見出し画像

日本一周クルーズ船の旅(8日目)


8日目の朝、バルコニーの椅子に座り
薄暗い海を眺めサンライズを待つ

この辺りから旅の終わりを感じてきた
始まりがあれば終わりがくる
そんな当たり前の現象に
なんとなく悲しみを感じてしまった

何の鳥かは分からないけど
気持ち良さそうに空を飛んでいた
あんな風に自由に生きられたらなと思った

鹿児島へ到着

外国である韓国から鹿児島への下船だったので
船から降りるとき色々なチェックがあり
とても時間がかかってしまった

なので鹿児島で滞在できる時間は
とてつもなく短くなってしまった

時間がなかったので
急いで駅前を散策をした

その地域や町によって
様々な雰囲気や表情がある

駅前や繁華街から放たれる
色や音や熱などの空気感からは
その街で生活する人の人柄が感じられる

歩道や道路や車の運転にも
ここで生活する方の国民性が出ると思う

地元の人たちがいつも使う歩道や道路を
どんな風に歩いてたり
運転してるかを観てしまう
鹿児島はとても穏やかで好印象でした


【昼食】

長い期間、外国のヘビーなものを食べてると
さすがに和食が恋しくなるものです

そんなことで昼食は
鹿児島ということもあり
『黒豚のトンカツ』を食べる事にした

炊き立ての釜で炊いたお米
お米が宝石のように見えた
丁寧に仕上げたお米って幸せですね

お味噌汁とお新香も
全体を絶妙にサポートしていた

そして主役の黒豚のトンカツ
キング オブ パーフェクト!
力強く優しく包み込んでくれました


『黒豚しゃぶしゃぶ』

奥深いダシが素晴らしく
こちらも美味しかった

鹿児島の豚肉って甘いんですね
主張してないのに存在感がありました
役者で言うと豊川悦司さんのようでした

締めのうどんは言わずもがなです
いるだけで頼もしいです
役者でいうと柄本明さんのようでした

野菜の美味しさにも驚いてしまった
役者でいうと…
無理に例える必要がない美味しさでした



【桜島】

本当に時間がなかったので
鹿児島での観光は諦めていた
しかし分刻みで計算してみたら
無理すれば「桜島」へ行けるという
決断に至り、足速に桜島へ向かった


鹿児島駅からタクシーで
桜島フェリー乗り場まで向かった
運転手さんは急いでくれた

運転手さんにも
その地域の人柄を感じられる
寡黙に目的地へ向かう姿が素敵でした

運転手さんのおかげで
フェリーの出発2分前に到着した
猛ダッシュで船へと飛び乗ることができた

ご飯を食べたばかりで
猛ダッシュしたからなのか
出発してすぐに気持ち悪くなり
吐きそうになってしまった
(単純に船酔いだったのかもしれない)

釣りをしてる人が
こちらに手を振ってくれたけど
手を振り返す気力なんてなかった

もちろんこんな素晴らしい景色も楽しめず
変な汗と変な動悸が出てきて
地獄の波の揺れに苦しめられた


そして桜島へ到着

「ようこそ」の文字が悪魔的に見えてしまった

すぐに船を降りて
嘔吐するためトイレへGO
頭上から次の船が出るアナウンスが流れる
これに乗らなければならない
急いで吐こうとするも
ただただ涙しか出てこない

本当に時間がなかったので
トイレットペーパーで涙を拭いて
急いでさっき乗ってきた船へと戻った

滞在時間は2分程でした

結果だけを見ると
“桜島へ苦しみに涙を流しに行った”
という結果にはなったけど
これはこれで鹿児島の良い思い出になった

今後、テレビなどで「桜島」を見たら
トイレで号泣した事を
思い出す事になるだろうと思った
そんな弾丸ワクワク桜島冒険記でした

✳︎

クルーズ船に戻ったら
疲れていたからなのか
すぐに眠ってしまった
起きたら夜深い時間になっていた

お腹が空いたのでビュッフェへ行き
カレーとヨーグルトとフルーツを食べた

船は夜の海を走っていた
見渡す限り真っ暗だったので
進んでいるのか分からなかった
まるで自分の人生のようだと思えた

たぶん船は高知へと向かっている
この“たぶん”という感覚で
突き進んでる感じがいいなと思えた

ご飯を食べた後、BARへ行った
カウンターで1人でビールを飲んでいたら
ある老夫婦が隣の席に座ってきた
テーブル席など空いてる席は
沢山あったのに何故か隣に座った

話しかけられた
知り合いのように話しかけられた
老夫婦はずっと喋っていた
その内容は自慢話と悪愚痴ばかりだった
隣に座ってきた理由が理解できた

「そうなんですね。凄いですね。本当ですか」

大体この3つを繰り返して返事をした
まるでキャバ嬢になったようだと思えた

老夫婦の話はヒートアップしていき
徐々に政治への不満になり
今の若者への不満になり
最終的に俺にまで不満が飛んできた

老夫婦の頭蓋骨にドリルで穴を開け
そこから夏目漱石の小説を
ねじ込んでやりたくなった

約30分間、我慢して老夫婦の話を聞いた
とても満足した足取りで帰って行った
心と時間を犯された感覚だった

「人は外見で判断するな」
と一般的に言いますが
その人がどうやって生きてきたかは
すべて外見に出てくると思う派です

素敵な顔になりたいですね
そんな鹿児島の1日でした

それではまたCiao!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?