかった場合よりも短いそうです。
極端な衰弱と体温調節不良と脳では視床の損傷が見られるそうです。
人間も長時間睡眠を取らないと妄想や幻覚が出てきて、いずれ死ぬと言われています。ここでは睡眠とはどういうものなのか、どのように睡眠環境を整えればいいのか、考察してみたいと思います。

睡眠周期

一般的に人が必要な睡眠時間は、赤ちゃんが16時間、10代で約9時間、大人が約7~8時間と言われます。
浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)をおよそ90分の周期で繰り返し、眠りについてから1~2回のノンレム睡眠が最も睡眠レベルが深くなるため、初めの3時間の睡眠の質が大切になります。
まれにショートスリーパーと呼ばれる短い睡眠でも健康を保てる人がいます。

睡眠の役割

睡眠の主な役割と十分な睡眠が取れなかった時の弊害を見ていきます。

◆免疫機能:
まず睡眠は、体内の免疫システムを整え病気を防ぐ役割を持ち、1日4時間睡眠時間を減らしたら病原体を殺す働きを持つナチュラルキラー細胞が70%減少する免疫不全状態になると言われ、発がん率やインフルエンザなどの感染症の罹患率が上がります

◆成長ホルモン:
そして入眠直後の深いノンレム睡眠が最高レベルに上がると、脳の下垂体から成長ホルモンの分泌がはじまります。
このホルモンは2~3時間の間隔で分泌し、主に肝臓に働きかけ骨や筋肉内臓器官の発育に関わります。
また、身体の細胞レベルでの修復も行い、疲労回復、創傷治癒、皮膚(肌)の新陳代謝を促進しハリと潤いを与え、内臓の細胞も新しいものに入れ替えるターンオーバーが起きます。
深い眠りがなければこの成長ホルモンの分泌が阻害されます。

◆学習効果:
記憶の再構成といった高次脳機能にも関わります。
日中学習したことを余計な情報を省いて整理し、長期的な感覚や記憶として処理するため、質の良い睡眠により学習記憶効果がアップします。
徹夜で勉強するよりも学習効率が上がり、翌日の集中力にも関わります。
また脳はアルツハイマー型認知症の発症要因とも言われるアミロイドβというたんぱく質を老廃物として睡眠中に排出しており、睡眠の質がアルツハイマー病の予防になる可能性も上がってきています。

◆ホルモンバランス:
睡眠は体内ホルモンのバランスを整える役割も持ちます。
まず睡眠中に蓄積されたブドウ糖や脂肪などの熱源をエネルギーに変えるコルチゾールの分泌が、午前3時頃から明け方にかけて最高値に達します。
コルチゾールはストレスホルモンの一種で覚醒直前に多く分泌され身体に日中のストレスに対する準備、血圧上昇、脳や筋肉にエネルギーを送り込み、天然の目覚まし時計と言われます。
そして起床中に2500ルクス以上の光を浴びると、生体リズムを調整し脈拍や血圧、深部体温を低下させ眠る準備をさせるホルモンであるメラトニンが夜に分泌されます。
メラトニンは網膜が受ける光の量をもとに分泌量が決まり、その光の量が減ると感知した松果体がメラトニンを分泌しますが、太陽の光が入ってから15時間前後たたないと分泌されないため、まずは決まった時間に朝日浴びることが大事になります。
慢性的なストレスなどによりしっかり睡眠がとれずコルチゾールなどのストレスホルモンが過剰分泌になると自律神経や内分泌系へ悪影響を及ぼすため、コルチゾールの分泌を抑える深い眠りが重要になります。

◆心臓血管系:
睡眠不足が心臓血管系への影響も及ぼします。
欧米ではサマータイムで春に1時間時間が短縮すると翌日心臓発作の件数が24%アップし、秋に1時間長くなると21%減少するそうです。
高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症といった冠動脈疾患や脳血管障害にも関わってきます。

◆それ以外にも不眠は、生殖機能の減衰、体重増加や脂質異常といった生活習慣病、頭痛や胃腸の不調、反応鈍化、過敏症、糖尿病、うつ、交通事故や自殺率の上昇といった死亡リスクの上昇を招きます。

睡眠障害と不眠の要因

睡眠障害は7系統70種類以上に分類され、その1位は不眠症で、他に過眠症、睡眠時無呼吸症候群、レム睡眠行動障害、睡眠関連食行動障害、むずむず脚症候群など内因性のもの、外因性のもの、概日リズムの乱れによるものがあります。
不眠に関しては、日本人の5人に1人が症状を訴えているといいます。

睡眠障害で最も多い不眠の要因を具体的に見ますと以下のような要因があります。
・痛み、かゆみ、頻尿などの身体的要因
・枕やマットレスなどの就寝環境要因
・夜更かしや仕事による生活リズムのズレ
・ストレスや不安、ショックなどによる心理的な要因
・薬品やアルコール、カフェイン、ニコチンなどの嗜好品の影響
・うつや統合失調症など病気の影響

といったものです。

質の良い睡眠の取り方

それでは、質の良い睡眠を取るにはどういったことを心がければいいでしょうか。
根本的に体を覚醒させる要因が睡眠を誘う要因を上回ってしまった場合に不眠が起こりますので、体を覚醒させる要因を減らす必要があります。

◆身体的、環境の要因への対策としてできることは数多くあります。
入浴は40度くらいのお湯で体をリラックスさせ副交感神経を優位にし血流を良くすると、体温の上昇で入眠ニューロンの活動が亢進、高くなった体温が四肢から逃げていき体温が下がることで寝付きやすくなります。
室温は夏場が約25℃、冬場約22℃くらいがいいと言われますが、暑すぎると寝つきが悪くなりますので低めでも構いません。
湿度は50~60%が理想ですが、冬場の乾燥対策で加湿器を利用してもよいでしょう。
食事は可能であれば就寝3時間前までに済ました方が良いです。
疲労が不足しているようなら夕食後1時間以上、就寝2時間以上前を目安に運動した方がいいこともありますが、基本的には寝る前に軽いストレッチ程度でいいでしょう。
またノンカフェインのカモミールティーといったハーブティーを飲んだり、ラベンダーやセドロールといったアロマの香りで寝室の環境を整える。
川のせせらぎや波の音など自然の音が入ったヒーリング音楽やオルゴール、ソルフェジオ周波数といった睡眠音楽、癒しのBGMをかけることも効果があります。
寝具は自分の頭の形にあった枕、肩や腰に負担がかからない固さのマットレスや敷布団を選びます。
パジャマは汗をしっかり吸い取る薄手のコットン製がよく、靴下の重ね履きは血流を滞らせるのでしないようにしましょう。

◆次に生活リズム、ホルモン要因への対策としては、就寝30~2時間前から照明を暗くし暖色系にしたり、パソコンやスマホもブルーライトを徐々にカットしていくことでメラトニンの分泌が促進されます。
パソコン用ブルーライトカット→f.lux
スマホ用ブルーライトカット→BlueLightFilter
人間の体内時計は24時間11分であるため、決まった時間に朝日を浴びてリセットしておく必要があり、平日でも土日でも規則正しさが何にも勝ります。
設定した時刻から60分前までの任意の時間の間で目覚めやすいタイミングでアラートを鳴らしてくれる睡眠時計もあり、活用してみてもよいでしょう。
食事でもタンパク質(トリプトファン)を適量とることがセロトニンの合成と分泌からメラトニンの分泌につながります。

◆精神的要因への対策としては、基本的に眠気を感じていない時には横にならないようにします。
脳が布団を起きている場所だとすぐ認識してしまうためです。
また、寝る前にストレスを感じたり気分が高揚するようなことをしないようにし、1日の中でできたことにフォーカスし達成感を持って寝床に付くようにします。
少しでも前に進められているという感覚はストレスを軽減する為に何事においても大事です。
またマインドフルネスを行い脳をリセットし緊張や不安を取る習慣をつけましょう。

◆嗜好品は、寝る前にお酒を飲まない、コーヒー、緑茶などのカフェインを摂取しないたばこを吸わないことが基本です。

◆睡眠時に体の力を上手く抜くことも大事で、顔から肩、腕、手指、胸、太もも、ふくらはぎ、足首、足と順に数秒力を入れ徐々に力を抜いていきます。
また、心の緊張を解くイメージも重要ですし、人によっては普段眠くなるような状況、例えばソファで思わずうとうと昼寝をしてしまうような状況であったり、そういうイメージで横になるといつのまにか熟睡できることもあります。

まとめ

以上基本的なことをまとめてみましたが、仕事の関係で生活リズムが崩れてしまったり、食事を摂る時間が遅くなってしまったり、お酒やたばこがやめられなかったり、悩み事や心配事が頭から離れなかったり、ということは普通の事だと思います。
大切なことはまず睡眠の重要性を理解して、少しずつでもここに記載したような睡眠の質を高める方法を取り入れてみることではないでしょうか。
脳は寝ることでその働きを全開にして体を回復します。
これが自然治癒力です。
病気は寝ないと治りません。
心の病気であっても同じです。

日々のトレードも質の良い睡眠から始めるようにしてみてはいかがでしょうか。


それでは、今回の記事は以上になります。


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