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教員を誇りに思える仕事に

10月1日の夜、教員にとって1つ大きなステップとなるようなニュースが飛び込んできました。埼玉県の教員の男性が残業代の支払いを求めて訴えた裁判で、敗訴はしたものの裁判長から「教員の給与体系は時代に合っていない」という発言が出たというものです。一時このニュースはTwitterのトレンドにまで浮上しました。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6405890

ちょうど教員の働き方についてやその意義についてnoteを書こうと思っていたタイミングでのこのニュースでしたので、いち高校教員としての思いを今日は書きたいと思います。

教員の仕事の現状

教員という仕事に対して、教員でない方はどういうイメージをお持ちですか?「ブラック」「長時間労働」「不祥事」。きっといいイメージはお持ちでないと思います。

かつて教員は「聖職者」とすら呼ばれ、社会的にも地位が高い仕事でした。しかしそれはここ数年、社会の様々な変化に伴って崩れ去り、「聖職者」どころか「親が子供にならせたくない仕事」の上位にランクインしてしまうほどになってしまいました。

授業はもちろん、担任・生徒指導・校務分掌・部活動顧問・委員会顧問・部活や学校運営に関わる事務仕事・保護者対応...。教員の仕事は多岐にわたります。そんな厳しい職場環境だからなのか、かつて難関と言われた教員採用試験の倍率も年々下がっています。業務は日々複雑化し、保護者対応も難しくなっています。しかしご存じのように、どんなに頑張って働いてもいわゆる残業代は1円たりとも出ず、土日の部活動指導もほぼボランティア状態です。

私は、この仕事が好きです

ここまで教員のネガティブなポイントばかり書きましたが、決して教員を取り巻く状況の不満や文句を訴えるのをこのnoteの趣旨にしたいわけではありません。しかし、もっとこうなったら嬉しいなという思いがあるのも確かです。

ここからは、どういう状況が私の考える教員にとっての理想の環境なのか、そしてそれを踏まえて自分はどういう教員になりたいのかについて、決意表明としてここに書き残させてください。

私は、教員の仕事が本当に好きです。生徒の頑張る姿や笑顔を見ると癒されますし、未来ある高校生の人生の一部に関われることを本当に誇らしく思います。

しかし、その前に私の心にある信念はこうです。「生徒を幸せにしたければ、まず教員が幸せでいなければならない」。自分がhappyでないのに、人をhappyにするって難しいですよね。ではどういう状況なら教員はhappyと思えるのか、主観ですし理想論かつ他力本願な部分も多々ありますが書かせていただきます。

「授業」にこだわりたい

教員の本来の業務はなんといっても授業です。教員として最も充実感を覚えるのは、十分な準備をしてきた授業がうまくいき、生徒の表情が輝いているときです。(実力不足でそれができた授業はまだ多くはありませんが)

授業の改善には、先輩方の授業を見学することが一番の近道だと考えています。自分の授業に先輩の経験というエッセンスを加えることができます。1年目の教員には初任者研修としてその時間が取りやすくなっていますが、2年目以降になると持ちコマ数も増え、授業以外の業務の量や責任も増えることで途端にそれは難しくなります。

現在私は教員4年目ですが、ちょうど自分の授業のスタイルに行き詰まり、試行錯誤し先輩のアドバイスを仰ぎたい時期です。しかしなかなか授業の見学をさせてもらうというのは難しいものです。

もっと気軽に授業見学が行えて、授業改善につなげられるような時間的余裕と雰囲気があったらいいなと思います。

できれば自校だけでなく他校に自由に授業参観に行けるような時間的な余裕とシステムがあれば理想です。

授業以外の業務の削減

冒頭で残業代についてのニュース記事をご紹介しましたが、そのコメント欄には現職の先生も含む様々な方からのコメントがありました。その中でも私を含めて多くの方が共感しているようであったのが、「残業代は別に無くていいから、授業や学級経営以外の業務を減らしてほしい」というものです。

教員には多種多様な仕事が現状あるとお話ししましたが、学年の会計業務を担当している同僚の先生がこんなことをおっしゃっていました。

「授業は失敗できてしまうが、保護者から預かったお金を預かる会計業務は失敗できないからそちらに時間を割かざるを得ない」

この言葉が教員の現状の核心をついているなと思いました。教員の本分であるはずの授業が、現実では優先度としてかなり下にあるということです。

部活動の顧問やコロナ禍で必要になった消毒作業など、「別に教員がやらなくてもいい業務」を学校地域の方などに担っていただけるようになれば教員は本業(授業)に集中できます。

しかも、それで地域の方に学校のことをよく知っていただけるというWin-Winの状況が出来上がるなと思います。(そのための財源など細かくて政治的なところの問題はもちろんありますが)

子どもの学力低下について日本中で叫ばれています。しかし「授業以外の業務が忙しくて失敗できないから、授業準備が満足にできない」という教員の状況では、良い授業をして学力を上げるのは難しいことです。

幸いなことに、近年「校務補助員」という肩書で印刷業務等を手伝ってくださる方が学校に配置されるようになりました。私個人としては校務補助員の方にできる仕事は積極的にお願いしながら、授業研究や生徒と関われる時間を増やす努力をしていきます。

私の目標

ここまでを踏まえて、今後自分が教員としての目標・軸としていく考えをまとめます。

・授業と生徒対応で信頼される教員になりたい

・教員が毎日笑顔で、「教員の本当の仕事」に集中できる環境をつくりたい

・それを達成することで、すべての生徒が「学校は楽しくて有意義な場所だ」と思ってほしい。教員の充実感を生徒に100%還元したい。

・できれば生徒の中から、「あんな先生になりたい」とこの仕事を目指してくれる生徒が出てきてほしい

こうした環境が作り上げることができたら、きっと教員の多くは自分の仕事に誇りをもって、自分も生徒も幸せにできる状況が出来上がると信じています。

総じて、「授業が面白くて生徒理解も深いけど、必ず毎日定時に帰って家庭も大事にする先生」になりたいです。自分がそうなれるようにしたいし、他の先生もそうできる状況にしたいです。

具体的に自分がどうなれば、どうアクションを起こせば以上の目標が達成できるのかはまだ分かりませんが、自分の教員人生をかけて、ゆっくり目標に近づいていきます。自分の手で変化を起こして、学校を、教員という仕事を、そこに関わる人全員にとって誇りに思える場所にしていきたいです。

長くなりましたが最後まで読んでくださりありがとうございました。本日初めて読んでくださった方は、ぜひもう少し私のプロフィールについても知っていただけたらと思います。↓

https://note.com/ken_tea_english/n/n18a52b5cfa00