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繭玉作り

ここ数年、大事にしている企画があります。

それは、「繭玉作り」です。

米粉をお湯で溶かし、団子にして、ビンカという木に飾り付けるものです。団子の形は様々ですが、繭の形にする方が多い印象です、小正月にかけて飾り、どんど焼きで焼いて食べるという風習もあるようです。地域によって様々かと思います。色とりどりの繭玉はとてもきれいに飾り付けられます。

それは、五穀豊穣を祈願するもので、「繭玉」と言われているだけに、養蚕をさしています。

以前の私は、この行事の重要なポイントは、米粉から団子にする作業、団子を思い思いの形にする作業、または、いかにきれいに飾り付けをするためにどのように利用者の方に参加して頂くかという事でした。

現在の私は、この「繭玉作り」を通じて
「いかに、昔の話を引き出すことができるか」を重要視しています。

そこからは、高齢者の方の「言葉の豊かさ」を感じることができます。

人間が声を出してことばを話すということは、活き活きと生きていくことにつながります。しゃべることはとても大切なのです。・・・
しゃべることによって無表情な顔に表情が戻り、たちまち血色が良くなってくるのです。それも自分たちが昔おこなったことば遊びや、学校で習ったことが題材であれば、皆元気に口をあけます。

                       「認知症を予防する  ことば遊び回想法 」  ときわひろみ氏 著

「繭玉作り」を通じて・・・
ここ数年で、いろいろなお話を聴くことができました。

多くの方が、昔を懐かしみながら、いきいきと語ってくれて、私もその話を聞くのが楽しみになりました。私が養蚕のことを年々知っていくなかで、会話が更に深掘りされていくことを感じています。

少し「繭玉作り」について調べてみます。

繭玉とは

以下、朝日新聞社 「コトバンク」より引用しています。

~世界大百科事典 第2版の解説~

繭の豊収を祈って作られる作り物の一種。柳やミズキなどの枝に繭の形にした餅やだんごを多数つけたもので,メーダマ,繭餅,繭だんごともいう。東北から関東,中部など東日本の養蚕地帯で盛んに作られた。普通は小正月に作るが,初午(はつうま)に再度作る所もある。繭玉のほか,養蚕道具をかたどった餅をつけたり,近年ではだんごや餅の代りにせんべいで作った繭玉をつける所もあり,また正月に縁起物として繭玉を飾る商店もみられる。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 

~日本大百科全書(ニッポニカ)の解説~

小(こ)正月の予祝行事の一つ。クワ、ミズキ、ヤナギ、カシ、エノキなどの枝に、繭形の団子や餅(もち)を数多くつけ、座敷、神棚、大黒柱その他に飾り付ける。繭形につくるのは養蚕が流行するようになってからで、本来は団子や餅をちぎってつけ、あるいは削掛(けずりかけ)や大判・小判など縁起のよいものを飾る。年頭にこのような形を示すことによって、秋に同様の豊作状態をもたらそうとする感染呪術(じゅじゅつ)に基づく。長野県あたりから関東・東北地方に広く分布する。団子は、「とんど」の火であぶって食べたりする。[井之口章次]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 

繭玉の作り方
作り方は、クックパッドなどを参照しました。実際には、飾り付けのみで食べる予定がなければ砂糖は必要ないかもしれません。また、食べる予定がなければ感染対策も気にしなくてもよいかもしれません。

クックパッドなどから調理法を参照していますが、利用者の方からもお聴きすることができました。

養蚕時代のお話

先日も、「ヒビ(蚕のサナギ)」をご飯にのせて食べていた・・・という話で盛り上がりました。


実際の養蚕のお話から

・幼虫に桑を1日数回やるのがわたしの仕事だった・・・

・幼虫がかわいかったなぁ・・・

・ビニールハウスで飼っていた、いや、家の中で飼っていた(専用の場所があった)、いやいや土中飼育をしていたんだ(え?土中って・・・・)

・当時はお金になったんだ、いや、あまりお金にならなかった・・・

・うちはいい繭になった!  なぜならば・・・

・温度の管理が大事だ!そのために・・・

・わたしは「つがい」をつくるために雄と雌の選別をしていた、それは誰にでもできることではない、私だからできたのよ! 腹の部分の・・・

・わたしは製糸工場で働いていた、○○村にあったのよ!そこには宿舎もあって・・・それは今のどこですか?

・スチームの上で「サナギ、ヒビ」を蒸してそれを新聞紙に包んでもらって帰り、帰りの電車のなかで食べていた、皆は喜んで食べていたが・・・私は、その匂いが嫌いだった!食べたくない!・・・え、「おいしいよ 」

などなど

本当に、いろいろなお話を聴くことができます。

小学校の社会の授業でてきた「桑畑」、私の地域の地図に桑畑の記号がやたらにあったのを記憶しています。
なんとなく覚えていましたが、養蚕をするためにたくさんの「桑畑」があったんだ・・・・と感動さえ覚えます。

まさに、利用者の心が動いてるのを感じることができます。

アクティビティプログラムでは心身の活性化を目指しています。
この「繭玉作り」は、まさに、アクティビティ・・・・と思っています。



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