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熱中症予防対策の歴史を改めて振り返る

先日のSports Safetyシンポジウムは ”Beat the Heat"ということで、熱中症について丸々1日時間を割いて行われました。その中で、用語についての共通認識が充分に確立されていないなどが挙げられていました。

<website>
https://ichihara0707.wixsite.com/sssymposium

<Facebookページ>


以前に書いたものですが、これまでの予防策など改めて。

<1>
中井誠一「総説 熱中症予防対策の歴史」日本生気象学会雑誌Vol. 48 (2011) No. 1, 9-14

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/48/1/48_1_9/_article/-char/ja/
屋外労働や軍隊での発症は日射病と呼ばれ、
炭坑内での発症には「熱中症」という用語が用いられていたようです。
このあたりが別物という認識ということにもつながっているのかな。

対策の変遷は

古くは江戸時代から、、、
著書は1939年に記されている予防策は現代でも充分に通用するものである
と述べています(詳細は本文参照)。
「水を飲むな」ということへの起源には諸説あるようですが、
上記の表にもあるようにその言葉だけが残ってしまったのかもしれない。

<2>
芳田 哲也「総説 日本における熱中症予防研究」日本生気象学会雑誌Vol. 52 (2015) No. 2, 97-104

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/52/2/52_97/_article/-char/ja/

運動強度の増加は直腸温が急激に上昇する環境温度の閾値が低下する
ということは1960年代には明らかになっているんですね。

シンポジウムで聞いた「汗腺疲労」の話も随分前から挙げられていたこと。方法に振り回されて、色々見落としているような気がします。

シンポジウムの中では鼓膜温から深部体温を計測するデバイスも紹介されていました。他にもこちらのような取り組みも行われています。

渡井 康之, 松井 岳巳「熱中症予防のための深部体温上昇判別システムの開発」—心拍数,呼吸数,体表面温度による判別可能性の検討—生体医工学Vol. 54Annual (2016) No. Proc p. 3T5-3-6-1-3T5-3-6-2
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe/54Annual/Proc/54Annual_3T5-3-6-1/_article/-char/ja/

様々な取り組みが行われている熱中症対策。情報のアップデートと積み上げ。もっと身近に、もっと多くの人が知ることで防げるものが沢山あると思います。

読んでいただきありがとうございます。日々の雑感やスポーツ、運動にまつわる数字を眺めてまとめています。普段はトレーニングサポートや講義を行なっています。