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日本一周クルーズの旅(1日目)

【1日目】

この日を待って、待って、待った
楽しみは待つとなかなか訪れないものだけど
待っていれば必ず訪れる
そして、ようやくその日が訪れた

車で横浜へ向かった
平日の昼間に娯楽のために
高速道路を走るのは
とても贅沢だと思えた

母親は昨日から荷物の確認や
現地の気温や気候ばかりを気にしていた
なので沢山の荷物が車に詰め込まれた
こういう非日常への不安なども
旅の醍醐味なんだと思った

✳︎

大黒埠頭へ到着
港には、すでに大きな船が居座っていた
あきらかに異質なオーラを放っていた

この船の大きさと同じくらい
これから始まる未来の旅を想像して
ワクワクも広がっていった

船は端から端まで歩くと
5分程かかる大きさらしい
東京タワーを横に倒したときの
長さと同じ大きさらしい

自分にとって最もわかりかやすい
この大きさへの例えは
自宅から一つ離れたセブンイレブンまでの
あの距離ほどの大きさだと思うのが
いちばんしっくりきていたけど
その事は誰に言っても伝わらないだろうと
思ったので心の中に閉まっておいた

すでに船へ乗る人の行列ができていて
客層は年配の方ばかりで
とにかく皆さん元気で楽しそうだった
長生きの秘訣は愉しむことだと感じた

そこに黙ってポツンと立っている自分は
どう考えても明らかに浮いていた
母親はまだ忘れ物がないかを心配していた

✳︎

これから約36時間かけて
横浜から函館へと向かう
ここから日本一周、10日間
生まれて初めての船の旅が始まろうとしてる

この旅を100%楽しみたかったので
Wi-Fiは繋がない選択をした
なるべく外の世界との繋がりや
不便も楽しみたいと思っていたので
インターネットとは距離を置くことにした

✳︎

一応、船内は外国という扱いになるらしい
船内のスタッフはアメリカ系、南米系、
イタリア系、東南アジア系の外国人ばかりで
日本人スタッフは、ほぼ見かけなかった

この時、自分の最弱の英語力を試せる
いい機会だと思っていたので
恥を捨てて、なるべく喋りかけてみようと
チャレンジ精神に火が付いていた

船内の飲み物は、ほぼ無料だったので
船内へ入ってから、すぐに渾身の
「エクスキューズミー。コーヒー・プリーズ」
と勇気を出して言ってみた

すると「OK!」
完璧に伝わった
完璧に外国人の鼓膜にヒットした
そして当然のようにコーヒーが出てきた
このとき飲んだコーヒーは格別だった

それからは外国人スタッフに
英語で声をかけるハードルが下がり
どう思われても構わないという
アグレッシブな自分自身がいた

ふと俺の人見知りはどこへ行ったんだ?
と思った

なぜか英語だと人見知りが消え去ってしまう
それは何故なんだろか?と考えたけど
そんな事はどうでもよかった
自分の脳内にある微量な英単語を
かき集めては吐き出してを繰り返した

今回の旅での部屋は少し頑張って
バルコニー付きの部屋を予約した
この選択は大正解だった

初めはいちばん価格の安い
窓なしの部屋にする予定だったけど
10日間を長時間過ごす場所だと考えたとき
ここにお金を払ってもいいのではと思った

また、もしかしたら今回の旅行が
母親との最後の親子旅行になるかもしれない
そんな可能性もあったので
思い切ってここに対価を払ってもいいと
悩みながらも、この決断をした

結局、自分はバルコニーの椅子に座って
ボーッとする時間が好きだったので
海と空と地平線を眺められる
バルコニー付きの部屋は大正解だった

今回の旅では夕食も楽しみだった
毎回ドレスコードがあり
みんなお洒落をして食事を楽しんでいた

すべての食事も旅費に含まれていたので
好きなもの好きなだけ注文できた
初日は調子に乗って食べ過ぎてしまった
そんな背徳感も旅行の醍醐味だと思えた

✳︎

夜は最上階にある眺めの良い
落ち着いた空間のラウンジへ行った
ピアノ、ギター、ウッドベースの音色が
心地良く響く生演奏を聴いて堪能した

優しいJAZZに身を委ねながら
自分はいま贅沢な旅をしてるんだなと
しみじみと感じさせてくれた

そんな事で旅の始まりの日が終わった
とても心地の良い1日目の終わりだった
この後はどんな事が起こるのだろうか
想像しただけでも心が弾んでいます


それではまたCiao!

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