脳梗塞で曲がった肘を伸ばす為に③

脳で曲がった肘を伸ばす為に第三弾となります。
今回は随意運動における肘の伸展を考えていきます。


実際の患者様で他動的な可動域が保たれていて上腕三頭筋も収縮が入る、しかし実際に伸ばそうとすると肘の伸展の途中で止まってしまう方がいらっしゃいました。

良く観察すると等尺性収縮のように拮抗筋の上肢二頭筋にも力が入っている状態で肘を伸ばそうと頑張って力を入れると上腕二頭筋もさらに力が入ってします状態でした。


発想の転換をしてみる

肘の伸展筋は上腕三頭筋ですので上腕三頭筋に刺激を入れたり筋肉の収縮を意識したりして介入するパターンがあるかと思います。

一つの方法としてはありかも知れませんがそれだけでは中々うまくいかない事が多いような気がします。

そんな時は発想を転換してみてはいかがでしょうか?


肘を伸ばすのではなく肘が伸びた所に持っていく

肘を伸ばそうとすると中々伸びない時にまず始めに他動的に肘を伸ばしていきます。
そして伸ばした肘の状態を感じてもらいます。

具体的には肘が曲がっている時、皮膚がくっついているのが離れている状態。や反対に肘頭側の皮膚が寄せられて皺になっている状態。など肘が伸びた状態の腕を感じてもらいます。


そして先程感じた肘の状態に近づけて貰うように指示をします。

この時に、『肘を伸ばす』『上腕三頭筋に力を入れる』などの指示は極力しないで腕の感覚的な部分にフォーカスしてもらいます。

すると伸ばそうとしても伸びなかった肘が伸びてくることがあります。


運動のイメージの欠如

そもそもとして人は関節運動をする時に筋肉の収縮を意識しておりません。肩の屈曲を行う際に三角筋には特段意識する事なく行なっていると思います。どちらかと言うと手を上方に挙げる、すなわち手を意識していると思います。

ですので肘においても上腕三頭筋に意識をしても中々の伸ばせない事があると思います。
そもそも上肢活動としての肘の役割は手の空間的な距離を定めるのに使用してますのでここでもやはり手が重要になりますが、今回は肘と手の関係に関しては割愛します。

そして人はイメージ出来ていない運動を行うことが困難です。バク転をした事がない人がいきなり挑戦しても上手くいかないように自身の運動イメージがしっかりと作る必要があります。

 脳梗塞によって肘が曲がったままの状態が続けば肘の伸ばす運動イメージにも障害が出るのでは、と想像出来ます。

そこで運動のゴール(肘の最終伸展位置)の身体感覚を定めてあげる事で運動が引き起こされるのだと思われます。


やっている動作はたいして変わらないのに声かけ、意識の仕方で変わる事がありますので何かご参考になれば幸いです。

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