vol.2 日本企業は終身雇用ではなかった!?

社員の平均勤続年数、知ってますか?

終身雇用制度が日本の大きな問題だと言われて久しいですが、データで見ると必ずしもそうとも言い切れません。

終身雇用の話をする時に必ず出てくるワードが社員の「平均勤続年数」です。
平均勤続年数とは、「=勤続年数合計/社員数」で表されます。

短ければ離職率が高く、長ければ長期雇用している社員が多いということになります。

では、みなさんは日本の企業における勤続年数の実情をどの程度知っていますか?

厚生労働省の発表によると・・・

厚生労働省:全国産業別平均一覧表(平成30年度用)

以上のように、業界によっても平均勤続年数は大きく異なります。

また、企業規模によってもその年数に違いがあり、規模が大きくなるほど長い傾向にあります。
 ・大企業 16年
 ・中小企業 12年

では少し海外に目を向けてみましょう。
各国の平均勤続年数はアメリカが約5年とダントツで短くなっています。
他の先進国はというと、実は日本とそんなに大きな差はありません。

日本では大企業で長い傾向にありますが、企業規模が小さくなると決して長いとは言えず、終身雇用や長期雇用のイメージがある日本ですが、データ上は一概にはそうも言えなさそうです。

人事担当者はまず、自社の社員の勤続年数が長いのか、短いのかこのあたりを参考に判断してみてください。

勤続年数が長い社員がもたらす3つ問題


勤続年数が長い社員が多いということは一見、良いことのように見えます。では、果たして本当に良いことばかりなのでしょうか。

1.人件費が高くなる

日本では勤続年数に応じて自動的に昇給するシステムをとっている企業が多く一般的です。
ということは勤続年数が長い社員が多い企業は、必然的に社員へ支払う給与額が高くなります。

同じ社員数でも、勤続年数が長い社員が多ければ多いほど人件費の額が異なってきます。

2.仕事へのモチベーション低下


さらに問題はこれだけではありません。
会社への貢献度が低く、能力も高くない社員であっても長期雇用のシステムにより給与のベースアップが受けられます。

そのような社員にとって居心地が良い場所となり、長く会社に居座ることとなります。

日本では労働法により、簡単に社員をクビにできません。
よって、そのような「使えない社員」を会社も長期にわたって「養ってあげる」状態となってしまいます。

3.周囲への悪影響


そして、そのような状況を目の当たりにした優秀な若い社員は当然その会社に魅力を感じなくなり、周囲へ与える悪影響はかなり深刻です。

当然、より実力で評価してくれる他者へと転職してしまいます。

優秀な社員の定着をどのように促すのか


自社にとって離職率を下げ、優秀な社員の勤続年数を理想の状態にするためにも、今の人事制度の抜本的な見直しが必要不可欠です。

優秀な社員にとって魅力的で、働き甲斐のある会社にしていくためにすべきことの1つは評価制度の改定です。

「成果」や「実力」が正しく評価される。

そして、さらに定着を促進していくために、職場環境の見直しや、必要に応じてリモートワークや勤務時間のフレックスタイム制を導入するなど、時代に合わせた柔軟な労働条件への変更が不可欠となります。


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