プライオメトリクストレーニングにおけるSSCとAPA
スポーツにおける走動作、ジャンプ動作等においてクオリティに関わる部分としてストレッチショートニングサイクル(以下:SSC)と呼ばれるものがあります
SSCとは素早く伸長された筋腱が弾性エネルギーと筋紡錘による伸長反射により、その直後強く素早く短縮される機能となります。
このSSCの作用により素早い動作の切り替えを助ける事が出来ます。また落下エネルギーを適切に運動エネルギーに変化させる事によりエネルギーのロスが少なくなるでしょう。
このSSCを取り入れたトレーニングをプライオメトリクストレーニングと言います。
ドロップジャンプトレーニング
プライオメトリクストレーニングの代表的なものとしてドロップジャンプトレーニングと言ったものがあります。
ドロップジャンプとは
・ある高さの台の上に乗る
・台の上から飛び降りる(落下する形で降りる)
・地面に着地したら反動を使い素早くその場でジャンプ
と言ったものになります。
主にアキレス腱が伸長され弾性エネルギー、すなわち伸ばされたアキレス腱が元に戻る力を利用して次の動作(ジャンプ)にと繋がります。このトレーニングもSSCを利用した物となります。
このSSCにおいてAPA(先行随伴性姿勢調節)が重要であると思われます。
SSCとAPA
APAとは動作に先行して姿勢を調整する機能ですが
ドロップジャンプにおいては着地の瞬間に下肢の筋緊張を調整し適切なバネを作ります。
この際に下肢の緊張が低ければ落下の衝撃が吸収出来ず踵が地面についてしまったり
膝や股関節を曲げて着地の反力を減衰する戦略を取る事になります。
反対に緊張が強ければ
弾性エネルギーが利用出来ないですし
何より怪我に繋がる可能性だってあります。
ドロップジャンプトレーニングのやり方を考えてみる
上記の内容をふまえてドロップジャンプトレーニングを考えてみると
1.競技特性を考慮した高さで行う
ドロップジャンプトレーニングに置いてボックスの高さは高ければ高い方が良いわけではなくSSCが必要とされるシチュエーションを考えてボックスの高さを決める必要があると私は考えます。
ボックスが高くなれば着地時の反力が強くなりSSCの機構だけで制御出来なくなり膝や股関節を曲げる事で反力を制御する機構に変化します。
また、高い台で無理にSSCを利用しようとすればアキレス腱に大きな負荷がかかると思います。
通常でもドロップジャンプトレーニングにおいては負荷に注意しなければならず、事前のウォームアップも必要とされてきます。
不使用に高い台でやる必要はないかと思われます。
また例としてバスケットボールでジャンプ動作後の切り返しとドリブル時の動きでは三次元的な高さが変わりますので必要とされるAPAも変わると思われます。
競技特性を考慮してドロップジャンプトレーニングのボックスの高さを変えるとより良いのではないかと思います。
2.台の高さでなくドロップ後のクオリティーに注意する
先程記載したようにドロップジャンプにおいて台の高さが高ければ高いほどが良いわけではありません。
大切なのはドロップ後のクオリティーになると思います。
私が考えるクオリティーとは
ジャンプの高さ
地面の設置時間の短さ
踵が地面に接地していないか
膝や股関節が曲がりすぎてないか
体幹がブレずに安定しているか
などを注目すると良いかもしれません。
3.多様な高さでのドロップジャンプ
1.であげたように競技特性を逸脱した高さで行う事はメリットを考えにくいです。
ですが競技時に必ずしも同じようにSSCを使用しているわけではありません。
一回毎に状況が変わる為その度に必要とされるAPAも変わると思われます。
ですので競技特性の範囲内で高さを変化させる事で多様なSSCを発揮できるかと思われます。
このように姿勢制御の観点から考えるとドロップジャンプもバリエーションがつけられるかと思います。
最後に、繰り返しにはなりますが腱に対してドロップジャンプは負荷量が強いです。
充分なフォーミングアップやコンディションの調整をして無理なく怪我の起こらないよう注意して行いましょう
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