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オリラジあっちゃんの授業力

「中田敦彦のYoutube大学」というYoutubeチャンネルをご存じでしょうか。オリエンタルラジオの中田敦彦さんが様々なテーマについて投稿し好評を博しているチャンネルで、チャンネル登録者数は2022年1月10日現在で424万人に上っています。

オリエンタルラジオの中田さんと言えば武勇伝やPerfect Humanのネタで有名なお笑い芸人さんですが、慶応大学卒のインテリタレントとしても知られ現在はYoutubeの活動を精力的に行っていらっしゃいます。

高校教員をしている私ですが、中田さんがYoutubeやテレビでされている「授業」はトップクラスに素晴らしいと感じています。いちタレントの中田さんの授業にいつも魅了されてしまいます。

今日は私なりに中田さんの授業のどこがすごいのか、自分に取り入れたいところは何かを書きたいと思います。

テーマに関する知識

中田さんの「授業」を始めて見たのは今からおよそ5年前、私が大学4年生の時です。たしかテレビ朝日の「しくじり先生」で(残念ながら何のテーマだったか忘れてしまいましたが歴史か経済系の話)解説されているのを見て、面白いなと思いました。当時私は教員採用試験勉強の真っただ中、教育実習を間近に控えていて、こんな授業がしたいと思った記憶があります。

あれだけの授業をするにあたって、大前提として必要なのがテーマに関する圧倒的な知識です。Youtube大学では歴史の解説やベストセラー本の解説をされていますが、「人に教える」ということは、実際に授業で話している以上の知識がないとできません。100の知識があるとして、実際に自分の言葉でスムーズに教えられるのは60くらいだと、これまでの教員歴から実感しています。

「話し方入門」という名著でおなじみのデール・カーネギーさん(「人を動かす」や「道を開ける」でもおなじみ)も、人に話すには話すこと以上の知識を持っていなければいけないと説いています。424万人ものチャンネル登録者数がいるのは、なによりも中田さんの知識量に感銘を受けている人が多いという事実の証明に他ならないと思います。

私も教員として日々教科の知識を学び続けている毎日ですが、自分ができるのと人に教えるのとでは全く別物なので、教えること以上の知識を持っていなければと改めて感じさせられました。

導入のしかた

先述した「しくじり先生」の授業は、私は確かたまたまテレビをザッピングしていただけで見入るつもりはなかったのですが、中田さんの授業の冒頭をたまたま見て、そのまま食い入るように見てしまった記憶があります。

「授業」には、「導入→展開→まとめ」というテンプレートの形があります。生徒の習熟度や授業内容にもよりますが、「導入」の部分で生徒の興味を引くような話やビジュアル画像などを持ってきて、話の本体である「展開」を充実したものにしようと教員は考えます。導入は単なる授業の始めの部分ではなく、展開までいかに生徒の興味関心を高めていけるかの重要な部分です。

中田さんは、この「導入」が抜群に上手いです。そのあとの話をついつい聞きたくなってしまうように構成されています。聞く側の経験を思い出させ、既存の知識や常識を揺さぶり、そこに拍車をかけてこちらの興味を喚起してきます。興味がなかったはずのテーマをついつい聞いてしまいます。

Youtube大学をご覧になったことのない方はぜひ導入に着目してご覧になってください。「~①」というタイトルの回で間違いなく導入があると思いますが、導入の工夫がなされているはずです。

聞く側の立場になって、何を聞きたいのか、どんな具体例や話の始め方をすれば興味を持ってくれるのか、私も研究していきたいです。

話術とジェスチャー

中田さんの授業のうまさは話術そのものにもあります。その中でも、着目するポイントがわかりやすく強調されているところです。

例えば歌でAメロBメロサビの全部を最大音量で歌われても聞きどころがわからなくなってしまうのと同じで、中身の濃い授業であっても初めから終わりまで同じペースでは聞き飽きてしまいます。

中田さんは強調すべきポイントは具体例を混ぜたり繰り返すことで聞き手に強く印象付け、引くべきところは引いています。メリハリをつけることで、どこを伝えたいのか、話の本質はどこなのかがわかりやすい構成になっています。

また、強調したいところは表情やジェスチャーでさらに訴えてきます。人間が情報を得るときは目から得る情報が圧倒的に多いそうです。極端な話、中田さんの授業をミュートで聞いても表情を見ていればどこが話の本筋なのかわかります。

教員の仕事は「演技」だとも言われます。授業をある種ドラマ仕立てにして、聞き手を引き込む力が必要です。タレントさんだけあって、そこも上手です。

そして「しくじり先生」の授業では、机間指導を効果的にやっていらっしゃいました。机間指導とは、授業をしながら生徒の机の間を歩いて様子を見て指導をすることです。(問題を解いてたりしたら先生が見回りにくるやつだと思ってもらえれば分かりやすいかと思います)

話のピークで顔やジェスチャーを用いて訴えながら、聞き手の机に迫ってくることで、否が応でも引き付けられてしまいます。

それはテレビだからできる演出な部分もありますが、教壇の上から話すだけでなく効果的に机間指導を行うのも重要だと感じさせられました。

中田先生を目標に

中田さんの授業は以上のような点で非常によく構成された授業だと思います。「話し方」がトータルとして非常に参考になります。Youtube大学をご覧になるときは、内容を聞くだけでなく中田さんの話し方に着目してみてはいかがでしょうか。

私も「中田先生」のような人を引き付けて離さない授業を高校教員として目指します。

最後まで読んでいただきありがとうございました!