米国株マーケット考察 2021.1.15

マーケットサマリー

米国株式相場は下落。ダウ平均は68.95ドル安の30991.52ドル、ナスダックは16.31ポイント安の13112.64ポイントで取引を終了した。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比9833万株増の10億9360万株。

(1) バイデン次期米大統領が公表する2兆ドル規模の追加経済対策を期待( 米紙ニューヨークタイムスのリークに寄りますと1.9兆ドルらしいですが)、(2) ワクチンの一段の普及、 (3) 連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が金融緩和の出口戦略を協議するのはまだ先との見解を再表明したことから、ダウとナスダックはともに取引時間中の史上最高値を更新しました。

最新週の新規失業保険申請件数が前週比18万1000件増の96万5000件(市場予想:79万5000件)に悪化し、厳しい雇用情勢が示されたにも拘らず、相場への影響は限定的でした。これに関して、株式市場で、雇用状況を受け、大規模な経済対策が講じられるとの期待感が出たと解釈が出来ます。

然し乍ら、引けにかけてはバイデン氏の経済対策公表を控え利益確定の売りが強まり下落に転じました。

今日は明日の大手銀の決算発表待ちの雰囲気もありました。パンデミックに伴う貸倒引当金の計上も予想され、10-12月期は長期金利も低下していたことから、大幅な減益が見込まれています。しかし、それは市場では織り込み済みなので、むしろ2021年に強気な見通しを示すことができるかが注目されています。

今後の株式市場の動向に関して、悪化しつつある雇用市場が追加経済政策でどのように回復するかを株式市場で検証するステージに突入したのではないかと思われます。

パウエルFRB議長は金利の引き上げへの政策転換はしばらく無いと主張しましたが、2兆ドルにも及ぶ追加経済対策金が市場に投げ込まれましたので、それはインフレの火種となるリスクになると頭の隅に置いておいても良いでしょう。

用語解説


-新規失業保険申請件数ー失業者が失業保険給付を始めて申請した件数を集計し、季節調整を加え発表するもの。本指標は景気の動向に敏感に反応するといわれており、景気先行指数として用いられています。米労働省雇用統計局が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表。米雇用統計の基準日である12日を含む週の結果は、それ以外の期間よりも注目度が高いです。

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立沢賢一とは


元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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