アグネスチョウ氏とジミーライ氏の保釈に関して

6/30に施行された香港国家安全維持法はその時、メディアではそれ程騒がれていなかったのですが、私はこの法律が香港に与える中国共産党の影響度をかなり危惧していました。それ故に1万語に及ぶ記事を書きました。それを分割して週刊エコノミストonlineに寄稿しましたが、今回のニュースのお陰で本日アクセスランキングTOP5全てが私の書いている勝つための情報リテラシーシリーズが占めることになりました。

その香港国家安全維持法第29条に違反、外国または香港外の勢力と共謀して国家の安全を危険に晒した容疑で民主化運動の若手リーダーのアグネスチョウ氏や反中のメディア王ジミーライ氏の逮捕が今後の香港民主化運動の息の根を止めてしまうのではないかというコメントを昨日皆さんに送ったばかりです。ところが民間の抗議する声に反応して中国当局が予想外に彼女らを保釈しました。

ジミー・ライ氏は保釈金50万香港ドル(約690万円)、アグネス・チョウ氏は保釈金20万香港ドル(約275万円)に加えパスポートが押収されたようです。香港メディアに寄りますと、ジミー・ライは5,000万香港ドル(約6.9億円)の資産を凍結されているため、保証人が保釈金の一部を保証したようです。

民主活動家の中で、なぜアグネスチョウ氏だけを捕まえたのかと言うと、中国当局は、彼女が一番中国共産党に屈しやすいと踏んだのではないかと推測できます。つまり司法取引も含め色々な揺さぶりをかけ、民主化運動をしている人たちの情報を入手し、民主化活動家を一網打尽に押さえつけようとしたのではないと思われます。

突然の保釈の理由は恐らくアグネスチョウ氏達の釈放デモが激化し、新たな香港問題が勃発するのを中国当局が避けようとしたのでしょう。

中国当局が今一番興味を持っているのは、香港ではなく台湾統一です。直近ではアメリカのアザール厚生長官が台湾を訪問していますし、中国当局としては香港国家安全維持法で香港を既に囲い込んだいるので、フォーカスを一刻も早く台湾にシフトしたいとの意向があるのです。

緊急状況規則条例(緊急法)を発動し、9月6日に予定されていた香港立法会の選挙は1年延期になり、中国当局としては取り敢えず一安心で、多少の民主化運動は当面、香港国家安全維持法で制御しきれるという算段なのでしょう。

中国関連動画
・【真の世界を見る】中国共産党本質とは? Part1 前編
https://youtu.be/-cugPksUuEU
・【香港国家安全法案】宇宙人すら逮捕可能な香港国家安全法の内容と中国共産党の目的とは?
https://youtu.be/_2ZJY_np5cs

立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンを通して投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

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