米国株マーケット考察 2021.1.29

マーケットサマリー

米国株式相場は、6営業日ぶりに反発。ダウ工業株30種平均は前日終値比300.19ドル高の3万0603.36ドルで終了。ナスダック総合指数は66.56ポイント高の1万3337.16で引けました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比4億0106万株減の14億1734万株でした。

前日にダウ平均が633ドル安で引けたことを受けて安値拾いの買いが入り、バリュー株中心に相場を上げました。

経済指標は最新週の新規失業保険申請件数と2020年10~12月期の実質GDP(国内総生産)速報値の発表がありました。
労働省が発表した最新週の新規失業保険申請件数は、前週比6万7000件減の84万7000件と、2週連続で改善。市場予想(87万5000件)も下回り、米雇用関連指標の改善は相場のサポートとなりました。

米商務省が朝方発表した2020年10~12月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、前期比4.0%増と、市場予想と一致しました。2020年は前年比3.5%減と、マイナス成長はリーマンショックの影響の2009年以来11年ぶりでした。また、落ち込み幅は第2次世界大戦直後の1946年以来74年ぶりの大きさとなりました。

新型コロナウイルスの危機によってレストランや航空などのサービス業が打撃を受け、何百万人もの人が失業し貧困に陥り、経済の3分の2以上を占める個人消費は3.9%減少し、1932年以降で最大の落ち込みになりました。

然し乍ら、新型コロナウイルス感染による影響は株式市場では既に織り込み済みで、冷静に受け止めたようです。

米企業の2020年10~12月期決算の大半が市場予想を上回っていることも、相場に安心感をもたらしました。決算発表を済ませた主要企業159社のうち83%が市場予想を上回ったようです。

気になるのは出来高で、個人投資家の激しい買い意欲の中での237億株に及ぶ売買高は2007年以来で、米国株式オプションの出来高も245億株と史上最大を記録しました。

今後も高値での波乱に富んだ値動きは予想でき、引き続き、警戒感は持つべきかと思われます。

用語解説


-バリュー株ー売り上げや利益の成長がさほど期待できないなどの理由から、現時点の株価が本来的な企業価値を考慮した水準に比べて安いと考えられる株式のことで、「割安株」とも呼ばれます。知名度の低い企業が多いことから、堅実経営を続けているような場合でも、投資家の人気は低いのが一般的です。値動きも値幅も地味になりがちで、いったん売り込まれたまま放置されているケースも目立ちます。


立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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