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「ブランド力を強化したいのですが、ロゴをカッコよくしてと言いたいワケでもなくて...」とお客さまから相談されたときの話

「ブランド力を強化したいのですが、ロゴをカッコよくしてと言いたいワケでもなくて...」と、そんなご相談をこれまでに何度かいただいたことがあります。

「では、御社にとっての『ブランド力の強化』とは何を意味するのでしょうか?」
・・・私は逆にお客さまに対してこのような質問を返しながら、お客さまが発した「ブランド力の強化」という言葉の背景を辿るようにしています。

今日は「ブランド力って何?」についてお話ししたいと思います。


そもそもブランド力って何?


この「そもそも」のところで、多くの企業で解釈が異なります。

ブランド力とは?と問えば、同じ会社の中でも、社長は「プレミアム感」と言ったり、とある幹部は「認知度」と言ったり…けっこうバラバラなことも珍しくありません。

どれも正解なようではありますが、それらの解釈では十分ではありません。

私が理解している「そもそもブランド力とは」について、以下に記します。



そもそも、その1。
ブランドとは「識別」のために用いられるもの。
それがいわゆる「ブランドロゴ」として表現されるものになります。

他社とは違うこと、たとえばそれは品質であったり機能であったりと、同一のカテゴリーの中でも「自社が提供する価値は◯◯です」をお客さまに対してコミットできてはじめて、お客さまから意思を持ってその商品・サービスが選ばれます。

そこでは、他社とは違うことが認識されること、すなわち識別性が求められ、それを託される表層的なものの代表格がブランドロゴになります。



そもそも、その2。
ブランドとは、お客さまのマインドの中に蓄積されていく「価値」のこと。
それがいわゆる「ブランド体験」として人々の記憶に残るものになります。

モノやサービスを提供して、それによってお客さまのお困りごとが解決されたり欲求が叶えられたりしたとき、お客さまは御社に「価値」を感じます。

その価値が他社では受けられないようなすばらしいものであれば、そのお客さまはまた御社からモノやサービスを購入します。
その蓄積が代えがたい体験となり、御社はお客さまから識別されるようになります。

識別という意味では上記「その1」と同義ですが、「その2」では目に見えない識別性になり、お客さまのマインドに残る「無形資産」となります。

そしてその「無形資産」とは、御社が提供する商品・サービスに対しての評価そのものです。
当然ながら高い評価を獲得すれば、御社の業績につながります。


ブランド力はどうやって強化するの?


ではどうやって、ブランド力を強化しましょうか?

まず、どのような価値をお客さまのマインドの中に積み上げていけばよいかを考え、その上で、御社とお客さまとのあらゆる接点を通じて「伝えたい価値」を展開することが、ブランド力の強化につながります。

以下、順を追って説明します。



まずは、お客さまに「伝えたい価値」を定義することから始まります。

たとえば、スターバックスであれば「第3の場所」としてお客さまに選ばれることであり、アップルであれば「クリエイティビティが引き出されるツール」としてお客さまに選ばれることだったりします。

「伝えたい価値」のことを、コンセプトと言い換える人もいます。


「伝えたい価値」が決まったら、次はその価値をどこでどのように伝えるかを考えます。
「御社と顧客との接点」から、価値が伝わっていきます。

それは、商品やサービスをお客さまが使用することはもとより、たとえばWebサイト、店舗、広告、従業員、…と、要するにお客さまが御社の情報に触れるすべてのシーン・接点であると理解してください。

その「あらゆる接点」を通じて、お客さまは御社のエッセンス(要素)を感じ取ります。

そのエッセンスに「伝えたい価値」を乗せるのです。
そのエッセンスの数々がお客さまのマインドの中に積み上がっていくことで「無形資産」が形成されます。

ブランド力を強化するには、あらゆる接点を通じて伝えたい価値を提供し続けていただくことが求められます。


なぜ今、ブランド力の強化が求められるのか?


モノやサービスが溢れている成熟した現代社会では、御社の商品やサービスがお客様に選ばれるのは至難の業でしょう。

たとえばパナソニックであれば、それはお客さまのマインドの中に蓄積された(家電業界における)品質の高さが、パナソニック商品を選ばれることにつながってます。
ブランド力が高い状態です。


ですが、パナソニックのように市場で確立されたブランドはそうそうありません。
大抵は、何か際立った特徴がなければ選ばれないのです。

但し、いくら際立つと言っても、ひたすら性能アップして競合他社よりも品質の高い商品を作ったとしても、その性能アップがお客さまにとって知覚できなければ意味がないので要注意です。

性能アップした分、お客さまの悩みが解決されるとか、欲求が叶うとか、知覚できるものとはつまり、お客さまにとって意味あるもの(=価値)になることです(…そこで、意味を見つける取り組みが重要になるのですが、これはイノベーションの取り組みになるのでここでは説明を割愛します)。

お客さまに選ばれるためには、価値を知覚してもらうための取り組み、すなわちブランドを強化する活動が大切なのです。



さらに、一度選ばれれば万々歳!というわけにはいかない時代です。
継続してお客さまに選ばれ続けなければならないと多くの企業は考えるでしょう。

そのとき、お客さまのマインドの中に積み上げていく無形資産の形成活動の成果が力になってくれます。


無形資産が積み上がったお客さまは、SNS等を通じて御社の「評価」を言語化・視覚化してくれる時代です。
それによって周囲の人たちが共感してくれたら御社のお客さまが増えていきます。

だからこそ、無形資産の根幹となる「伝えたい価値」の明確化が重要になるのです。

スターバックスは「第3の場所」としての評価が、また、アップルであれば「クリエイティビティを引き出すツール」としての評価が、お客さまによって言語化・視覚化され、共感の輪が広がります。

お客さまのマインドの中にひとたび無形資産が形成されれば、競合他社との比較云々ではなく、御社はその無形資産を育てる活動にフォーカスできます。
それが長期的な利益をもたらすことにつながれば理想的です。
これが、ブランド強化への取り組みの意義になります。


むすび


今日はブランド力強化への取り組みについてその概要をお伝えしました。

当社にご相談いただく多くのお客さまが「ブランド力を強化したいけど、ロゴをカッコよくしてくださいと言いたいわけじゃないんですよね」と言ってくださります。

感覚的にロゴをカッコよくすることでブランド力が強化されるとは思っていないようですが、でもブランド力を強化するために何をしてよいか具体的な取り組みに落とせない企業が本当にたくさんあります。

今日の私の話から、具体的な取り組みに落とすヒントを掴んでいただければ幸いです。


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