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fact[drag/Disclosure]を聞く ドラム編

fact

日本で活動していたバンドです。

残念ながら2015年に解散してしまいました。

メタルコアというジャンルに位置するのかな。

知らない人はググってみてね!

歓喜した

drag / Disclosure

二つの music pv が発表された時、俺は心のそこから歓喜した。 

なんとこのPV

「各パートごと」や「ボーカルレスのパート」を聞く事が可能だからだ!

各パートごとに試聴する事は

立ち会いマスタリングにでも同行しない限り不可能だ。

それは、どんなジャンルやどんなアーティストであっても。

とにかく

プロデューサー:マイケル・エルヴィス・バスケット

エンジニア:テッド・ジェンセン

という二大神と、レーベルの意向に心の中で「ありがとう!」と叫んだw

ちなみに

マイケルさんは Van Halen や story of the year を。

テッドさんは、the used や one ok rock 、八食センターサマーフリーライブに出演している HEY-SMITH 等を担当している。

(もちろん、その他にも数えきれない位のワールドクラスのアーティスト)

どのような下準備を行なっているか

youtube ではあるけど。

各パートをソロで聞けば、どのような下準備を行なっているか分かるかもしれないと思った。

私事で恐縮だが、とても身になったと思う。

これから行う事は、

「下準備の内容を書き出してみる」

という事。

内容が大量すぎるので、ある程度は省略。

これから記事のネタにしていきたい部分には「※ネタ」というマークをつける。

このジャンルはあまり興味が無いから・・・

プレイヤーやアーティストなら、それで問題ないだろう。

だけど

音圧戦争の日記

ジャンルは関係ないと思った。

パンチを引き出すテクニックを身に付ければ、静かなパートを引き立せる事ができるかもしれない。

そしてなにより、youtube を通して「神業」を体感する事ができる。

もしかして

僕ごときが、神域を分析するなど、無作法・無謀の極みかもしれない。

でも、書き留める程度の自由はあるだろう。

ということで、いざ、参る!

drag

スペクトラムアナライザー(以下スペアナ)が表示されているw

単なるダミーかもしれないが、それなりに動作しているようだ。

幸運だ!幸運すぎる!

俺はこれを見つけたときに

「その年の運は全て使い果たしたな」と思ったほどだ。

バスドラム

0:15 あたりに初めてバスドラムがなる。

これは、初っぱなから驚かさせられるぜw 

スペアナが菱形の枠通り全てに反応している。

これが意味する事は・・・

「バスドラムはセンターだけで鳴っていない」という事だ!

もちろん top(ドラムの上部にセットするマイク)のマイク2本をLRに振っているという理由があるが・・・

それにしてもステレオ成分が多い。

スネアのスペアナと比較してみれば一目瞭然だ。

これは幾つかの音源ファイルを組み合わせて一つのバスドラムにしており、その中にステレオの要素があるファイルが混じっているはずだ。(もしくはソレに相当する何か。)※ネタ

ほぼ全てのパートに言える事のようだが、「センターに位置するパートは全て何らかの方法でステレオにエンハンスされている」

何故そうするかというと「音像を後ろに下げる」「聞こえがいい」「音が太く聞こえる」という理由の他に「音圧が上がる」からだ。※ネタ

また、バスドラムのトランジェント・アタック音が軽快な「バチン!」という音に対して、サスティーンは「ドム」という重い音だ。

これは、トランジェント・アタック・サスティーン、全て別々のトラックで処理されていると思われる。※ネタ

一つのトラックでアタックもサスティーンも得ようとすれば過剰EQしてしまう。

トラックごとに明確に役割分担しておけば位相崩れも最小限に抑える事ができる。※ネタ

0:20 で ROLAND 909 で出したような電子的なバスドラムの打ち込み音がミックスされている。

この打ち込み音は曲の要所で登場する。

これなら展開もはっきりさせれるし、聞き飽きる事もない!

うーん、心憎い演出!!

スネアドラム

バスドラムと同じで、トランジェント・アタックを意識して、トラックを分けていると思われる。

昔の自分はこのあたりでようやく気づく事ができたのだが、「一つの楽器に対するマルチマイキング」は一般的のようだ。※ネタ

また、top のマイクの位相を吹き飛ばすくらいの勢いで、スネアのアタック周りを強調している。

これは、歪んだギターやベースの位相も吹き飛ばしてくれるので、ロック指向の曲にとても良くなじむ。

また、ボディ・サスティーンがいい感じに響いてくる。

これは、以前紹介した複数リバーブをかける方式によるものだと思う

この複数リバーブを使って、上手くステレオエンハンスしている。

タム

左右の分離がすこぶる良い感じだ。パンニングが上手く調整されている。

周波数は違えど処理内容は殆どスネアと同じに聞こえる。

ただし、ボディ部はそこまで強調されていない。

左右に振ったギターの帯域と被ってしまう事を防いでいる。

スネアとは異なるアタックの帯域を強調して、スネアとの差別化を図り抜ける音作りにしている。

スネア・バスドラム・タム、3つを通して

他のトラックの位相を吹き飛ばす勢いで、アタックを強調している。

また、ほとんど「かぶり」がない。

スネアのトラックでは、ほぼスネアだけ。

タムのトラックでは、ほぼタムの音だけが聞こえる。

かぶりが無くなるように、ゲート処理や編集が施されている。

かぶると位相も悪くなるし、かぶりのスペースがあったら、その帯域を空けてギターやベースをかち込ませる、という事だろう。

そして、これは十中八九、トリガーシステムを採用している。

要は打ち込みの音も同時に流している。

なので、スネアのトラックだけとってみても、録音トラック3〜4+トリガートラック1〜2、合計4〜6トラックは用意されているはずだ。

(たぶんね。少し自信ないけど;)

「なーんだ、打ち込みの音を流してるのか。じゃあ簡単だ。」

っと思うかもしれない。

これはそんな生易しいもんじゃない。

トリガーを使うということは、全く別位相の音源が現れると言うことだ。

あっさりすべての音が台無しになる。

それを、こんなにも曲になじませ、ワイルドに聴かせることが出来るとは。

うーん、神業!!

top &ハイハット

ゴリゴリのマルチマイクでの録音なので、何をやっているか良くわからないw

とにかく、左右の分離が素晴らしいことだけは、すぐ分かるw

録音の段階で、top & ハイハット のマイクの他に、シンバル個別のマイクを幾つか足して録音しているので無いだろうか。(自信なし)

バスドラム・スネア・ボーカル・ベースが入ってこれるように、ど真ん中はしっかり開いている。

よって、下準備の段階で少しだけMS処理を行っているかもしれない。※ネタ

また、イメージャー等を使って左右それなりに均等なボリュームバランスとなるように調整していそう。※ネタ

そこから、EQしたりコンプかけたり、再度MS処理をしたり・・・、という手順になると思う。

Disclosure の動画ではちょっとだけ空気感が増しているように感じるが、マイキングの影響なのか、MIXの影響なのか、判別は出来なかった。


youtube だからかもしれないが、全体的にそれほど高域に伸びていない。

特にハイハットは思ったよりも、中〜高域あたりに存在している。

無理に高域に伸ばさない事が、位相を崩さない事に繋がっていると再認識。

全体を通して

「どのような音源にしたいのか」が凄く明確になっているように感じた。

左右の分離を良くしてセンターを開け、高域にはボーカル、低域にはベースが入ってくることを想定している。

ベースのパワーに負けないように、バスドラムとスネアのアタックを強調している。

ただしボディまで強調し過ぎると、ベースやボーカルに食ってかかってしまうので、ステレオエンハンスしボディをワイドにすることで回避。

シンバルは高音を上げすぎずナチュラルに仕上げている。

左右のギターのパワーに負けないように、タムのアタックを強調している。

「これから、ここにパートを入れます!!」と言わんとばかりだ。

きっと

俺が気づいてないだけで、まだまだ神業テクが満載なんだろうな。

今回1年半ぶり?くらいに聞いたが、今回も新たな発見もあった。

きっと来年もう一度聞けば、さらに新しい発見があるはず。

そう思いたい。



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