米国株マーケット考察 2021.2.18

マーケットサマリー

米国株式市場はまちまち。ダウ平均は90.27ドル高の31613.02ドル、ナスダックは82.00ポイント安の13965.50で取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比4920万株減の10億1470万株。

相場全体としては、最近の上昇で買い疲れが出てる感があり、これまで上げをリードしてきたIT・ハイテク株などグロース株に利益確定売りが出ていました。

経済指標に関して、1月の生産者物価指数(PPI)は前月比1.3%上昇(予想:0.4%)。予想を大幅に上回ったためインフレ懸念が再燃し、寄付き後弱含みました。

一方で、1月の小売売上高は前月比5.3%増加し、全業種に渡って増加が見られており、12月に実施した600ドルの直接給付が効いていると見られます。また、12月の鉱工業生産は0.9%上昇(予想:0.4%)で、4ヶ月連続の上昇し、予想を上回ったものの、相場の反応は限定的でした。

直近では、インフレ期待が高まっており、昨日、米国10年債は一時1.33%まで上昇しました。長期金利の上昇は銀行株以外の株式銘柄にとってはマイナス要因です。

連邦準備制度理事会(FRB)が公表しました1月下旬開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の中で、FRBは金融緩和を当面維持する方針を再表明しました。

リフレ取引が景気回復を巡る楽観論にけん引されていることから、それは株式市場にとってはポジティブですが、長期金利の上げのスピードが速過ぎますとセンチメントは急速に悪化するリスクがあります。

いずれにしても、昨年末からのコロナ感染再拡大が、それほど景気に悪影響を及ぼしていないとすれば、債券利回りが上昇し、グロース株からバリュー株へのローテーションが起きるのは、普通のシナリオです。

然し乍ら、コロナ後の先進国経済が、力強い企業業績拡大と伸び悩むマクロ経済の組み合わせなら、これまでの常識が通用しない金融市場が形成されることが有り得ます。現在の株価があたかもそれを示唆しているようにも解釈できると言えます。

用語解説


-米国生産者物価指数(PPI)ー米国内製造業者の販売品目(約1万品目)について、価格を測定した指数(1982年=100)。指数の変化(前月比・前年比)の形で報じられることが多いです。

生産過程における3段階(原材料、中間財、完成財)についてそれぞれ測定していますが、一般的には完成財の数値が注目されます。月ごとの変動の激しい食品とエネルギー関連を除いたコア部分の数字も発表され、基礎的なインフレを把握するために活用されます。

消費者物価指数(CPI)に比べると注目度がやや低いですが、CPIよりも早く出ることが多いため、先行指標とて活用されることがあります。

-米国小売売上高ー米国内で販売されている小売業・サービス業の売上高を集計したもの。米国の個人消費の動向を表しています。

米国は個人消費がGDPの約7割を占めており、他の先進国より高い傾向にあります。その為、個人消費の動向が景気全体に与える影響も大きいため、注目度の高い指標となっています。

全体に占める売上高の割合が最も大きい「自動車及び同部品」部門は、販売店のセールなど景気と直接の関係がない要因による月ごとのブレが大きいこともあり、自動車を除いたコア部分の注目度が高いです。

-鉱工業生産指数ー米連邦準備制度理事会(FRB)が 米国の製造業(米経済の20%)の鉱工業部門の生産活動状況を指数化したもので、景気全般の動きとかなり密接な関係を持っておりGDPの推移と強い相関があります。

米国の製造業の生産活動の状況、設備投資の状況を反映しているため、生産動向を測る上で重要視されています。 3ヶ月に1度しか発表されないGDPと異なり月次で発表されるため、速報性に優れています。

-リフレーリフレーリフレーション(reflation)の略称で、定義上は、デフレから脱却し、インフレに至る前(すなわちディスインフレ)の状態のことを示します。

-グロース株ーグロース株とは企業の売り上げや利益の成長率が高く、その優れた成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株式のことで、「成長株」とも呼ばれます。

革新的な商品やサービスを通じて市場シェアを拡大し、増収増益を続けているような企業が多く、一般に投資家の人気が高いという特徴があります。ひところのIT株のように、ほんの数年で株価が数倍~数十倍に上昇するものも珍しくありません。

-バリュー株ー売り上げや利益の成長がさほど期待できないなどの理由から、現時点の株価が本来的な企業価値を考慮した水準に比べて安いと考えられる株式のことで、「割安株」とも呼ばれます。

知名度の低い企業が多いことから、堅実経営を続けているような場合でも、投資家の人気は低いのが一般的です。値動きも値幅も地味になりがちで、いったん売り込まれたまま放置されているケースも目立ちます。

-セクターローテーションーこれから儲かりそうな業種の銘柄に投資する対象を切り替えていく投資戦略のことです。

景気循環において、景気が最も悪化している状態にはインフラ関連の銘柄の株価が伸びやすいですが、より景気が改善した際には他のセクターの業種の銘柄の株価は上がりやすい傾向があります。注意点としてよく挙げられることは、同じセクターの中でも銘柄によって業績や性格が異なるため注意が必要とされています。

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