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恋文#2 Closure

遠くに行く前に、あなたからこんな言葉が届きました。

僕は今まで会った中で、一番心も頭も綺麗な人だと。
全力で人を愛せるところを尊敬していると。
また会おうねと。

僕は自分の気持ちを言葉にした記憶はないのだけれど、
どうやら、あなたにはバレバレだったみたい。

それから、どうやらお互いに好きという気持ちがあったみたい。

あなたも自分の気持ちを言葉にするのが苦手な人だったから、
こんな風に僕を想ってくれているとは知らなかった。


でもやっぱり、僕と居ることを選ばなかったんだね。
僕のことは好きだけれど、
この距離も含めて、僕を好きになることは、できなかったんだね。

仕方ないよね。お仕事だもんね。


昨日初めて自分の気持ちを伝えたけれど、
ごめんね、嘘を付いたんだ。

ずっと好きだよって言ったけれど、嘘だよ。

自分の気持ちを言葉にしてから、形を帯びるようになって、
2.5次元の中で、どんどん風化し始めているんだ。

言った通りでしょ。
自分が最も恐れていたことが起き始めているんだ。

この宇宙を漂う2人が、たまたま会ってしまっただけで、
決して運命の相手ではなかったんだよね。
たったそれだけの事だよ。

あなたに出会えたことが、今まで経験した中で、
一番幸せな不幸だったよ。

”最期”の”最後”に、あなたに出会えて良かった。
この世に2人しかいないんじゃないかと思うくらいに、
抱きしめることができてよかった。

いい映画や音楽に出会えた時の余韻を噛みしめるかのように、
あなたと過ごした時間の余韻に浸っているよ。

この世界では出会うタイミングを間違ってしまったけれど、
違う世界では結ばれていることを願っているよ。
次の出会いまで、好きなままでいさせてね。


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