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猪犬訓練の世界 〜 吉野川猪犬訓練所・春季合同訓練会

本稿は『けもの道 2016特別号』(2016年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


吉野川猪犬訓練所・春季合同訓練会

全国各地にある猪犬訓練所では、定期または不定期で猪犬の訓練が行われている。一定の評価基準によって順位付けを行う競技会とは違い、訓練では、経験の浅い犬に猪の動きを理解させたり、猪に対する犬の反応を飼い主がじっくりと観察することが出来る。

訓練所では、数サイズの猪が用意されており、犬の経験や成長に合わせた訓練が可能だ。

犬を使って猪を獲ることの基本的な意味は、犬に猪を捜索させ、狩猟者が現場に着くまで犬が猪を止める、または射手の待ち場まで猪を追い出すことにある。

当然、狩猟者の猟法や猟のスタイルによって、個々の犬に求められる能力や働きは異なる。そのため、非猟期中などに自分の犬、特に幼犬や若犬などを実際の猪に「当てる」(対峙させる)ことによって、犬の資質・性格を見極め、猟欲を引き出す作業が必要になる。

訓練と、実猟経験の融合で、人犬ともにさらなる猟果にまた一歩近づくのだ。

吉野川猪犬訓練所・池本恵司所長


出場犬に見る、注目の動き

【注目1】後ろ脚への「咬み」

猪に対し、正面から吠え込みながら接近。猪は若干、犬を嫌がっている
逃げようとする猪の動きに合わせて、右から回り込む。この間も猪から目を離さない
猪が前を向いたとき、隙を見て、猪の後方へ急接近
すかさず、猪の後ろ脚に咬みを入れる。狙って後ろ脚を咬みに行く犬はケガをしにくい。また、猪も逃走することが出来ず、犬の相手をせざるを得なくなり、止まる


【注目2】左右へのフットワーク

身構える猪の真正面から激しく吠え込む
猪が犬をまくって前に出るが、犬は間一髪のところで右にかわしている
犬は向き直って再び吠え込みを始め、猪も興奮して犬をにらみつける
猪がまたもや犬をまくって出て来るものの、犬は左に避けている。犬は吠え込む間も姿勢を低くし、四肢に力を入れ、「まくり」をかわす準備が出来ているのだ

(了)


狩猟専門誌『けもの道 2016特別号』では本稿を含む、狩猟関連情報をお読みいただけます。note版には未掲載の記事もありますので、ご興味のある方はぜひチェックしていただければと思います。

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