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新卒2年で、転職。

昔は大きな野望を持っていた。無茶な夢も見ていた。
それでも、自分なら叶えられると本気で思っていた。


私は多分、それとなく”できる人間”なんだと思う。
できる人間という曖昧な言葉は好きじゃないが、恐らくほとんどの人が思っているであろう”できる人物像”を思い描いて欲しい。
それなりの高校 ーいわゆる”自称進学校”ー の出で、就活でギリギリ学歴フィルターに引っかからない大学を卒業した。


私の人生に辛いことは沢山あったけれど、人生におけるイベント ー進学や恋愛などー では、それなりに満足した選択と結果を出せていると思う。


ここで気づいた人もいるだろうか。私は、”それなり”や”それとなく”を使うようにしている。
というのも、”第一志望”と表現されるような、本当に目指したいたもの・本当に欲しかったものを、手に入れたことがない。


高校にしても大学にしても、いわゆる”滑り止め”の学校へ行き、結果としても、なんとか卒業できた程度のもので、胸を張れるほどの成果を、出せたことがない。
自分が唯一誇りに持っていた運動神経も、継続が難しくなり、泣く泣く部活を退部した。


ひとつ勘違いして欲しくないのは、何も人や環境の所為にはしていない。
全て自分自身が招いた結果である。
努力不足、準備不足、勉強不足、怠慢、傲慢・・・。

だからなのか、ずっとコンプレックスを抱えていた。
自分はいつも”2番手止まり”の人で、1番にはなれない人なのだろうかと。


それは大学を卒業しても続いていた。
そう、就活だ。


コンプレックスを克服するために・自分を好きになるために、第一志望の会社から内定を獲得できるよう躍起になっていた。
しかし、頭を抱え、白髪を増やしても、結局私は第一志望の会社に入ることができなかった。

それでも、グローバルにビジネスができ、給料も福利厚生も充実していた大企業だったため、少しは自分のコンプレックスを払拭できたと思う。

こんな会社に入るんだと言うと、「凄いね、エリートだね」なんて言葉を貰っていたもので、本当にそうなのかなと、勘違いしてしまいそうなほどだ。


地元や大学の同期が、やりたい事を仕事にしていたり、大手に就職したり、起業したり、大学院で研究を続けている中で、同じ目線に立ち、隣に並んでも恥ずかしくない自分になれたと思っていた。


自分の就職先に納得はいっていないものの、少しは自分に自信を持って、頑張ろうと意気込んだ。
今度こそは成果を出して、自分の手で何かを成し遂げてやろうと思った。


そう思って束の間だった。

「詰まらない。興味ない。どうでもいい。」
こんな気持ちで社会人生活を送っていた。


最初にも言ったように、自分のコンプレックスを解消するために就職活動をしていた私は、俗に言う”大手病”にかかってしまっていたのだ。
大手に入れば、自分は凄いのだと、自分と周りに示す事ができるからだ。
そんな偏った就職活動をしていたせいで、”興味のない会社”・”自分に合っていない会社”に入ってしまった。
会社のブランドやネームバリューにだけ、目がいってしまっていた。


「好きなことを仕事にすると、好きなものが好きじゃなくなる。」
こんな言葉を聞くけれど、興味のないものを仕事にするのも、かなり大変だと思った。


さらに追い打ちをかけるかのように、寝られない日々が続き、睡眠薬を貰うつもりで診にいって貰おうと思ったら、”双極性障害ー躁鬱病ー”と診断された。

最近の若者は”根性”・”忍耐”がないと揶揄されているのを知っていたので、私に足りないのは”気持ち”だと言い聞かせた。


しかし、日を経る毎に体調は悪化し、とうとう薬の治療を始めることにした。
そんな日々を過ごす中で、病気になってまで続ける意味はあるだろうかと悩むようになった。



新卒で入って1年。
2年目に突入して、転職活動に踏み切った。
仕事を続けていても、自分が自分じゃなくなる。
そう思ったからだ。



学校は、落ち込んでも友達に慰めてもらえる環境だったけれど、社会人は違う。自分で自分を慰めていく力も必要だった。その力が私にはなかっただけかも知れない。


転職活動には色んな理由があるし、色んな意見もある。
前向きな理由を持ったほうがいいとか、3年は耐えろとか。
それでも、私には私らしく居れる場所・輝ける場所があるのだと思いたかった。その場所を見つけるまで、諦められなかった。


こんな戯言を言っていたら、やはり根性や忍耐の話が出てくると思う。
きっとそうかも知れないし、安定した会社に居続けることが正解かも知れない。転職することをもしかしたら後悔する日がくるのかも知れない。


けれど、そんなのは誰にも分からない。
言えるのは、①自分に合っている環境は今は分からなくても、今置かれている環境が合っていないことは自分が一番分かっていること、②健康は資産であるということ、③生きてみなければ、正解が分からないということだ。


最後に例え話をして終わりたい。
あなたは観葉植物を買っているとする。
そしてその植物は、枯れ葉が多くなり、元気に育っていない。
その時あなたは、植物本体が悪かったと思いますか。
それとも水や空気、土などの環境が悪かったと思いますか。

きっとほとんどの人は後者だろう。
植物が上手く育っていないとすれば、水をやり、土を替え、日光を当て、風通しのよい場所に置く。

私たち人間も同じではないだろうか。
私たちがすくすく育つには、まずは土台・環境作りから始めることが大事なのかも知れない。


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